Amazonが2020年にクラウドゲーミングサービスを開始するとの報道。ストリーミング技術と整備されたインフラを活かすサービスに期待かかる

世界最大の通信販売サイトを抱えるAmazonが、クラウドゲーミング事業への参入をほのめかしているようだ。海外メディアCNETなどが報じている。Amazonといえば、ECサイトの運営をはじめ、AWS(クラウド事業)やサブスクリプションサービス「Amazonプライム」などを展開する、米国における主要なIT企業のひとつ。そんなAmazonが来年度、ゲームストリーミングサービスに乗り出すのではないかとの報道が海外メディアを中心に飛び交っているのだ。

クラウドゲームとは、ユーザー側が入力した情報をサーバー側で処理する形式でゲームをストリーミング配信するサービス。つまり、ボタン操作やグラフィックの処理、データの記録などをすべて別のコンピューター上でおこない、最終的な演算結果である映像・音声のみをプレイヤーの所持する端末に提供するサービスを指す。この仕組みによってユーザーは、高性能なPCやコンソールを新たに用意せずとも、あらゆる端末で最新のゲームをプレイ可能に。またゲームプレイに、ソフトなどのインストールが不要といった部分もクラウドゲームの特徴として挙げられる。

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今月19日から世界14か国に向けて開始された、クラウドゲーミングサービスGoogle Stadiaのコントローラー

そして今回、こうしたゲームサービスにAmazonが参入する(かもしれない)との噂が立っているというわけだ。海外テック系メディアThe Vergeの報道によると、Amazonの求人情報ページにクラウドゲーム事業への参入を示唆するような文言が記載されているという。実際に該当ページの求人概要欄には、今日ライブストリーミング配信やeスポーツが盛んなことを引例に、今後ゲーマー同士があらゆる形で大規模に繋がるとの展望を見据えつつ「世界中のデベロッパーが手掛ける次世代ゲームの開発および成功を支援したい方は、ぜひご応募ください」と、ゲーム開発事業への本格的な参入をほのめかすような記載がされている。

ちなみに前述した求人ページは、主要なプロダクトリーダー「New AWS Gaming Initiative」の募集を目的としている。つまりAmazon は、AWSを用いた新しいゲーム開発を牽引する人材を探しているというわけだ。AWS(Amazon Web Services)とは、データ分析やネットワーク、IoTから人工知能に至るまで多種多様なネットインフラを提供するクラウドコンピューティングサービスのこと。『フォートナイト』など数々のゲーム作品においても同サービスが利用されており、クラウド分野でのシェア率は世界1位。このように、Amazonがあらゆるデータを集積する膨大なネットインフラを複数抱えているという事実が、今回の求人概要をクラウドゲームサービス参入への布石とする見方を強めている。また、Twitchの運営を通じた高いストリーミング技術を備えているという点も信ぴょう性に影響していることだろう。

『フォートナイト』

Amazonのゲームストリーミング事業への参入を巡っては、過去にも噂が立っていた。今年1月に海外メディアThe Informationの報道にて、Amazonの事業計画に携わる関係者2名がゲームストリーミングのためのクラウドを2020年の実施に向けて構築していると報告。他のメディアも同記事を取り上げるなか、海外メディアThe Vergeは根拠として、当時Amazonに掲載されていた4つの求人情報を提示。そのうち2つは、シアトルとカリフォルニアにて「クラウドゲーム」に取り組むためのエンジニアを募集していること。3つ目が、「未発表のAAA級ゲーム」の基盤を形作るリードクロスプラットフォームゲームエンジニアの求人がおこなわれていること。そして4つ目に、「これまでにない種類のゲーム」の開発を支援するAIエンジニアを募集していることを引き合いに出し、Amazonがクラウドゲーミングサービスの実施に向けて、すでに動いている可能性が高いことを強調していた。こうした過去の出来事も、Amazonのゲームストリーミングサービス参入への信ぴょう性を高めている。

Amazonが運営するゲーム関連事業といえば、ライブストリーミング配信プラットフォームであるTwitchが有名だが、2014年にAmazonは、オリジナルゲームの開発・販売を担う「Amazon Game Studios」を設立している。『Far Cry 2』のディレクターを務めたClint Hocking氏や『Portal』でリードデザイナーを担当したKim Swift氏などを迎え入れ、2016年には、AmazonオリジナルタイトルとしてMMORPG『New World』、Twitchを用いた視聴者参加型シューティング『Cruicible』、古代ローマを舞台としたMOBA『Breakaway』の3作品を発表。しかし2019年にリリースが予定されていた『Breakaway』は、2018年に開発が中止に。さらに今年6月には大規模な人員整理がおこなわれたようで、解雇された従業員の当時のインタビューによると、未発表のゲームプロジェクトも開発途中で中止されたとのこと。当時の情報を伺う限り、スタジオの状況は決して芳しいとは言えなさそうだ。

*開発が中止された『Breakaway』のトレーラー

一方で、これまで挙げてきたAmazonの求人情報はすべて「Amazon Game Studios」からの募集であり、未来に向けて着実にスタジオ再編に取り掛かっている最中とも見て取れる。果たして再編の過程で新たなゲームストリーミングサービスは誕生するのか、はたまたAmazonオリジナルゲームタイトルが発表されるのか。Googleの「Stadia」、Appleの「Apple Arcade」など、世界をまたぐIT企業がゲーム業界で群雄割拠するなか、Amazonはどう動くのか。今後に注目していきたい。

 

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