『SUPERVIVE』は「負け試合にイライラしなくていい」設計のMOBA×バトロワ×ヒーローPvP。異色の3ジャンル合体ゲームについて、“オールスター開発陣”代表に訊いた

MOBAとバトルロイヤル、ヒーローシューターが融合した『SUPERVIVE』。ユニークなシステムをもつ本作独自の魅力を開発陣に訊いた。

パブリッシャーのネクソンおよびデベロッパーのTheorycraft Gamesは11月20日、基本プレイ無料対戦アクション『SUPERVIVE』の早期アクセス配信を世界同時に開始した。対応プラットフォームはPC(Steam)で、日本語には2025年第1四半期対応予定。

『SUPERVIVE』はチーム制の対戦ゲームだ。ジャンルとしてはMOBAとバトルロイヤル、ヒーローシューターが融合したものとなっている。プレイヤーはそれぞれが個性豊かな「ハンター」と呼ばれるキャラクターを選択して4人1組または2人1組でチームを組み、最後の1チームになるまでほかのチームと戦うことになる。また、1v1モードとも今後実装予定だ。

韓国で11月14日から17日まで開催されていた「G-STAR 2024」にて、本作がプレイアブル出展。弊誌は、同イベントにて実施された開発陣へのインタビューに参加する機会をいただいた。開発元Theorycraft GamesのCEOであるJoe Tung氏と、『SUPERVIVE』のエグゼクティブ・プロデューサー、Jessica Nam氏から、ユニークなシステムをもつ本作独自の魅力を訊いた。

──2人の自己紹介をお願いいたします。

Jessica Nam(以下、Nam)氏:

Jessica Namと申します。『SUPERVIVE』ではエグゼクティブ・プロデューサーを務めています。

Jessica Nam氏

Joe Tung(以下、Tung)氏:
Theorycraft GamesのCEOを務めているJoe Tungと申します。 『SUPERVIVE』の開発に関わる前はRiot Gamesに長くおりました(同氏は『League of Legends』などの開発・運営の要職を担当)。その前はBungieにて『Halo』シリーズや『Destiny』に携わっていました。

Joe Tung氏

──SUPERVIVE』とはどんなゲームなのか、概要を教えて下さい。

Nam氏:
『SUPERVIVE』は、一言でいえば、MOBAとバトルロイヤルとヒーローシューターの合わせ技です。機動性に優れたスピード感のある戦闘が特徴で、試合中にはマップが柔軟に変化。機動力を駆使して、変化していくマップに対応する戦略性も必要になります。これまでになかったようなエキサイティングな作品になっていると思います。


対戦ゲーム開発の“オールスターチーム”が取り組む『SUPERVIVE』


──本作を開発するTheorycraft Gamesは、『League of Legends』や『オーバーウォッチ』、『VALORANT』などに携わってきたゲームクリエイターが多数在籍するスタジオです。それらのタイトルの開発における知見がどのように『SUPERVIVE』に活かされているか、教えて下さい。

Tung氏:
私たちは、この10年~20年間で成功したゲームに携わってきた、素晴らしい開発者を世界中から集めました。『SUPERVIVE』 には、そうしたメンバーの開発経験をすべて注ぎ込み、世界でもっとも楽しさと競技性を両立した作品を目指しています。

ですが、同時にユニークさや新鮮さを感じていただくということも大事だと思ってますので、そうしたPvP体験を作るためには何が必要なのかということに重点を置き、さまざまな革新的要素も盛り込んでいます。


──それぞれのタイトルからは、具体的にどういった部分に影響を受けているのでしょうか。

Tung氏:
プレイしていただいてもわかる通り、いろいろな作品ところから影響を受けていいます。キャラクターを学び、練習を重ねて習熟していくというゲームプレイ・キャラクター設計の面では『League of Legends』がまず挙げられます。『オーバーウォッチ』のキャラクターデザインに携わった開発者もおり、同作の影響も非常に大きいですし、ゲームの土台となるバックエンド部分では『VALORANT』や『League of Legends』に携わったエンジニアたちが取り組んでおり、両作の影響を受けています。なので本作は、本当に今までチームが携わった作品の総決算と呼べると思います。


ジャンル合体による、「イライラ軽減」などの相乗効果

──本作はMOBA、バトルロイヤル、ヒーローシューターが組み合わさっているとのこと。複数のジャンルを合体させることで、どのようなメリットがありましたか。

Nam氏:
メリットは複数あります。まず、3つのジャンルを組み合わせることでお互いに不足している部分を補えることがひとつです。たとえばMOBAでは、ほとんど負けが確定しているような試合でも30分~40分“閉じ込められた”ような気分でプレイしなけらばならない、フラストレーションを感じる状況が起こり得ます。そこに「生きるが勝ち」のバトルロイヤルの要素を加えることで勝ちの目が完全になくなることを防ぎ、試合を最後まで楽しめるようになります。本作は3つのジャンルの交差点のようなゲームであり、プレイヤーの皆さんにとっても価値のある体験を届けられるのではないかと考えています。

──複数のジャンルを組み合わせたことで、ゲームのルールが複雑になっている印象です。それぞれのジャンルに慣れていないプレイヤーは、どのように『SUPERVIVE』を学んでいけばいいのでしょうか。

Tung氏:
『SUPERVIVE』では、ゲームのシステムのすべてを理解しなくても徐々に学びつつ遊べる設計を目指しています。加えて、本作はさまざまなゲームの足し算というお話が出ていますが、MOBAやバトルロイヤル、ヒーローシューターだけでなくアクションゲームのDNAも非常に濃いゲームだと考えています。実際に試遊していただいた方からも、「ハンターの動きが良い」とか「戦闘の様子が素晴らしい」といったような声をいただいています。システム面に関してはたしかに少し複雑なゲームではありますが、操作という面では直感的に楽しんでいただけると思いますので、アクションを楽しみつつシステムは自分のペースで学んでいくというようにプレイしていただけると考えています。


──MOBAとバトロワを組み合わせたことで、自分のキャラクターが強くなっていないうちに敵と遭遇してしまうような展開もあり得ると思います。そういった場合にも設計として“勝ち筋”は用意されているのでしょうか。

Nam氏:
本作ではプレイヤーが客観的に状況を判断できるシステムをいくつか用意おり、たとえば近づくと相手の位置が分かる「オラクル」と呼ばれるオブジェクトがあります。たとえレベル的に負けていても、戦う場所や状況を選べば有利な戦闘を仕掛けられるようなこともあります。プレイヤーの育成の進行状況もわかりやすい設計になっているので、そういった情報を咀嚼して、たとえ不利でも戦略を組み立てられるようになっています。


システム・チート対策・運営について

──今回の出展では21組のモードが試遊できました。ゲームのそのほかのルールについて教えて下さい。

Nam氏:
2人1組のデュオモードと4人1組のスクワッドモードがあり、どちらのモードもひとつの試合に40人のプレイヤーが参加します。それに加えて、1対1のアリーナモードも実装予定です。今回は試遊ということもあり、よりわかりやすいデュオモードを遊んでいただきました。まずはデュオモードでハンターごとの戦闘やチームメイトとのやりとりを学んでいただいて、理解が進んだらこのゲームの醍醐味であるスクワッドモードに進んでいただきたいです。スクワッドモードはチーム単位での戦闘や協力という点で、豊かな経験を提供できると考えています。

──SUPERVIVE』 はPC版でのグローバルローンチが行われますが、PC版以外の展開はあるのでしょうか。また、ビジネスモデルについても聞かせてください。

Tung氏:
おっしゃる通り、まずはPC版のグローバルローンチを成功させたいなと思っています。もちろんコンソールやモバイルにも展開したいという意欲がありますし、そうなればいいなという風に強く思ってます。

ビジネスモデルに関しては基本プレイ無料をベースとして、ほかのゲームと同じようにスキンやエモートなどを有料で販売する形式です。

──PvPゲームでは、有害なコミュニケーションやチートへの対策が大切になってくると思います。『SUPERVIVE』ではどのような対策を用意しているのでしょうか。

Nam氏:
おっしゃる通りそこはものすごく大事な部分だと考えており、ローンチからしっかりと対処していきたいと考えています。『League of Legends』や『VALORANT』での経験を踏襲し、それらのタイトルで採用されているような対策法や、サービスチームの体制を備えています。また、有害性はゲームのフォーマットにも由来している部分が大きいと考えています。さきほど話したように、「負け試合の消化」といったフラストレーションが攻撃性を高める側面もあると思ういます。なので『SUPERVIVE』のフォーマットでは、そういったストレスが軽減されることにも大きく期待しています。


──お話を聞いていると、プレイヤーからのフィードバックをとても大切にしているように思えます。プレイヤーからのフィードバックはどの程度開発に影響を与えているのでしょうか。

Tung氏:
『SUPERVIVE』の開発は本当にユニークでして、開発から1か月でプレイテストを開催するなどプレイヤーからの視点を重視した開発を続けてきました。テストの度にプレイヤーのフィードバックから新しい学びを得ており、今年10月のテストではたくさんの新規プレイヤーに遊んでいただけました。発見として、新規プレイヤーは『SUPERVIVE』に慣れている既存テスターたちとはまったく違うニーズをもっているということがわかったんです。G-Star出展バージョンではそういった新規プレイヤーからのフィードバックを反映し、ゲームをより理解しやすくしました。

我々の開発チームはゲーム業界の中でも判断のスピードが大変早いので、これから先もどんどんと変更を加えていきます。10月のオープンベータテストと今回のG-Starのバージョンを比べていただいても体感いただけるぐらい変更を加えていますし、これからも新しく見えてくるニーズに対応していきたいと考えています。ローンチ後も、2週間に1回の頻度でのアップデートを予定しています。

──2人から、日本のプレイヤーに向けたメッセージをお願いします。

Nam氏:
『SUPERVIVE』は、『スマッシュブラザーズ』や『ダークソウル』などの日本のゲームにインスピレーションを受けたメンバーが集まって開発しています。『SUPERVIVE』には、そういったゲームのDNAもたくさん盛り込まれています。日本のゲーマーの皆さんはどんな新しいものにも果敢に挑戦するイメージがありますので、『SUPERVIVE』もぜひ楽しんでいただきたいです。

Tung氏:
日本でこのゲームをローンチできることに本当にワクワクしています。日本の皆さんからのフィードバックも楽しみです。(日本語で)「皆さん、頑張りましょう!」


『SUPERVIVE』はPC(Steam)向けに、基本プレイ無料で早期アクセス配信中。日本語への対応は2025年の第1四半期に予定されている。

[聞き手・編集:Sayoko Narita]
[執筆・編集:Daijiro Akiyama]

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