『GTA』好きな11歳の英国少年が無免許運転。一日中ゲームで遊ぶ子供をみかねた家族が実際に運転させてみたところ、交通違反処分


英国ランカシャーにて、11歳の少年に車両を運転させた人物に交通違反の処分が下されたと報じられている。現地警察が伝えるところによると、「PlayStationで1日中『Grand Theft Auto』を遊んでいる子供をみかねた家族のひとりが、ブラックプール(町名)の駐車場で運転の練習をさせていた」という。少年は乗用車「ボクスホール アストラ」を運転していた様子。同乗していた大人には交通違反の処分が下されたとのこと。TIMEBBCが報じている。

家にこもっている子供を外に連れ出したいという想いがあったとはいえ、公道での無免許運転は交通法違反。英国で仮免許取得の申請ができるのは15歳9か月からで、公道での自動車運転は通常17歳から認められる(モペットは16歳から可)。ただ英国には、17歳未満向けの運転レッスンを提供する企業もあり、運転免許証を持っていない未成年向けに練習の場が設けられていないわけではない。たとえば、Young Driverは5歳~17歳向けのレッスンを提供している。決して安価ではないが、本気で子供に運転の練習をさせたい場合は、公道ではなく私有地を使ったレッスンも選択肢のうちだろう。

なお最新作の『Grand Theft Auto V』(以下、GTAV)も含めて、レーティング機関PEGI(汎欧州ゲーム情報)による『GTA』シリーズのレーティング区分は基本「18」(例外として、2004年発売の『Grand Theft Auto Gameboy Advance』は「16」区分)。暴力表現や汚い言葉づかいから、18歳以上を対象とした一番高いレーティングがつけられている。英国では、対象年齢未満の人物にゲームを販売することは禁じられているとはいえ、対象年齢者が子供のためにゲームを購入することは禁じられていない。11歳の子供に『GTA』作品を遊ばせることの是非について議論の余地はあるかもしれないが、少なくとも買い与えることは法律違反ではない。

英国誌のThe Independentは、通信サービスプロバイダーのO2が2018年に実施した子育てアンケート結果として、子供に18歳以上対象の映画の鑑賞やゲームのプレイを許可する年齢は、平均14歳であると報告していた。英国中等教育におけるキー・ステージ4(14~16歳)開始が、親にとってひとつの目安になるのかもしれない。そうしたアンケート結果の平均と比べると、今回のケースはやや低年齢ではあるが、子供が『GTA』作品を遊んでいることを家族が認識していることから、対象年齢18歳以上のゲームを遊ばせること自体は、子育ての方針として認めているのだろう。ただ、遊びすぎてしまう点は懸念視していたようだ。

ランカシャー交通警察の公式ツイッターアカウントは、現地で発生した交通違反・交通事故に関する情報を日々発信している。ほとんどは真面目なツイート内容であり、最近では車両保険に入っていないことを隠すためにナンバープレートの「J」を黒マーカーで「U」に書き換えた運転手といった、変わり種の逮捕案件も報告している。今回の『GTA』少年の一件については、わざわざ『GTAV』内で逮捕された際に表示される「BUSTED」の画像をツイートに挿入していることから、現地警察としてもややユーモラスな事件に映ったのだろう。