2015年9月2日、Steamにてmarbenx氏が開発した『Shower With Your Dad Simulator 2015』がリリースされた。「シャワーを浴びている全裸の父親に子供が抱きつく」という奇妙なゲーム内容でひそかに注目を浴びている本作だが、プレイしてみると設定だけではなく細部まで馬鹿っぷりにこだわっていることがよくわかる。
父親とシャワーと僕と
marbenx氏いわく、本作は「8-bitの父親とともにシャワーを浴びるテンポの早いシャワーシミュレーションゲーム」だ。ゲームには3組の親子が登場し、息子を操作して間違えずに自分の父親に抱きつかせるのが基本のプレイとなる、はずなのだが……。
スクリーンショットやトレイラーなどには“表現規制”が加えられているが、ゲーム本編では一切規制されておらず、局部丸出しの父親たちが優雅にシャ ワーを浴びている。ゲームの合間合間には、息子を丸出しにしながら息子と話す父親のくだらない会話が披露される。荒いピクセルで描かれた局部丸出しの父親 と相まって、哀愁のある笑いを誘う。
『Shower With Your Dad Simulator 2015』には、初期状態では3種類のゲームモードが存在するが、それは前菜のようなものだ。しばらくプレイしていると突如始まる新たな展開は、カオシックでまったく予想できない。
たとえばあるモードでは、突然シャワーではなく風呂に入った父親が出現する。この父親に抱きつくと、息子は「謎の電子空間」に放り込まれることにな る。この緑色のワイヤーフレームはなんなのか、上から降ってきた父親らしきキャラクターは誰なのか。バスタブに乗って電子空間を抜けても、ゲーム側からは なんの説明もない。
『Shower With Your Dad Simulator 2015』では、ゲームの進行度によって複数のモードがアンロックされてゆき、いずれもイカれた内容である。「下半身が裸の刑事がシャワーを修理しようと 奮闘するアドベンチャーゲーム」や、「バスタブに乗りながら自分の父親を捕まえるシューティングゲーム」。狂気の世界観を解説する配慮などゲーム側には存 在せず、プレイヤーはmarbenx氏の悪ふざけと結論づけるほかない。
実際、オプションを覗けば、ヌード表現に関する項目がすべてオンに該当するものしかない。90から90.1のあいだで設定できるFOV(視野角)や、操作する子供の揺れ具合を5度だけ微調整できる設定など、馬鹿げたものが並んでいる。
marbenx氏の悪ふざけに触れて1時間ぐらいゲラゲラと笑うのもいいが、意外にも『Shower With Your Dad Simulator 2015』は遊べるゲームである。たとえば「Endurodad」は、プレイヤーが選んだ息子を操作し、次々と現れる3人の父親から正解を選ぶというモー ド。ゲームを進めていくと障害物が増えたり、父親の周囲をカーテンが覆ったりと、難易度が変化してゆく。「Endurodad」ふくめ、序盤に登場する3 種類のゲームモードにはスコアアタック機能が搭載されており、その気になればいつまでも遊ぶことができるだろう。
『Shower With Your Dad Simulator 2015』はわずか98円で販売されている。ボリュームは値段相応といったところだが、2012年にMikolaj Kaminski氏がリリースした『McPixels』に続く“良きバカゲー”となりそうだ。むしろ延々とプレイを続けなければならない『McPixels』と比較すると、良心的な“箸休めゲーム”として誰にでも薦められる。