『シャドウ オブ ザ トゥームレイダー』には初日アップデートで削除された別エンディングが存在した。トゥームレイダー生誕の物語を締めくくる、もうひとつの展開


スクウェア・エニックスより914日に発売された『シャドウ オブ ザ トゥームレイダー』。主人公ララ・クロフトが若き考古学者から「トゥームレイダー」へと成長していく過程を追うリブート三部作の最終章であり、スクウェア・エニックス傘下のEidos MontrealCrystal Dynamicsが共同で開発を担当している。

※本稿には『シャドウ オブ ザ トゥームレイダー』のエンディングに関するネタバレが含まれています。

 

近年のAAA級タイトルの例に漏れず、本作ではリリース初日にDay1パッチが配信されている。そのため、プレイヤーの多くは最新バージョンにアップデートした状態でゲームをプレイしていることだろう。そんな中、パッチ適用前のバージョンでゲームをクリアしたプレイヤーより、Day1パッチ適用前と適用後とでエンディングの一部が変わることが報告され始めた。こうした動きを受け、海外メディアKotakuGamesRader+も同様の内容を報じている。

以下はDaft Raider氏が撮影した、Day1パッチ適用前のポスト・クレジットシーンと、920日にCrumbling Faith氏が投稿した、パッチ適用前・適用後の比較動画である。

パッチ適用前と適用後では、音楽やカメラワーク、台詞のタイミングがガラッと変わっている。特にコミュニティや海外メディアで注目されているのは、パッチ適用前のバージョンに映っている、Jacqueline Natla(ジャクリーヌ・ナトラ)からララ・クロフト宛てに送られた手紙と、リブート前のララ・クロフトのアイデンティティのひとつであった二丁拳銃が、パッチ適用後のバージョンからは消えているという点だ。ジャクリーヌ・ナトラとは、リブート前の作品群にて悪役として登場したキャラクターであり、シリーズ一作目の『トゥームレイダー』では、ララに秘宝探索を依頼する重要人物でもあった。

一方、パッチ適用後のエンディングでは、ナトラからの手紙と二丁拳銃が映らないかわりに、ララが幼少期に描いた絵にカメラが数秒間寄ってから画面が暗転する。この絵にはクロフト家の三人、恐竜、そしてピラミッドらしき建造物がセットで描かれている。1996年に海外リリースされた初代『トゥームレイダー』では、ボス敵としてT-Rexが登場するほか、舞台のひとつとしてエジプトのピラミッドを訪れることとなる。パッチ適用前の映像に映っていたナトラの手紙のように、初代『トゥームレイダー』とのつながりを示唆する演出である点には変わりないようだ。

では、初代『トゥームレイダー』とのつながりを示唆するという趣旨が変わっていないにもかかわらず、その伝え方を変えたのはなぜだろうか。『トゥームレイダー』のフォーラム会員ArigatoGozymas氏は、スクウェア・エニックスがファンサイト・プログラム用に出した以下の声明文を引用し投稿している(公式フォーラム)。スクウェア・エニックスはのちに、この文面が正式な内容であることを海外メディアに伝えている。

「『シャドウ オブ ザ トゥームレイダー』の開発段階では、複数のポスト・クレジットシーンが検討されていました。残念ながら、検討はしたものの、方向性の関係で最終的に採用されなかったシーンが、完成版のゲームに誤って含まれてしまいました。Day1パッチでは、そのほかの改善点とあわせて、このエラーが修正されています。プレイヤーの皆様には、最新パッチをインストールすることで最善のゲーム体験を味わうことを推奨いたします。」

Shadow of the Tomb Raider

具体的な変更理由は不明ながら、将来的なナトラの登場を示唆することは、今後のシリーズの構想上好ましくないという判断が下されたとも考えられる。今後のサプライズとして取っておきたい、もしくはナトラが登場しない展開を思い描いているといった具合にだ。ただ2つのエンディングを比較する限り、別の変更理由があったようにも思える。単純に、パッチ適用前の映像では初代『トゥームレイダー』とのつながりに気づきにくいため、内容を変更したという理由だ。

ボツになったエンディングでは、封筒に書かれた「Natla」という文字は小さく表示されるため、見逃してしまう可能性がある(英語圏外のプレイヤーであれば、どのキャラクターであるのか気づけない可能性もあるだろう)。一方、パッチ適用後の絵であれば目に入りやすいし、「Natla」というアルファベットを読めなくても理解できる。またパッチ適用前の手紙よりも、パッチ適用後の絵の方がカメラにおさまっている時間が長く、プレイヤーに情報を咀嚼する時間を与えてくれている。このようにリブート三部作の締めくくりとして、ララ・クロフトの物語を初代『トゥームレイダー』へとつなげるという演出をより効果的に伝えるために、内容を変更したとも考えられるだろう。手紙、二丁拳銃、恐竜の絵を全て押し込んでもよいが、その場合、1分間のポスト・クレジットシーンに含む情報量としては多すぎるかもしれない。

ゲーム終盤でララは、「宝探しは終わり。生きてる人のそばにいたいの」という台詞を漏らす。冒険の日々からしばし抜けようとしているララの物語としては、ナトラからの手紙を手に取り、次なる冒険への出発を示唆して三部作を締めるよりも、いつかまた冒険に出ることになるであろう可能性をほのめかすだけにとどめる方が、自然な幕引きと言えるのではないだろうか。

若きララ・クロフトを描くリブート三部作の最終章『シャドウ オブ ザ トゥームレイダー』はPCSteam/PlayStation 4/Xbox One向けに発売中。新たなチャレンジトゥーム、コスチューム・武器・スキル、サイドミッションの提供を予定しているシーズンパスも販売中だ。