『ライズ オブ ザ トゥームレイダー』のXbox時限独占は、 約110億円で獲得されていた可能性。スクエニ元スタッフが言及

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スクウェア・エニックス傘下のCrystal Dynamicsが手がけ、2015年に発売されたサバイバル・アクションアドベンチャーゲーム『ライズ オブ ザ トゥームレイダー(Rise of the Tomb Raider)』。本作は、Xbox One/Xbox 360向けの時限独占タイトルとしてリリースされ、のちにPC/PS4版も発売された。マイクロソフトはこの時限独占獲得のために、1億ドル(約110億円)相当の資金をスクウェア・エニックスに提供していた可能性があるようだ。
 

 
TwitterユーザーのTimur222氏は8月31日、CREY GamesのCEO Fabien Rossini氏のLinkedInプロフィールのキャプチャ画像を投稿した。Rossini氏は現職に就く以前は、スクウェア・エニックスや傘下の開発スタジオEidos-Montréalに10年以上にわたって勤めており、2008年から2014年にかけては、スクウェア・エニックスにてStrategic Planning & Corporate development Directorを担当。マーケティングや独占提供に関する、ファーストパーティとの戦略パートナーシップの構築をおこなったという。

そしてその経歴のなかでは、“『トゥームレイダー』のXbox独占”についての交渉も担当し、1億ドル相当の取引だったと記している。同じ内容は、同氏の自己紹介欄にも記載されていた。なお、こうした内容が広く報じられたあと、Rossini氏はLinkedInプロフィールを編集しており、上述した部分を含め金額に関する記述の多くは削除されている。ただ、編集前の記述は筆者も確認しており、実際に記載していたことは事実である。
 

 
Fabien Rossini氏は具体的なタイトルは記しておらず、またひとことに独占(exclusivity)といってもさまざまな形式があるが、時期と金額の大きさから、『ライズ オブ ザ トゥームレイダー』をXbox One/Xbox 360向けの時限独占タイトルとする交渉に携わったものと考えられる。

『ライズ オブ ザ トゥームレイダー』は、シリーズのリブートとして2013年に発売された『トゥームレイダー(TOMB RAIDER)』の続編だ。2014年のE3に合わせて正式発表され、同年のgamescomにてXbox One/Xbox 360向け独占タイトルとなることが明らかにされた。いずれもマイクロソフトによるプレスカンファレンスのなかでの発表だった。

ただ、一部物語上の繋がりもある前作がマルチプラットフォーム向けだったにもかかわらず、続編がXbox独占となったことで、マイクロソフトおよびスクウェア・エニックスは、ファンからの大きな批判にさらされることに。直後にマイクロソフトが、完全な独占ではなく時限独占であることを表明する、当時としては異例の展開となった。結果的に本作は、マイクロソフトを販売元としてXbox One/Xbox 360版が発売された翌年に、スクウェア・エニックスからPC/PS4版がリリースされている。
 

 
今回のFabien Rossini氏による記述が事実だとすると、当時マイクロソフトは1億ドル(約110億円)をスクウェア・エニックスに支払った模様。海外ゲーマーのあいだでは、時限独占を得るための金額としてはかなり高額ではないかとして注目を集めているようだ。

ちなみに、Eidos-Montréalの代表David Anfossi氏は、続編となる『シャドウ オブ ザ トゥームレイダー』の開発には7500万〜1億ドルかかったとし、さらにプロモーション費用には3500万ドルを費やしたことをかつて明らかにしている。ほかのAAA規模のタイトルでも、同程度のコストがかかるとのこと(GamesIndustry.biz)。つまり、マイクロソフトは『ライズ オブ ザ トゥームレイダー』の開発費の大部分を支援した可能性がある。

本作の時限独占には、マイクロソフトとしてはXboxに足りなかったジャンルの作品を確保し、一方のスクウェア・エニックスはプロモーションを含むサポートを得るという、両社の利益が一致したことが背景にあると当時説明されていた。また、スクウェア・エニックスは2013年4月の業績予想修正説明会にて、前作『トゥームレイダー』は評価は高かったものの、販売実績は結果が伴わなかったと報告している(関連記事)。スクウェア・エニックスの当時の状況からすると、続編開発をおこなうことにはリスクがあったとも考えられ、巨額の資金を得られる時限独占契約を結ぶに至ったのかもしれない。
 

 
なお余談ではあるが、続編『シャドウ オブ ザ トゥームレイダー』は、最初からマルチプラットフォームで発売。リブート作品である『トゥームレイダー』から続く物語は完結している。シリーズの今後について開発元Crystal Dynamicsは、1作目からのすべての作品の要素およびタイムラインを統合した、新作を手がける考えを示している。リブート作品では、主人公のララ・クロフトが冒険家として成長していく様子が描かれたが、新作ではすでに一人前となっているララとしてプレイすることになるという。続報に期待したい。

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