SIEがPS5『Returnal』開発元Housemarqueを買収。苦労のすえに一花咲かせた老舗硬派スタジオ


ソニー・インタラクティブエンタテインメントは6月29日、デベロッパーのHousemarqueを傘下に収めたと発表した。同スタジオは、今後はPlayStation Studiosの一員として活動することとなる。買収額を含む諸条件については明かされていない。


Housemarqueは、フィンランド・ヘルシンキに拠点を置くデベロッパーだ。1995年に設立され、前身となるスタジオから続く『Super Stardust』シリーズを展開するほか、他社タイトルへの開発協力も数多くこなしてきた老舗スタジオである。PlayStationプラットフォームにおいては、『Dead Nation』や『Resogun』『Nex Machina』などで高い評価を得た。

もともとアーケードライクな作品を得意とし、数々の賞を受賞してきた同スタジオだが、2017年には「Arcade is Dead」と宣言したことは話題となった。作品が高い評価を得たとしても、必ずしも売り上げには結びつかなかったとして、アーケードライクからの脱却を打ち出したのだ。

そして次なる新作として発表されたのは『STORMDIVERS』。Housemarqueらしいビジュアルを兼ね備えたバトルロイヤルゲームである。ただ、すでに同種の作品が溢れている状況もあってか開発中止に。同時に手がけていた、ほかのすべての作品の開発もストップさせ、代わりに3年かけて仕込んできたもっとも野心的なタイトルに専念することとなる。


そうして今年4月にリリースされたのが、PS5専用TPS『Returnal(リターナル)』だ。墜落事故にあった主人公の宇宙飛行士が、未知の惑星から脱出するために異形の敵と戦いながら、惑星を探索する。ローグライク要素を取り入れた作品であり、死んではふたたび目覚めるループの中で、ステージ構造や敵の配置が変化するだけでなく、進行に応じて物語も展開されていく。

同作は、バグや一部使用に対するユーザーからの不満はあったものの、非常に高い評価を獲得。PlayStation Studios統括責任者のHermen Hulst氏は、「PlayStationユーザーの皆さんの心に響く、記憶に残るようなゲームを作ることができるスタジオであることを証明してくれました」とコメントしており、この成功が今回の買収に結びついたようだ。

一方のHousemarqueの共同創設者兼マネージングディレクターIlari Kuittinen氏は、『リターナル』にて過去最大の挑戦に臨んだ結果、「ユニークでクオリティの高い体験をプレイヤーにお届けする、という私たちのブランドを確立することができたと感じています」と述べる。そして、今回PlayStation Studiosのファミリーに加わったことで、将来にわたってPSユーザーにゲーム体験を確実に届けられる機会を得たとし、物語を伝えるための新しい手法や、モダンアートであるゲームの可能性を押し広げるために挑戦し続けるとした。SIEおよびほかのPlayStation Studiosからの全面サポートを受けた、今後の新作には注目が集まるところだろう。