『人喰いの大鷲トリコ』はPS5にて60fpsで動く、ただし現時点では「パッケージ版」のみ。不思議現象

 

上田文人氏が率いるgenDESIGNによって生み出された『人喰いの大鷲トリコ』。PS4向けタイトルとして2016年12月に発売され、少年と大鷲の物語が描き出された。同作は、ソニー・インタラクティブエンタテインメントの発売タイトルとして、ほかの作品と同様にPS5による後方互換アップグレードの恩恵を得ている。が、その事情が少し特殊なようだ。Eurogamerなどが報じている。


『人喰いの大鷲トリコ』は、リッチなビジュアルを表現する影響か、フレームレートはやや不安定。オブジェクトが少ない場所であったり、閉じた場所であれば30fpsで安定するが、開けた場所に出た時や崩壊シーンにおいては、20fpsまで落ち込む 。思い出深い作品ではあるが、描写でカクつきがある印象を持つゲーマーもいるかもしれない。PS4 Proではフレームレートの安定度は上がるものの、それでもfpsの上限は30であった。しかしPS5のスペックの恩恵を受け、次世代機では60fpsにて稼働するという。

NX Gamerは、実際に60fpsで動く『人喰いの大鷲トリコ』を披露している。少年がさまざまな場所を探索しているが、かなりなめらかである。同メディアの報道によれば、ゲーム中は60fps固定。オブジェクトが数多く存在したり崩壊シーンなどでも、ヌルヌルである。カクつきがなくなったことでカットシーンに没入でき、こだわられたアニメーションがさらに際立つことだろう。

一方で面白いのは、こうした60fpsの恩恵を受けられるのは、現時点では『人喰いの大鷲トリコ』のパッケージ版のみであるという。ディスクを挿入しパッチが当てられていない状態でのみ、60fpsで動作するとのこと。ダウンロード版でプレイした場合は、30fpsが上限であるそうだ。ディスクでのみ60fpsで動くというのは、なかなか興味深い現象といえる。Digital Foundryなど他メディアもディスクでのみ60fpsで動くことを確認しているといい、事実として間違いなさそうだ。

ではなぜ、ディスクでのみ60fpsで動くのか。有力な説としては、最初のパッチによって制限がかけられているからだという。『人喰いの大鷲トリコ』は、発売当初は上限フレームレートが設定されておらず(もしくは60に設定されていた)、パフォーマンスに影響が出ていたという。その後、アップデートによってフレームレート上限が30fpsに設けられたそうだ。このパッチによって、結果的にフレームレート描写が安定したことも報告されている。ダウンロード版は、基本的にそうしたパッチが適用された状態である。一方で、物理ディスクであれば、パッチをあてなければ30fpsの制限を受けない状態でゲームがプレイできる。それゆえに、パッケージ版ならば60fpsでプレイできるのだろう。


ただし、今後アップデートが実施されることで、ダウンロード版も60fpsで動くという可能性は大いにあるだろう。まだPS5は発売されておらず、PS5向け最適化具合はタイトルによってまちまち。すでに60fpsで動くパッチが配信されている『Days Gone』や『ゴッド・オブ・ウォー』『ゴースト・オブ・ツシマ 』のような作品もあれば、fps上限が引き上げられていない『ブラッドボーン』のような作品もある。フレームレートに制限を受けていたタイトルが、PS5にてなめらかになる。そうした後方互換機能を楽しむのも、新ハードを入手した時の楽しみのひとつになりそうだ。