マイクロソフトが、新配列の「ソフトウェアキーボード」をゲームコンソール向けに考案。ゲームパッドでの文字入力の面倒臭さを改善する

 

ゲームコンソールを使用していて面倒臭く感じることのひとつとして、文字入力を挙げる人は多いのではないだろうか。テキストチャットをおこなう場合や、ダウンロードコードを入力する際などには、どの機種であれQWERTY配列をベースにしたソフトウェアキーボードを利用するのが一般的で、それをゲームパッドで一文字ずつ選択して入力していく。タッチ操作により直接キーを押すことができるNintendo Switchなどは例外と言えるが、そうではないコンソールでは、DUALSHOCK 4のタッチパッドでの入力補助があるPS4を含め、やはり面倒な操作である。

対策として、USBキーボードが利用可能だったり、ゲームパッドに装着できるミニキーボードが発売されていたり、あるいは「PS4 Second Screen」アプリのように慣れ親しんだスマホから入力できたりなどがあるが、いずれも何か別のデバイスを用意しなければならない。そうした状況を根本から改善するため、マイクロソフトが「TEXT ENTRY INTERFACE」なる特許を国際出願していたことが判明し、海外メディアWindows Centralなどが報じている。

マイクロソフトは、両手の指をフル活用することで効率的に入力できるQWERTY配列を、ゲームパッドで使用することはそもそも不自然なことであるとし、文字入力にアナログスティックを持つゲームパッドを使用するという前提のもと、QWERTYに代わる新たな配列のソフトウェアキーボードを提案している。同社の女子高生AIりんなや、仮想パーソナルアシスタント機能Cortanaの日本語版の開発に携わったソフトウェアエンジニアらが考案したそうで、上に掲載したのがそのキーボードのイメージ画像である。

リングが複数重なったようにキーが並んでいることが大きな特徴で、それぞれのリングには反時計回りにAからZまでアルファベット順に並んでいる。図では3連のリングになっているが、この数はあくまで一例とのこと。一番内側のリングが入力をおこなうレイヤーで、ゲームパッドのアナログスティック操作に合わせて選択カーソルがリングに沿って動き、目的の文字のところでボタンやトリガーを操作すると、その文字が入力される。

一方、外側の2つのリングは予測レイヤーと名付けられている。文字によってキーの大きさが異なり、配列の起点もレイヤーごとにバラバラであることがわかるが、予測レイヤーのキーの位置やバランスは入力した文字に応じて動的に変化する。どういうことかというと、入力した文字の次に入力される確率の高い文字を予測し隣接するように移動してきて、そして入力レイヤーに“降ってくる”のだ。そのため、予測が合っていればアナログスティックを再度操作することなく、次の文字をすぐさま打つことができる仕組みである。

上の画像でHを入力した後のイメージ。予測レイヤーで大きく表示されていたAが入力レイヤーに移動していることがわかる

出願資料にて示された図では英語入力を前提としたキーボード配列になっているが、この技術は、たとえば日本語の平仮名をキーに配置するなど異なる言語へのアレンジが可能だという。またユーザーインターフェースも、たとえば長方形であったり曲線であったりと、必ずしもリング状である必要はないとのこと。というのも、この技術はゲームコンソール以外に、VR/AR/MRデバイスと組み合わせて使用することも想定されており、その場合の入力方法はゲームパッドの場合もあれば、専用のモーションコントローラー、あるいはユーザーのハンドジェスチャーや視線を利用することも考えられる。この技術の肝はソフトウェアキーボードの形状そのものではなく、次に入力する言葉を予測し、少ない操作で素早く入力できるよう促す部分にあるというわけだ。

リング状のキーボードはアナログスティック操作との相性は良さそうに見えるが、特許を出願・取得したからといって必ずしも製品に反映されるわけではない。ただマイクロソフトは、身体的ハンディキャップを持つ人もゲームを楽しめるXbox Adaptive Controllerを開発・販売するなど、プラットフォームホルダーとしてアクセシビリティの向上に取り組んでいる。今回明らかになった技術はそうした方面にも活かすことができる可能性もあり、いずれXbox OneやWindows 10向けに実装されるかもしれない。