2D ADV『Little Misfortune』日本語に対応しSteamなどで販売開始。母の幸福を願う8歳の少女が辿る愛と別れの物語


Killmonday Gamesは9月19日、『Little Misfortune』をリリースした。『Little Misfortune』は、両親の無残な死体を目撃し、精神病院に入院することとなった少女が、幻覚の中で真実に迫っていくADV『Fran Bow』の開発元Killmonday Gamesが贈るアドベンチャーゲーム。Steam/Origin/GOG/Humble Storeにて、PC向けに販売中。Steamでの価格は2050円。10月2日までの期間で、前作所有者向けのセールあり。音声は英語のみだが、字幕にて日本語へ対応している。

『Little Misfortune』は、愛と別れの物語だ。主人公は、家族に暴力を振るう父と、酒浸りの母を両親に持つ8歳の女の子「ミスフォーチュン」。父に投げつけられ、一部が赤く染まった石をおもちゃにしている小さなお嬢さんが、プレイヤーに対して物語の語り手を自称し、彼女が「今日死ぬ」と予言する謎の声「ミスターヴォイス」と出会うシーンから、本作はスタートする。

「最後まで辿り着いたら報酬が貰える」ゲームへと誘うミスターヴォイスに従い、「永遠の幸せ」を求めて、家を飛び出してさまざまなものと出会う。繋がれて、森の中に放置された犬。首を吊った男の死体。ハムスターのパーティーと、白い錠剤。行く先々で現れる謎の狐「ベンジャミン」。街中には、行方不明になった子供のポスターがあちこちに張られており、道行く人々は一様に仮面を被っている。どこまでが現実で、どこからが夢なのか判断のつかない世界を歩き、選択を迫られながら、母のため「永遠の幸せ」を手に入れることが彼女の目的。8歳のフィルターを介した不気味でちょっとダークな世界観と、悲しくも美しい物語が、本作では描かれている。

アドベンチャーゲームには、物語の合間に簡単なパズルや謎解きが登場しがちだが、本作には事前に明かされていたとおり、進行のために解かなければならない仕掛けはあまり登場しない。代わりに、ミスフォーチュンとミスターヴォイスの2人が、フルボイスで喋るシーンが多数用意されていたり、要所ではアニメーションによりシーンを表現し、ストーリー体験を強化している。また作中の1シーンでは、ちょっとしたミニゲームも登場する。

プレイ時間はエンディング到達までで3時間程度だが、行動や選択によって変化する要素あり。翻訳の質については、口調などに多少違和感を覚えるものの、ストーリーに影響は出ない程度に仕上がっている。海外のインディータイトルらしい下品なシーンが少し登場するが、ゴア表現やホラー要素は控えめで、安心してプレイできる。

開発元のKillmonday Gamesは、スウェーデン在住の夫婦Isak J Martinsson氏と、Natalia Martinsson氏によるスタジオだ。前作『Fran Bow』は2人で作り上げたそうだが、その後スタッフを増員。本作では、ストーリーとゲームプレイを夫婦で手掛け、リードプログラマーとBGMをIsak J Martinsson氏が担当。アートディレクター及びアニメーションディレクターと、ミスフォーチュンの声をNatalia Martinsson氏が担当している。また、OSTとアートブック付きのFancy Editionは3080円だ。少しひねくれた良質なADVが遊びたい方は、まずはDemo版をダウンロードしてみてはいかがだろうか。