『原神』のゲーム内セリフ「えへってなんだよ!」がカルト的人気。非常食パイモンが放つ言葉のパワー


原神』に登場するマスコット的キャラクター「パイモン」が世界的に人気を博している。最近のトレンドになっているのは、彼女(?)が放つセリフ「えへってなんだよ!(hehe te nandayo)」。『原神』は世界的なヒットが伝えられているが、奇妙なネットミームが生まれつつあるようだ。


『原神』はmiHoYoが開発するオープンワールドアクションRPG。対応プラットフォームはPC/PS4/モバイル(Android/iOS)で、PC/モバイル間ではクロスプログレッションにも対応している。本作では、広大な世界テイワットを舞台に、素材採取やクラフト、キャラ育成や7つの元素をまじえた戦闘、謎解きなどが楽しめる。そんな『原神』にて、旅のおともとなるのがパイモンだ。パイモンは『原神』におけるナビゲート役を務めており、システム面を含めて全面的にプレイヤーをサポートする。ゲームのアイコンにもなるなど、顔ともなる存在だ。このパイモンが、熱狂的な人気を獲得している。

パイモンは、プロモーションでもゲーム内でも“いじられキャラ”である。彼女を非常食とするネットミームおよび二次創作イラストを、見たことがある方も多いだろう。パイモンはそもそも、ゲーム最序盤にて「プレイヤーに釣られて救われる」という衝撃的な登場を果たす。さらに、その直後、初対面となったアンバーにパイモンを紹介するくだりにおいては、選択肢によっては「パイモンは非常食である」と説明することになる。ストーリーではその後も同様に非常食であると紹介するシーンがあったり、公式CMでも非常食と紹介されたり。パイモンを非常食とする文化は、公式お墨付きのネットミームとして浸透。鍋に入れられたり、食材にされたりするなど、非常食をテーマとした二次創作アートは、数々生み出された(Know Your Meme)。

https://www.youtube.com/watch?v=wQ8sqKQ0YrU


興味深いのは、それに続くネットミームとして、「えへってなんだよ!」なるネタが爆発的な人気を呼んでいること。「えへってなんだよ!」とは、序章第2幕にてパイモンがウェンティに言い放つ言葉。プレイヤーたちは、吟遊詩人であるウェンティの作戦にのり、紆余曲折の末に神の遺産である天空のライアーを盗む。苦労して入手したものの、天空のライアーは状態が悪く、酒場での自身の演奏ぐらいにしか使えないと語った。パイモンがすかさず「酔っぱらい相手に歌を聞かせるためだったのかよ」と怒り。ウェンティは「えへ」とコメント。「えへってなんだよ!」というのは、そんなお調子ものに向けられた言葉なのだ。

この「えへってなんだよ」という言葉は、ここ最近になり爆発的な人気を博しており、「えへってなんだよ」を100万回喋らせるという謎動画は、YouTubeにて84万回以上再生されており、そのほかにもさまざまな作品のシーンや映像にパイモンが「えへってなんだよ」とコメントしていく動画も界隈で人気を博している。ちなみに日本語では「えへってなんだよ」と表記されているが、英語や中国語ではウェンティは「hehe」と返答することから、「hehe te nandayo」というワードで浸透している。


非常食ネタについても、「えへってなんだよ」についても、謎めいた流行であるが、パイモンのツッコミが映えるシーンが関わっているという、共通点を見出だせるかもしれない。というのも、『原神』の世界は基本的にツッコミ役が不在なのだ。ストーリーについてもかなりシュールで、会話も噛み合わないことがしばしば。これはローカライズの問題というよりは、世界観に根ざしたものだろう。各キャラが好き放題ボケ散らかしているのだ。

パイモンはかわいいマスコット兼ナビゲーターというだけでなく、ツッコミ役という重責を担っているのだ。非常食ネタについても、「全然違う!マスコット以下じゃないか!」と的確にツッコミを返す。この返しがあるからこそ、非常食はネタとして人気を博しているのだろう。YouTubeで検索するだけでも、大量の「hehe te nandayo」動画が確認できる。パイモンのツッコミ力の真髄が詰まったフレーズ。彼女のツッコミ芸に、全世界が夢中なのだ。

もちろん、パイモン自体のかわいらしさも、人気の下地になっている。同キャラの声を演じる声優の古賀葵さんは「天然系かと思いきや、元気でヤンチャな子だった」とコメントしている。ちょっぴり生意気であるが、かわいらしくプレイヤーに寄り添ってくれる。また日本語吹き替えにてゲームを遊ぶ海外プレイヤーも散見される。そんな喜怒哀楽豊かで鋭いツッコミを放つパイモンを表現する古賀氏の演技もまた、パイモン人気の立役者のひとりである。


なお『原神』については、調査会社Sensor Towerが初月で6000万ドル(約63億円)の売り上げを記録したと報告している。中国国内で人気を博しているほか、日本やアメリカでも収益を得ているという。miHoYo自身はこうした収益については公式発表していないものの、アメリカやイギリスのApp Storeでも上位に食い込んでおり、数多くのプレイヤーが遊んでいるのは確か(アプリオン)。中国・日本だけでなく欧米人気もある作品であるがゆえに、こうしたネットミームが生み出されているのかもしれない。

『原神』はPC/PS4/モバイル向けに、基本プレイ無料タイトルとして配信中。明日10月20日からはイベント祈願「フレアの止まり」を開催されるなど、さまざまなイベントが実施予定だ。