『ポケモンGO』の「位置情報偽装ツール使用者」にBANの波が押し寄せる。ツール使用者は嘆願署名にて対抗

『ポケモンGO』にて、位置情報偽装ツールを使用するユーザーを対象とした大規模BANが行われているようだ。対象ツールは、「iSpoofer」「iPogo」をはじめ多岐にわたっているという。こうした位置情報偽装ツールを使用していたユーザーから、警告もしくは処分を受けたという報告が相次いでいる。こうした事態を受けて、不正ツール使用ユーザーは抗議の声をあげているようだ。

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『ポケモンGO』は、現実世界を舞台とした位置情報ゲーム。実際の地図を模したゲームにポケモンが現れ、その場所まで歩いて捕獲しにいく。捕獲したポケモンはアメなどを使って育成することもできる。進化させたり他ユーザーと交換したりと、多岐にわたるあそびが可能なタイトルだ。さまざまな楽しみ方が可能な本作であるが、コアとなるのは「歩く」ということ。そして、「歩く」を支えるのが位置情報技術であるわけだ。この位置情報をいじってしまうのが、今回問題になっているツールの主な用途である。

代表格となるツール「iSpoofer」ができることとして、ツール販売業者が謳っている要素は以下のとおり:

・ジョイスティック(画面左下にバーチャルパッドを表示させ、自由移動)
・自動歩行
・IVリスト(高個体値ポケモンをリスト化)
・IVエンカウントチェッカー(野生の高個体値ポケモンを判定)
・近隣チェッカー(近くにあるポケモンやジムをスキャン)
・強化スロー(ゲットチャンス時にポケモンを捕まえやすくする)
・キャッチトリック(捕獲の高速化)など

バージョンやエディションによって機能は異なるが、多岐にわたる機能を備えている。『ポケモンGO』本編と同時に、これらのツールを立ち上げることで、こうしたツールが機能するかたち。と、ここまで説明するとはっきりわかるように、「iSpoofer」は端的にいって不正ツールである。位置情報偽装だけでなく、索敵や捕獲を強化するなど、いずれの機能もフェアプレイの根幹を揺るがすもの。ツール販売側も自覚があるようで、開発元のNiantic側に不正を疑わせないためのクールダウンタイム機能を備えており、かつユーザーに過度な使用を控えるように警告している。「iPogo」など他ツールも、細かな機能は違えど主要機能は同じ。位置情報偽装はあくまで機能のひとつで、多面的な不正ツールなのである。

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もちろん、こうした位置情報の改変は規約違反。Nianticサービス利用規約の3.1に、不正行為に対する言及がある。「不正な方法による本サービスへのアクセス(改変された又は非公式の第三者のソフトウェアの使用を含みます。)。」「デバイスの位置を改変又は改ざんする技術(GPSスプーフィング等)の使用。」と、前述したツール使用は禁止事項としてカウントされてる。こうした規約違反者に対しては、処分が下されることも同規約の3.5に記載されている。かなりド直球にアウトなのだ。

Nianticはこうしたツールについて、2018年から対策を講じており、ツール使用者には警告画面を表示させる仕様を導入していた。しかしこうしたツール使用においては、ひとつの対策が恒久的に効果のある措置にはならない。ツール側が仕様変更を試み監視の目を逃れようとし、一方でNianticも追跡を強めるなど、いたちごっこの様相を呈していた。しかしNianticは2020年に入りツール使用者の追跡を強める。Redditにて外部ツール使用者がBANされたという報告が相次ぎだした。

Nianticからの警告は、大きく3種類に分かれているようだ。1st Strikeは一度目の警告。軽めの警告であるが、警告を受けてから1週間レアポケモンとの遭遇やEXレイドへの参加権がなくなるという。そのままツールを使用していると、二度目の警告を受ける。それが2nd Strike。2nd Strikeは「疑惑」としての意味合いが強く、30日のBANを受ける。1か月『ポケモンGO』を遊べなくなるのだ。そしてそのままツールを使用した場合は、3rd Strikeを食らうことになる。3rd Strikeを受ければアカウントごと削除される。二度とそのアカウントでゲームを遊ぶことができなくなる。

大量のユーザーがこの警告を受けており、Redditは緊張状態にある。具体的には1月に「iSpoofer」ユーザーがこうした警告もしくはBANを受け、さらにはそれ以外のツール使用者にも同様のものが届いているという。ツール使用者たちは前出のRedditにて情報共有をしあい、対策や今後について相談している状態だ。そしてNianticの姿勢に心が折れ、匙を投げるユーザーも少なくない。「ありがとうNiantic」というRedditスレッドには、自分たちの『ポケモンGO』中毒を(ツール使用者処分によって)なおしてくれて感謝すると、開発元を皮肉る投稿が寄せられている。このスレッドを立てたユーザーは、レベル40/37/25の3つのアカウントを持ち月額4万円以上を使っていたが、ゲームをやめざるをえなくなったとのこと。最初は怒り狂ったが、1か月が経過しむしろ多くお金を費やさずに済んだことに気付いたとコメント。今ではプレイしたいとはまったく思わないという。ただしこのユーザーはRedditにはまだ訪れていることから、なんともいえない未練がましさを感じさせる。100以上のコメントが寄せられている中、そうした未練を感じさせるのは、スレッド主だけではないだろう。

また3月に入ってからは、Change.orgにてオンライン署名が開始されている。署名の表題は、「位置情報偽装者を迫害するのはやめて #位置情報偽装者もプレイヤーだよ」彼らの言い分としては、『ポケモンGO』には地域格差があるがゆえに、位置情報偽装ツールを使わざるを得ないのだという。郊外在住のプレイヤーとゲームをつなぐツールを奪わないでほしいとNianticに請願している。またBANを実施することで、使用ユーザーが費やしたお金や時間が奪われるとも言及し、情に訴えかけている。この署名のユーザーはすでに1万人を突破。少なくない数であるが、この署名の企画主が、『ポケモンGO』公式Twitterの投稿にリプライをつけてぶら下がり、アピールしていることも付け加えたい。

『ポケモンGO』における地域格差はサービス開始時からの深刻な問題であるが、不正ツールを利用する上での正当な言い訳にはなりえない。ゲームへの不満を不正行為で解消することは、本人にとっては理にかなっているかもしれないが、運営会社や他ユーザーに与える被害は甚大なのだ。特に『ポケモンGO』は本格的な対戦コンテンツ「GOバトルリーグ」が運用され始めており、競争要素も強まっている。フェアプレイを守らないユーザーを容認することは、ゲームの競争構造自体をリスクに晒すことになる。「GOバトルリーグ」の立ち上げ時期と、位置偽装ツールが一掃された時期が被っているのは、偶然ではないだろう。いかなる状況においても、不正は許されない。

『ポケモンGO』は、世界中のユーザーが遊んでおり、イレギュラーな問題が多く発生するゲームなだけに、Nianticもサポート対応に追われ続けている。ツール不使用ユーザーにも警告を出すといった事故も起きているようだが、不正ツールを取り締まる方針自体は賛成できるものだろう。今は不正ツール使用者はNianticの対応に怯えており、BAN効果はしっかりと出ているようだ。とはいえ、『ポケモンGO』の課題はこれだけではない。複数アカウントを運用するユーザーへの処分も進められ、昨年から進む田舎ユーザーへの対応も並行しておこなわれることで、少しでも“平等なポケモンGO”に近づいていくことが求められるだろう。

ちなみに3.1の不正行為の項目には、「同一の本サービスを複数のアカウントによってプレイすること」、つまり複数アカウントでのプレイを禁ずる記述も確認できる。

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