恋愛ADV『Song Of Memories』海外版は“独自の手法”でレーティング対策。ヒロインたちの年齢や、「学校」の英訳に工夫加える

イギリスに拠点を置くパブリッシャーPQubeは1月8日、PlayStation 4/Nintendo Switch向けに欧米で発売予定の『Song Of Memories』について、ローカライズにおいて一部表現に修正を施していることを明らかにした。

本作は、Future Tech Labが開発した恋愛アドベンチャーゲームで、日本では2017年に発売されている。両親を早くに亡くし妹とふたり暮らしの高校生の主人公が、6人のヒロインたちと楽しい学園生活を送るも、幸せな日常が突然壊れてしまう運命となり、究極の選択を求められる、という作品だ。有限会社M2が提供する2Dアニメーションツール「E-mote」による全編アニメーションが特徴のひとつで、イベントシーンではこれを活かしたちょっとHな展開もある。

PQubeは、本作のPS4版のパッケージサンプルが届いたことを前日7日に報告していた。これに対して、本作の表現規制の有無を尋ねる声があり、PQubeはゲームコンテンツは日本版と同じ内容であると回答。一方で、日本語から英語などへのローカライズにおいては、「各キャラクターの年齢の削除」と「Schoolという表現を使用せずAcademyに置き換え」をおこなったと説明した。日本版の公式サイトを見てみると、6人のヒロインには詳細なプロフィールが設定されており、年齢も明記されている。主人公の妹は14歳であり、ふたりの幼馴染は同い年の17歳。そのほか18歳の先輩や16歳の後輩、25歳の謎の女性が登場する。

これらの年齢設定をゲームから削除するということは、ヒロインの多くが高校生や中学生であるという元々の設定自体が、海外で発売する際には不適当だということなのだろう。前述したように、本作にはちょっとHなイベントシーンが用意されている。SchoolをAcademyに置き換えるという点も同じ狙いだと言える。どちらも学校を意味する言葉ではあるが、Academyは専門性の高い学校に対して使用されることが多く、必ずしも10代半ばの子供たちが通う学校を指すとは限らない。

PQubeは、海外ゲームだけでなく日本のゲームの欧米版を手がけるパブリッシャーとして知られており、いわゆる美少女ゲームを扱うことも多い。中には本作のように一定程度の性的表現を含む作品もあり、日本では家庭用向けとして問題なく販売されているが、海外では近年トラブルが相次いでいる。たとえば、同じくPQubeが販売する予定だったローグライクRPG『オメガラビリンスZ』は、イギリス・ドイツ・オーストラリアにてレーティング審査を通過できず発売が見送られた。イギリスの審査団体VSCは、同作が性的・ヌード表現を含むことに関して、「女学園」を舞台に「一年生」という設定のキャラクターが存在することを指摘し、子供を性的対象化しているとしていた(関連記事)。同様の事例は『ぎゃる☆がん2』や『クリミナルガールズ2』などの一部海外版でも起こっている。

今回『Song Of Memories』でおこなったローカライズの修正についてPQubeは、レーティング団体の怒りを鎮めるためだとコメントしている(placate age rating boards)。キャラクターの年齢を削除し、SchoolをAcademyに置き換えるという修正点は、上述のイギリスVSCの指摘にピンポイントに対応していると言え、レーティング審査対策という意図があったようだ。またPQubeは、表現規制をするくらいなら取り扱わない姿勢をかねてから示しており、中高生という元々の設定を曖昧にするという今回の手法は、なんとか許容できる落とし所だったのかもしれない。日本の美少女ゲームを扱う海外メーカーはPQubeだけではなく、今回の事例はスムーズに海外リリースをおこなうための先例となるかもしれない。

また最近はゲーム内表現について、プラットフォームホルダーから変更を要請される事例も発生しているが(関連記事)、『Song Of Memories』についてはそういった問題はないようだ。PQubeも、今回の件について「最近のプラットフォームホルダーのポリシー変更とは関係ない」とコメントしている。本作はすでに北米ESRBや欧州PEGIといったレーティング団体での審査を通過しており、PQubeは近日中に発売日を発表するとしている。

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