フリューは10月29日、『アノマリス / ANOMALITH(以下、アノマリス)』をリリースした。対応プラットフォームはPS5/Nintendo Switch 2/PC(Steam)。Steamでは11月12日までリリース記念セールが実施されている。

『アノマリス』はリミナルスペースと昭和レトロ風の日本を融合させた「異界」を舞台にしたサバイバルTPSゲームだ。主人公の水無月 玲緒奈(みなずき れおな)は、行方不明となった友人を探すため、危険区画対策室という組織の調査員となり、異界探索に身を投じることとなる。

本作は発表当時、フリューが自社タイトルの評判について「でもフリューだしな」という声が寄せられていることに反応したことでも話題となった(関連記事)。また、同社開発作品にはめずらしく、ジャンルがTPS、しかもフルプライス作品ということで、その出来栄えを不安視する声もしばしば聞こえている。

発売後のSteamレビューにおける評価も、本稿執筆時点で178件中73%が好評の「やや好評」となっており、万人におすすめとは言いづらい状況だ。実際、本作がちょっと“クセ”のある作品であることは否めない。だがおもしろくないわけではなく、間違いなく光るものはある作品だと筆者は感じている。そこで本稿では、実際に本作を15時間程度プレイした筆者の体験をもとに、『アノマリス』の楽しみ方を提案させていただきたい。

悪意に満ちた異界を、異形の力で探索せよ

本作の基本的なゲームプレイは、「調査・回収・帰還」のサイクルで進行する。プレイヤーは上司の指示に従い、発生した異界に単独で出撃。徘徊する怪物「アノマリー」の撃破や、異界に曝露したアイテム「異物」の回収を行いつつ、異界の調査を進めることとなる。

異界各地にはポータルが設置されており、好きなタイミングで拠点に帰還することができる。ポータルは双方向式で、次回出撃時は有効化した任意のポータルから出撃できるため、十分にアイテムを回収するか、弾薬などの物資が尽きたら、気軽に帰還して大丈夫だ。物資に余裕がある場合は、回収した異物だけを拠点に送り、探索を続行することもできる。

拠点内では回収した異物を利用して、スキルの強化や装備の開発/カスタマイズが可能。異物の回収と装備の強化を繰り返しながら、異界の深層へと調査範囲を伸ばしていくことが基本的なゲームの進め方となる。

戦闘は肩越し三人称視点のガンアクションが基本となっている。本作にはいわゆる“腰撃ち”がなく、射撃は必ず武器を構えるアクション(マウス操作の場合、デフォルトだとマウス右クリック)を経由して行わなければならない。操作感覚としては、『バイオハザード』シリーズをイメージしていただければ近いだろう。

特徴的なのが、異界の力を取り込んで使用する「異形化スキル」だ。異形化スキルには「攻撃」「防御」「射撃」そして必殺技に相当する「異形解放」の4つのカテゴリーがあり、各カテゴリーに3つずつ、合計12種類の異形化スキルが使用できる。これらは出撃中でも自由に切り替えが可能だ。敵に応じてスキルを切り替え、さまざまな戦略が取れるのは、本作の戦闘のおもしろさのひとつだ。

銃は改造してこそ光る。カスタマイズでアノマリーに立ち向かえ

本作は「シューター」である以上、射撃の爽快感、すなわち「撃っていて楽しいか」がおもしろさを構成する重要な要素のひとつだと思うのだが、これに関して本作はかなり“スロースターター”気味だ。というのも、こと序盤においては、前述した「異形化スキル」が銃撃よりも圧倒的に強いのだ。

たとえば最序盤に使用する初期装備のハンドガンやサブマシンガンは、本作の敵である「アノマリー」の弱点部位に当てても二桁台のダメージしか出せない。一方で攻撃スキルであれば、簡単に三桁近いダメージをたたき出すことができる。スキルは使用時にMPを消費し、MPは敵に銃撃を当てることで回復するため、銃での攻撃がまったく不必要というわけではないのだが、どうしてもスキルが主力で、銃撃はMP回復のための“つなぎの攻撃手段”になってしまっている。

ところが、ゲームが進んで武器の生産やカスタマイズが可能になると、このメインサブの関係が一気に逆転するのだ。特に影響が大きいのが、銃のカスタマイズによる攻撃力の強化で、ものによってはフルカスタムすると攻撃力が元の倍以上に跳ね上がるものもある。アタッチメントによる取り回しやすさの向上や、アーティファクトという、武器に特殊効果を付与するアイテムの存在もあり、中盤以降は銃の火力がスキルを上回るようになり、このあたりから撃つ楽しさがはっきりと感じられるようになってくる。

筆者はこれが、このゲームの評価が分かれている一因だと考えている。この切り替わりのタイミングに気づかないと、近づいてスキルを撃つだけの単調な戦闘が続いてしまう。もしこれから本作をプレイされるのであれば、こまめに銃の開発やカスタマイズを行うことをおすすめする。

開発を行うには「開発レベル」を上げる必要があるのだが、これはアノマリーを倒すか、異物を収集することで調査報告書を埋めると上昇していく。つまりマップを細かに探索し、積極的に敵と戦闘を行えば勝手に上昇していくので、プレイされる際は面倒くさがらずに細やかな異界調査を心がけてみてほしい。

「怪異を直視してはいけない」。追加ルールが深みを生み出す、激アツの集団戦

本作の戦闘は撃って楽しいだけでなく、立ち回りの戦略性の高さもおもしろいと筆者は考えているのだが、これもまた面白くなってくるまでにやや時間がかかる。そもそも本作のアノマリーは、索敵範囲が狭く、攻撃の積極性も低いので、1対1の状況や、こちらが先手を取れる状況においてはほとんど脅威とならない。マップ上をうろついているアノマリーは、結構簡単に無傷で倒せてしまうのだ。

一方で、緊張感があっておもしろいのが、敵から奇襲を受けるケースだ。このケースでは、敵が集団で出現し、かつ初めからプレイヤーを認識して一斉に襲い掛かってくるため、攻撃の厚みが増して、非常に手ごわい戦闘となる。ただ撃ちまくるだけではだめで、倒す敵の順番を考えたり、位置取りを考えたりといったTPSならではの戦略性も、集団との戦闘においては非常に重要となってくる。「対集団」の戦闘こそ、『アノマリス』のおもしろさの神髄なのだ。

本作ではこれに加えて、敵アノマリーが提示する「追加ルール」が対集団の戦闘にさらなる深みを与えている。アノマリーはさまざまな怪異やSCPをモデルとして作成されていて、「画面内に姿をおさめ続けないと急接近して攻撃してくるアノマリー」や、逆に「見続けると激昂して襲い掛かってくるアノマリー」、「信号が赤の間に動くと襲い掛かってくるアノマリー」など、特定の行動に制限をかけるアノマリーが多数登場する。

これらが敵集団に含まれることで、立ち回りの難易度と複雑性がぐっと増すのだ。たとえば、敵に四方から囲まれているが「画面内に姿をおさめ続けないといけないアノマリー」がいるので視点を一方向に向け続けなければいけない、といったケースが発生した場合、レーダーでおおよその敵の位置を把握しつつ、位置取りを工夫して画面内に複数の敵をいれるように動くことが求められる。

このように本作の対集団戦闘は、敵のバリエーションが増え、追加されるアノマリーごとのルールが増えるほどに複雑性を増し、立ち回りのおもしろみも増していく。それゆえに比較的シンプルな攻撃をするアノマリーしか出現しない序盤はやや戦闘が淡泊に感じられてしまうのが玉に瑕だが、中盤から終盤にかけての対集団戦闘の緊張感と、敵をさばききったときの達成感は格別だ。

そこで筆者がおすすめしたいのが、ある程度ストーリーを進めたうえでサイドミッションをプレイすることだ。サイドミッションではすでにクリア済みのマップを再訪することになるのだが、敵の配置や強さが変更されていることがあり、ストーリーで訪問したときとはまた違った緊張感の戦闘が味わえる。サイドミッションによっては、新機能が解放されるなど、そこでしか得られない恩恵もあるので、手ごわい戦闘を求めるついでに、積極的に挑戦することをおすすめしたい。

以上、『アノマリス』の楽しみ方を提案させていただいた。今回は主に戦闘面を中心に言及したが、重厚なストーリーや魅力的なキャラクター達、不穏でありながら神秘性も感じられる、雰囲気バツグンのマップなど、評価できる点は多い。それゆえに序盤の戦闘の淡泊さや展開の遅さがなんとも惜しい部分ではある。

中盤以降は戦闘もおもしろくなり、特に集団との戦闘の奥深さは、この手のTPSの中でも上位に入ると出来栄えだ。難易度は5段階用意されており、ゴリゴリの苦難を求めるプレイヤーから、ストーリーだけ楽しみたいプレイヤーまで、幅広く楽しめるように配慮されているので、気になった方はぜひ購入を検討してみてほしい。

『アノマリス / ANOMALITH』はPS5/Nintendo Switch 2/PC(Steam)向けに配信中だ。価格は8580円。Steamでは11月12日までリリース記念の10%OFFセールが実施されている。

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