Atariが事業戦略の見直しを発表。保有IPを活かした、PC/コンソール向け買い切り型ゲームを強化へ

 

パブリッシャーのAtariは7月5日、ゲーム部門Atari Gamingの今後の事業戦略について投資家向けに発表した。このなかでは、基本プレイ無料ゲームの展開を縮小し、より付加価値の高い買い切り型ゲーム(Premium games)へと、リソースを振り分け直すことが明らかにされている。
 

 
『Asteroids』や『Centipede』『Missile Command』『Pong』などのクラシックゲームで知られるAtariは、さまざまな組織体制の変遷を経て、現在はPC・コンソール・モバイル向けにゲームを展開中。過去の名作のコンピレーション作品やオリジナルゲームなどのほか、『RollerCoaster Tycoon』シリーズを手がけていることでも知られる。

特にモバイル向けには基本プレイ無料ゲームを多数リリースしているが、激しい競争にさらされていることもあり、今後は厳選したタイトルのみに絞って提供するという。既存の基本プレイ無料タイトルについては、多くのユーザーを獲得し成功しているものは存続。一方で、『Roller Coaster Tycoon Stories』『Crystal Castles』『Castles & Catapults』『Ninja Golf』『Atari Combat: Tank Fury』の5タイトルについては、配信終了させるか他社に売却するとのこと。
 

 
基本プレイ無料ゲームに代わって、新たに注力すると表明したのがPC/コンソール向けの買い切り型ゲームだ。Atariが保有する200のIPを活用し、すべてのプラットフォームにおいて強力なパイプラインを構築するとのこと。Atariの新型ゲーム機Atari VCSのラインナップ強化にも寄与するだろうとしている。すでに第1陣となるタイトルは開発中で、当会計年度内(2022年3月31日まで)にはリリースする計画だという。具体的なタイトルについては、まだ明かされていない。

AtariのIPを活用した新作というと、『Tempest』シリーズの新作『Tempest 4000』や、『Missile Command』を再構築した『Missile Command: Recharged』、あるいは『Pong』をモチーフにしたダンジョン探索RPG『PONG QUEST』といった作品が近年リリースされている。このように保有資産を活かした、さらなるシリーズの新作やアレンジ作を、買い切り型にて発売していくということかもしれない。
 

 
なお、今回のAtari Gamingの新事業戦略の策定に合わせて、Atariはアフリカ地域で展開するカジノAtari Casinoの直接的な運営から撤退することを表明。さらに、マルチメディア部門Atari Studiosを通じたテレビ番組制作事業も縮小し、今後はライセンス契約のみに絞って活動するとのこと。AtariのCEO Wade J. Rosen氏は、こうした方針転換によって、Atariはビデオゲームにおける過去と未来の架け橋となる貴重な機会を得ることになるだろうとし、新戦略を推進していく考えを示した。


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