Nintendo Switch向けリメイク『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者』『ファミコン探偵倶楽部 うしろに立つ少女』発売延期。品質向上のため

 

任天堂は10月15日、『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者』『ファミコン探偵倶楽部 うしろに立つ少女』の発売を延期すると発表した。両作はNintendo Switch向けに2020年の発売が予定されていたが、初報以来ニュースが途絶えており2021年に発売延期することとなった。さらなる品質向上のためだという。

『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者』『ファミコン探偵倶楽部 うしろに立つ少女』は、1988・1989年に発売された『ファミコン探偵倶楽部』2作品のリメイクだ。『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者』は、コマンド選択型のアドベンチャーゲームだ。推理よりも物語を味わう体験を重視した作品で、記憶をなくした主人公と橘あゆみを中心とした殺人事件を追う物語が描かれた。『ファミコン探偵倶楽部 うしろに立つ少女』はその続編であり、前日譚。ともに前後編で構成されており、ナラティブなアドベンチャーとして高い評価を獲得した。

Nintendo Switch向けに発表された『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者』『ファミコン探偵倶楽部 うしろに立つ少女』は、フルリメイク作品。『STEINS;GATE』『OCCULTIC;NINE』などの科学アドベンチャーゲームを手がけたMAGES.と、坂本賀勇氏含むオリジナルスタッフが“がっつり”タッグを組んで開発していると発表された。グラフィックやBGMが一新され、会話シーンはフルボイス化。現代向けアドベンチャーゲームとして、MAGES.のフィルターを通して『ファミコン探偵倶楽部』が描かれると告知されていた。


発売延期理由については、さらなる品質向上のためとされているが、開発を担当するMAGES.の再編も関係しているかもしれない。MAGES.はかつてドワンゴグループの傘下にあったが、2019年7月に志倉千代丸氏が代表を務めているCHIYOMARU STUDIOがマネジメント・バイアウトを実施し、ドワンゴが所有していた全株式を買い取り。『ファミコン探偵倶楽部』リメイクが発表されたのは、その2か月後の2019年9月であった。

しかし今年の3月に入り、コロプラがMAGES.を完全子会社化したことを発表。MAGES.はコロプラグループの傘下となった。コロプラといえば、『白猫プロジェクト』に関連した特許をめぐり任天堂と係争中。コロプラはNintendo Switch向けに『白猫プロジェクト』を開発していたが、昨年12月に同作の発売が無期延期されたことが明かされるなど、両社の関係が複雑であることを垣間見せた。リメイク版『ファミコン探偵倶楽部』の発表時、坂本氏はMAGES.の作家性が出たタイトルになることを強調していたことからも、同社が重要であることが伺えた。任天堂と親会社のリレーションが、発売を難しくしている可能性はありそうだ。

ただし今回直接言及されていない以上憶測には過ぎない。延期理由は、あくまで「さらなる品質向上のため」。コロプラによるMAGES.買収が開発に影響を及ぼしていないことを願いつつ、2021年の発売を楽しみにしておこう。