むせ返るほど8bitな横スクロールアクション『Insanity’s Blade』

 

筆者が気に入ったホットなゲームを毎週好き勝手に紹介していく週間企画「Indie of the Week」略して「IotW」。第11回目となる今回取り上げるのは2Dグラフィックの横スクロールアクションゲーム『Insanity's Blade』です。カナダの新設スタジオ Casual Bit Game が手がけるこの第1弾タイトルは8 bit 黄金時代の横スクロールゲームをごちゃ混ぜにした闇鍋のような作品となっています。

Casual Bit Game はカナダの東半島にあるノバスコシア州のブリッジウォーター町を拠点とする小さな新設スタジオ。スタッフは雑誌編集の経験者でありビデオゲーム収集家、過去にインディーゲームアワードにノミネートもされたという Chirstopher Obritsch 氏と大学生の Daven Bigelow 氏たった2人だけで、Obrtsch 氏はグラフィックやサウンドを含む開発全般のリードを、Bigelow 氏はその補助としてバグ潰しやコード入力を行うプログラマーの役割を担っています。

そんな Casual Bit が手がける第1弾タイトルですが、「狂気の剣」という意味を持つ『Insanity's Blade』は今後シリーズモノとして展開することが予定されている模様で、本作のタイトル名は正確には『Insanity's Blade: Book 1 The Chronicles of Thurstan』となります。ストーリーは妻と子供の魂を救うため地獄へ向かう父親 Thurstan を描くという内容で、タイトルにもある「狂気の剣」が後々物語のキー要素となっていくようです。

 

体一つで地獄の化け物軍団と戦う本作の主人公 Thurstan。『Insanity's Blade』では Daven Bigelow 氏が過去に執筆していたコミックがベースになっているとのこと
体一つで地獄の化け物軍団と戦う本作の主人公 Thurstan。『Insanity's Blade』では Daven Bigelow 氏が過去に執筆していたコミックがベースになっているとのこと

 

ゲームプレイは王道の横スクロールアクションを中心に、ステージ間にてアップグレードが購入可能という RPG 要素を添えた内容。各クエストに合わせ仲間NPCが登場するといった特徴もありますが、なんといっても8 bit 古典ゲーム的な敵、ステージ、デザインが総登場するのが『Insanity's Blade』最大の魅力と言えるでしょう。

いくつか例を挙げれば『忍者龍剣伝』風の眼力カットシーンや壁蹴りジャンプアクションに始まり、『魔界村』のレッドアリーマーのような複雑な軌道で攻撃してくる敵や『スーパーマリオブラザーズ』のように上空から投下攻撃を繰り返す敵、ほかにも予告無しの落とし穴トラップや無限湧きしてくる一部の敵など、思わずニヤリとする8 bit ゲームトリビュートが総登場していきます。8-bitや16-bitの復刻を謳いレトロゲーム愛好家から資金獲得を狙うクラウドファンディングプロジェクトは少なくありませんが、『Insanity's Blade』はそんな中でも確かな古典ゲームへの敬愛が感じられる"本物"と言えそうです。

 

NES と全く同一のハードウェア性能でもチラツキやスローダウン無しに動作するようデザインされているという『Insanity's Blade』。サウンドトラックは実際に NES やファミコンの外部拡張音源 VRC6 で再生可能という気合いの入りっぷり
NES と全く同一のハードウェア性能でもチラツキやスローダウン無しに動作するようデザインされているという『Insanity's Blade』。サウンドトラックは実際に NES やファミコンの外部拡張音源 VRC6 で再生可能という気合いの入りっぷり

 

また筆者の個人的な趣味として、轟々と燃え盛る炎の中を女子供が逃げ惑い、天井からは上半身しかない人間が緑色の吐瀉物を吐き出し、主人公は牛男の腕を引き千切って振り回し骸骨の化け物たちを霧散させる、これ最高です。漆黒に塗り上がった悪魔的なエネミーとステージデザインはイビルな諸兄たちを楽しませてくれることでしょう。公式サイトからは序盤ステージを収録した体験版がダウンロード可能で、チュートリアルの無しで最初からプレイヤーを殺しにかかる良い意味で不親切なクラシックバランスを体感することができます。

なお現在『Insanity's Blade』は Kickstarter にて6000カナダドルの獲得を目指すクラウドファンディングを実施中で、8 bit の色香に当てられたユーザーはこちらもチェックしてみましょう。