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マダガスカルの開発元による“マダガスカル魂”炸裂アクション『Kalanoro(カラノロ)』には、僕らが知らない現地の大切なことがぎゅっと詰まってる。たとえば「ゲームに込めた文化」や「人気ゲームと開発シーン」など、開発陣にきちんと教えてもらった

セガは9月24日、Red Raketa Studioが手がける『Kalanoro(カラノロ)』を発売した。対応プラットフォームはPC(Steam)/Nintendo Switch/PS5/XBOX Series X|Sで、ゲーム内は日本語表示に対応している。
『カラノロ』は、3Dアクションアドベンチャーゲームだ。舞台となる「レムリア」は自然豊かな楽園。しかし、今は魔女ラネニーの支配下で住民は苦しんでいる。主人公カラケリはラネニーが開催するライブに忍び込むため、島中からキツネザルのアーティストを探し出しバンドを結成することになる。カラケリは髪の毛や落ちているニンジンなどを駆使して探索をおこなう。アクションパートのほかにもライブシーンやバスでのちょっとした運営などのさまざまな要素が存在する点が特徴だ。

全体的に陽気な雰囲気がただよう本作を手がけるRed Raketa Studioはマダガスカルを拠点とするスタジオだ。マダガスカル製のゲームを遊んだことのある方は少ないのではないだろうか。このたび弊誌はそんなRed Raketa Studioにメールインタビューを実施。マダガスカルらしさをふんだんに埋め込んだ本作のこだわりや、マダガスカルのゲーム事情について、うかがった内容をお届けする。
――Red Raketa Studioについて紹介をお願いします。
Red Raketa Studio:
こんにちは!私たちは、2021年に設立されたマダガスカルのインディーゲームスタジオ「Red Raketa Studio」です。私たちは、プログラミングやゲームデザイン、アート、コンテンツ制作など、さまざまなバックグラウンドを持つメンバーが、共通の「ゲームへの愛」によって集まった小さなチームです。

当初はわずか3人でスタートしましたが、『カラノロ』の開発期間中に徐々に拡大し、最終的には8名のコアメンバーからなるチームへと成長しました。そして、メンバーの多くにとって『カラノロ』は人生で初めて手がけるビデオゲームでもあり、本当に大きな冒険の連続でした。私たちは全員、「マダガスカルから世界へ向けて、記憶に残るゲームを生み出したい」という共通の目標を原動力にしています。そして、マダガスカルで生まれたゲームを世界中のプレイヤーに届けることを目指して活動しています。
――本作はマダガスカルの伝承にインスパイアされた自然豊かな「レムリア」に、近代的な支配者ラネニーがやってくるといったストーリーです。実際のマダガスカルでは自然と近代化の関係はどういったものなのでしょうか。
Red Raketa Studio:
マダガスカルは、その豊かで他に類を見ない生物多様性で知られており、自然はこの島国のアイデンティティを語るうえで欠かせない存在です。しかし、マダガスカルは美しい自然だけで成り立っているわけではありません。他のどの国も同じように、社会は今も変化し続けており、近代化もまたその変化の一部です。
私たちにとって大切なのは、自然と近代化のどちらかを選ぶことではなく、その両者の間にどうやって調和を見いだすかということです。もちろん、言うほど簡単なことではありませんが。『カラノロ』では、この対立をラネニーというキャラクターを通じて描いています。彼女の産業化への野心は、レムリアの自然豊かな環境と衝突します。もっとも、彼女はファンタジー作品の悪役なので、その対立は少しドラマチックに表現しています!
レムリアはマダガスカルから着想を得ていますが、私たちの国をそのまま再現したものではありません。私たちは独自のファンタジー世界を自由に創造したいと考えていました。しかし同時に、この作品には冒険やユーモア、アクションだけではない「魂」のようなものを持たせたいとも考えていました。
そのため、本作には私たち自身が大切だと感じているテーマも反映されています。たとえば、発展と自然との関係、そしてマダガスカル固有の野生生物、特に絶滅の危機に瀕しているキツネザルの保護などです。私たちは、マダガスカルの文化を単なる見た目のインスピレーションとして扱うのではなく、ゲームそのもののアイデンティティを形づくる要素にしたいと考えました。
そして、私たちはゲーム開発スタジオですから、もちろんテクノロジーや進歩そのものに反対しているわけではありません。私たちはただ、未来へ向かって前進することと、受け継がれてきた自然遺産を大切にすることは、決して相反するものではないと信じているのです。
――主人公のカラケリは髪を自在に操るアクションが特徴的です。こういったスタイルはどこから生まれたのでしょうか。
Red Raketa Studio:
マダガスカルの民間伝承において、カラノロは一般的に小柄で毛むくじゃらの、不思議な力を持つ存在として語られており、幸運をもたらす存在と結び付けられることもあります。そこで私たちは、この「毛深い」という特徴を活かしたいと考えました。そしてアクションアドベンチャーゲームを作るのであれば、それを単なる見た目の特徴だけで終わらせる必要はないのではないか、と考えたのです。

こうして生まれたのが、主人公カラケリの髪をゲームプレイの中心的な要素にするというアイデアでした。髪は彼女の外見を特徴づけるだけでなく、敵を攻撃したり、さまざまなユニークなアクションを繰り出したりするための主な武器にもなっています。もちろん、自分の髪が最大の武器なら、しっかりお手入れをしなければなりませんよね? そこで登場するのがシャンプーです!
ゲーム中でカラケリは特別なシャンプーを入手でき、それによって新たな能力を獲得していきます。例えば、「ヘアプーン」は敵に髪を引っかけて一気に飛びかかる能力です。「スタティック・ロックス」は敵に電撃を与えることができ、「カオス・ウィッグ」は敵の頭を髪で覆うことで、一時的に味方を攻撃させる能力となっています。これらの能力はいずれもマダガスカルの民間伝承に直接登場するものではありません。あくまで私たちなりに、「小さくて魔法の力を持ち、とても毛深い生き物がビデオゲームの中でどんなことができるだろう?」という発想から生まれた遊び心あふれるアレンジです。
私たちは、マダガスカルらしい要素を感じてもらえるようにしながらも、自由な発想で楽しめる作品にしたいと考えていました。そして、その結果として「シャンプーが戦闘能力の強化アイテムになる」というアイデアまで生まれたのです!
――本作ではキツネザルたちとバンドを組んでいきます。日本からもマダガスカルといえばキツネザルというイメージは強いと思いますが、実際のマダガスカルではキツネザルたちはどういった存在なのでしょうか。
Red Raketa Studio:
キツネザルは、「マダガスカル」と聞いたときに多くの人が真っ先に思い浮かべる動物のひとつでしょう。それも当然のことです!キツネザルは、マダガスカルの野生生物を他にはないほどユニークな存在にしている象徴であり、私たちの大切な自然遺産の一部でもあります。
また、キツネザルはマダガスカル文化の中でもさまざまな意味を持っており、その捉えられ方は地域やコミュニティによって異なります。そして現在では、多くの種が絶滅の危機に瀕していることから、その保全は重要な課題となっています。もちろん、ワオキツネザル(マキ)は最もよく知られている種類でしょう。しかし、マダガスカルにはそれ以外にも数多くの魅力的なキツネザルが生息しており、そうした種は必ずしも十分な注目を集めているとは言えません。私たちは、そんな彼らにもスポットライトを当てたいと考えました。

そこで『カラノロ』では、あまり知られていないキツネザルの仲間たちを登場させ、それぞれに個性的なキャラクター性を持たせています。単に背景を彩る動物として配置するのではなく、彼らをミュージシャンや物語の重要人物として描き、冒険の中心的な存在にしました。
――本作はマダガスカルらしさ、音楽で敵をおびき出すという特徴的なストーリー、3Dアクションに、バスでの運営要素など多くの要素が存在します。はじめはどういったゲームを作ろうといったアイデアからスタートしたのでしょうか。
Red Raketa Studio:
当初のアイデアは、往年の名作プラットフォームゲームに着想を得たアクションアドベンチャーを制作することでした。ただし、その中心にはマダガスカルの民間伝承や文化、そして私たちならではのユーモアを据えたいと考えていました。
もちろん、初めての作品である『カラノロ』は、開発の過程でさまざまな変化を経験しています。例えば、当初はアクションやプラットフォーム要素に加えて、村の運営システムを導入する予定でした。しかし開発の中盤で、ナラティブデザイナー兼リードレベルデザイナーのディナが、「タクシー・ブルース(マダガスカルで広く利用されている乗り合いバス)」を拠点とするアイデアを提案してくれたのです。これは私たちが描きたかった旅の体験により適しており、結果としてゲームにさらに個性を与えてくれました。
そして「音楽」が、物語・旅するバンド・ライブパフォーマンス、そしてレムリアでの冒険の進行、そのすべてを結び付ける共通の軸となりました。そうして『カラノロ』は、試行錯誤を重ね、多くのことを学びながら、そして何杯飲んだか数え切れないほどのコーヒーを片手に少しずつ形作られていったのです。

――マダガスカルのゲームコミュニティや開発事情について教えてください。Red Raketa Studioのみなさんの他にもゲームを作る仲間がいらっしゃるのでしょうか。また、人気のゲームについても教えてください。
Red Raketa Studio:
マダガスカルのゲーム開発シーンは、決して大きく目立つ存在ではないかもしれませんが、実はかなり以前から存在しています。ゲームを作っているのは私たちだけではありません。長年にわたり、情熱を持った開発者やアーティスト、そして現地のゲーム業界を成長させようと活動する人々が存在しており、多くの場合は個人開発者として、あるいは小規模なコミュニティの中で活動してきました。
また、現在マダガスカルに何人のゲーム開発者やスタジオが存在しているのかを正確に把握するのは容易ではありません。正式に設立されたゲームスタジオの数はそれほど多くありませんが、その一方で、個人開発者や非公式なチームが副業や個人プロジェクトとしてゲーム制作に取り組んでいます。そのため、この業界全体の規模を正確に数値化することは難しいのが現状です。
ゲームジャムや地域コミュニティ、そして近年では育成プログラムなどの取り組みも行われており、クリエイター同士が交流し、つながる機会が増えています。資金調達や開発リソースの確保といった課題は依然として存在しますが、それ以上に大きな情熱や創造性、そして「何かを生み出したい」という強い意志があります。
ゲームを楽しむコミュニティも非常に多様です。モバイルゲームでは『PUBG Mobile』、『Free Fire』、『Mobile Legends』などに多くのプレイヤーがおり、サッカーゲームの『EA SPORTS FC』や『eFootball』、対戦格闘ゲームの『鉄拳』シリーズも大会などで高い人気を集めています。また、PCゲームでは『Dota 2』や『League of Legends』を中心とした活発なコミュニティも存在しています。
近年はゲームイベントや大会、さまざまなコミュニティ活動も増えており、プレイヤーやクリエイターが交流する機会が広がっています。そして私たちは、これからさらに多くのマダガスカル産ゲームが登場し、国内だけでなく世界中のプレイヤーに届くようになることを願っています。
――最後に本作のプレイヤーにメッセージをお願いします。
Red Raketa Studio:
私たちは、自分たちの初めての作品が世界中のプレイヤーの皆さんに届いていることを、心から嬉しく思っています。特に、この冒険が始まった場所や環境を思うと、その喜びはひとしおです。
まず何よりも、皆さんがレムリアの世界を探検し、個性豊かなキャラクターたちと出会い、そこで巻き起こる楽しくてにぎやかな出来事の数々を存分に楽しんでくださることを願っています。
そして、『カラノロ』を通じて、マダガスカルやその文化、伝承、音楽に少しでも興味を持っていただけたなら、私たちは本当に特別なことを成し遂げられたと感じます。私たちの大切な『カラノロ』を皆さんのもとへ迎え入れてくださり、本当にありがとうございます!
――ありがとうございました。
『Kalanoro(カラノロ)』はPC(Steam)/Nintendo Switch/PS5/XBOX Series X|S向けに配信中だ。PlaySation Storeではセールを実施中、25%オフの税込2228円で購入できる。
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