Epic GamesがRADゲームツールズを買収、採用タイトル数2.5万ほどの有名開発ツール提供会社。データ圧縮技術の重要性を強調

 

Epic Gamesは1月8日、RADゲームツールズの技術と事業を取得したと発表した。RADゲームツールズ(以下、RAD)は、多彩なゲーム開発用ミドルウェアを開発・提供する企業。同社製品を採用するタイトルは約2万5000件にもおよぶ。採用タイトル数の多さから、製品名やロゴを目にしたことのある方も少なくないだろう。買収後はRADの技術とEpic Gamesが提供するUnreal Engineを融合することで、開発者コミュニティとゲーマーの双方に利益をもたらしていくと伝えている。

RADは、ゲーム用のビデオコーデックBink 、高度なオーサリング環境を備えたサウンドツールMiles Sound System、パフォーマンス視覚化システム/プロファイラーのTelemetry、アニメーションシステムのGranny、データ圧縮・解凍ツールを完備したOodleと、幅広いツールを提供。安さや使いやすさ、そして充実したサポートから数多くの開発者に愛用されている。Epic GamesもRADが提供するツールについて、『フォートナイト』を含む自社作品にて「ロード時間を改善するために実際に使用している」という。


Epic Gamesは今回の発表にて、多岐にわたるRAD製品のうち、データ圧縮技術の重要性を特に強調。最新のゲームや他分野の作品では、より多くのデータ量を、品質に影響を与えずに管理するための圧縮ツールが必要になってくると説明した。RADのメンバーは今後、Epic Gamesのレンダリング、アニメーション、インサイト、そしてオーディオチームと密接に協力し、Unreal Engineを筆頭としたEpic Gamesのツール改善に協力していく。このシナジー効果によって、開発者向けには、読み込みやダウンロードの高速化を実現するツールの提供を。プレイヤー向けには、高品質な動画やゲーム体験を届けられるようになるとしている。なお買収後、RAD製品がUnreal Engine専用になるわけではない。Unreal Engineを利用していない場合でも、ライセンスの維持・販売は続けられる。

Epic Gamesが業界トップクラスのツール提供会社や、専門分野を持つ技術系企業を買収するケースは近年増えてきている。2018年9月にはアンチチートツールEasy Anti-Cheatを販売するKamuを買収。2019年には3DCGキャラクターのコンセプト制作やモデリングを手がけ、デジタルヒューマン技術において業界をリードする3Lateralを買収した(関連記事)。その後も、2020年3月にフェイシャルアニメーションのキャプチャリングを扱うCubic Motion、同年11月にリアルタイム・フェイシャルアニメーション技術に長けたHyprsenseを買収。キャラクター描写技術の向上に投資していることがわかる。今回RADを買収することで、そうしたグラフィック面での進歩にあわせて需要が高まるデータ圧縮技術にも力を入れていくのだろう。