Nintendo Switch版『エースコンバット7』のグラフィックが「他機種版にも引けを取らない移植」との称賛受ける。いろいろ工夫・節約しつつ、“革新の雲表現”などはほぼそのまま

バンダイナムコエンターテインメントは7月11日、Nintendo Switch向けに『エースコンバット7』をリリースした。そんなSwitch版について、他機種版と比較してもグラフィック面で遜色なく、よくできているとして話題になっているようだ。

バンダイナムコエンターテインメントは7月11日、Nintendo Switch向けに『ACE COMBAT7: SKIES UNKNOWN DELUXE EDITION』をリリースした。そんなSwitch版『エースコンバット7』について、他機種版と比較してもグラフィック面で遜色なく、よくできているとして話題になっているようだ。海外メディアEurogamerが報じている。

『エースコンバット7』は、フライトシューティングゲーム『ACE COMBAT(エースコンバット)』シリーズの最新作だ。PC(Steam)/PS4/Xbox Oneに向けて、2019年にリリースされた。同作では第二次大陸戦争が勃発した2019年のユージア大陸を舞台とし、宇宙太陽発電の基盤となる軌道エレベーターなどをめぐる、大国オーシア連邦とエルジア王国との軍事衝突が描かれる。また、本作は「空の革新」を謳い、グラフィック表現も過去作から大幅にパワーアップ。たとえば雲については、空中に質量感をもって生成され、中に入ると機体に影響が出るといった次世代の表現が追求されている(関連記事)。


そんな同作が各種DLCを同梱した「DELUXE EDITION」としてNintendo Switch向けに移植され、今年7月11日にリリースされた。このNintendo Switch版『エースコンバット7』について、他機種版とのグラフィックの比較がおこなった動画が公開され、話題となっている。今回比較動画を公開したのは、ゲームやハードウェアの技術的な分析を専門としているDigital Foundry。動画内では、主にXbox One版(Xbox One Sにて検証)の『エースコンバット7』と比較しつつ、ビジュアル面を確認している。


比較映像を確認すると、高精細・フォトリアルを志向した本作を、Nintendo Switchにて快適に動かすためのさまざまな工夫がうかがえる。Nintendo Switch版ではマップ内に登場する樹木の数が、最適化のためXbox One版に比べ間引きされている様子がうかがえる。ほかにも遠景では樹木そのものの描写を一定距離までおこなわない、といった最適化により負荷の軽減をおこなっている模様。都市のマップでは、樹木と同様に建造物の数も削減されているようだ。こうして描画距離やそもそものオブジェクトの数を調整することで、パフォーマンスの安定を図っているのだろう。

Image Credit: Digital Foundry on YouTube


一方で機体、そして雲などの描写はXbox One版にも引けを取らないと評価されている。『エースコンバット7』ではtrueSKYと呼ばれるテクノロジーなどを使用し、現実味のある雲を生成。ゲーム内では立体的な雲が登場し、雲を通り抜ければキャノピーに水滴がつくといった演出もなされる。

そんな本作の“売り”でもある雲について、Nintendo Switch版とXbox One版の比較映像では、その違いはほとんどないように見える。樹木や建造物などとは異なり、描写のボリュームにも、さほど差異はなさそうだ。さらに敵の撃破時にみられる爆炎や煙の演出も、解像度や見た目の密度がやや控えめでありつつも、違和感なく描かれている。

Image Credit: Digital Foundry on YouTube


さらにDigital FoundryはNintendo Switch版『エースコンバット7』では、UIがXbox One版より鮮明に見えると指摘している。Digital Foundryはこの原因について、「レンダリング解像度が高いのではないか」としている。Digital Foundryが計測したところ、Nintendo Switch版では1080p(1920×1080ピクセル)と見られる一方、Xbox One版のUIは720p(1280×720ピクセル)の解像度なのではないかと推察している。

Image Credit: Digital Foundry on YouTube


Nintendo Switchでは携帯モードで遊ぶことも可能なため、エフェクトやオブジェクトの描写は負荷の観点から節約しつつも、小さい文字などが多いUIの部分については見やすさを確保するために解像度を向上する方針もあったのかもしれない。加えてパフォーマンス面についても、計測では基本的に秒間30フレームで安定していたようだ。

PCや他コンソールに向けてリリースされていたゲームがNintendo Switchに移植される例は複数あり、たとえば『ホグワーツ・レガシー』が、移植にともないオープンワールドのフィールドを分割エリア化するなどさまざまな工夫により対応していた。高性能ハード向けのタイトルを、スペックの抑えられたNintendo Switch向けに移植する際には、タイトルごとにさまざまな工夫が図られていると見える。今回は『エースコンバット7』にてそのクオリティの高さが注目されたかたちだ。

ACE COMBAT7: SKIES UNKNOWN』はPC(Steam)/PS4/Xbox Oneに向けて販売中。Nintendo Switch向けには各種DLCなどが同梱された『ACE COMBAT7: SKIES UNKNOWN DELUXE EDITION』が販売中だ。

Kosuke Takenaka
Kosuke Takenaka

ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。

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