人気ブラック墓守スローライフ『Graveyard Keeper 2』、最新アプデで改善進むもまだ“惜しさ”あり。何が変わり、何がそのままなのか、プレイヤー目線で本音語り

Lazy Bear Gamesは10月30日、『Graveyard Keeper 2』のアップデート1.011を配信した。アップデートにより各要素は改善されているものの、プレイヤー目線では未だに課題も見られる。

デベロッパーのLazy Bear Gamesは10月30日、『Graveyard Keeper 2』のアップデート1.011をリリースした。本アップデートではバランス面での変更などが図られ、リリース当初からゲームプレイが改善。一方で、プレイヤーとしては未だに“惜しさ”も感じさせるものとなっている。

『Graveyard Keeper 2』は今年9月23日に発売されたスローライフゲーム。2018年に発売した前作『Graveyard Keeper』の続編となる作品で、ファンタジー風の異世界で墓守として死体の処理、埋葬をはじめとしたいくつかの生産活動に従事。そして舞台となる街が抱えている問題の解決にも取り組んでいくというゲームだ。

本作は発売から2日後の25日には販売数が40万本を超えたことが発表されており、ヒット作といっても過言ではないだろう。人気の指標とされることも多いSteam同時接続プレイヤー数においても、前作が発売直後に約1万7000人を記録していたのに対し、『2』は約3.5倍の約6万人まで増加した(SteamDB)。前作の無料配布もあり、『Graveyard Keeper』シリーズが大きく注目を集めていたという側面もありそうだ。

アップデートに見られる着実な改善

今回配信されたバージョン1.011の主な変更点を挙げると、まずさまざまなアイテムの生産に使用する作業台などの施設が「コストなし」で移動できるようになった。従来は一度施設を解体して、その場に落ちた素材を拾って別の場所に作り直さなければならなかった。しかも一部の例外を除いて素材が一部しか払い戻されず、プレイヤーとしては操作の煩雑さと不利益のダブルパンチで、理不尽感が募った。これが調整されたことで、ゲームの進行にともなうレイアウト変更がより気軽にできるようになった。

Mod対応も強化され、ゲーム内にMod管理メニューが追加された。なかなか珍しい対応として、Unity製ゲーム用のMod用フレームワークのBepInExが、ゲーム本体に同梱されることになった。BepInExは多数のUnity製ゲームのModで使われているが、基本的にプレイヤーは自らそれをダウンロード、導入する必要がある。ゲームに同梱されるという対応は珍しく、その背景としてはSteamワークショップで公開されているModの多くがこれを利用していることがあるのだろう。

本作のSteamでのレビューは当初、87%の好評率で「非常に好評」となったが、その後徐々に低下して現在は75%の好評率まで落ち込み「やや好評」ステータスとなっている。この発売後の評価の低下の要因としては説明、誘導の不足、機能不足やストレスを感じさせる仕様といったQoL面の問題が多く指摘されているようだ。

これに対し開発元であるLazy Bear Gamesは素早く反応、これまでに今回のものも合わせて計7回のアップデートを実施している。これらのアップデートでは、バグ修正のほかにいくつかのQoL面の改善と、いくつかのバランス面での緩和もおこなわれた。


バランス面での主な変更としてはゲームを進めるのに必要な「信仰」というポイントの入手バランスが、複数回のアップデートを経てさまざまな面で増やされている。基本的な流れとしては街自体やそこに暮らす商人たちに必要な物資を供給することで「感謝」ポイントが得られ、これを毎週1回おこなえる説教(礼拝)で「信仰」に変換、「信仰」を使って新技術をアンロック、新たな物資や施設が作れるようになる。入手できる「感謝」の量が大幅に増加したことで、少なくとも必要な作業量と、それに伴うストレスは軽減された。

しかし、課題はいまだ見え隠れ

こうした取り組みの方針は、発売直後に対応方針としてすでに説明されており、発表の際には概ね好意的に受け止められていた。現時点ではアップデートのペースは落ち着いており、ひとまず安定状態とも言えそうだが、プレイヤー目線では、まだ問題は数多く残されている。その中で代表的なものをいくつか紹介しよう。

まず、先述の「説明、誘導の不足」が挙げられる。『Graveyard Keeper 2』のゲームプレイそれ自体は特に難解というほどではない。しかしいくつかの場面において次に何をすればいいかが明示されず、自ら模索することが必要となる。かつてはそうしたゲームも珍しくはなかったが、今日ではきめ細かく誘導するゲームも増えている。本作の近年の作品の傾向との差は、プレイヤーに違和感、不快感を与える一因となったのかもしれない。ゲーム内の謎、挑戦に頭を使うことは歓迎しても、説明不足に悩まされるのは単に開発側の手落ちを尻拭いしているだけではないか、との考え方もあり、一部プレイヤーからの不満を呼んでいる。

また機能不足の典型例としてはクラフト、建設に必要な材料をメイン画面上に表示して確認しやすくする「ピン留め機能」が存在しないことが挙げられる。プレイヤーの活動拠点はマップ上に複数あり、遠隔地の拠点に何らかの施設を作成したり、アップグレードが必要になった場合は、本拠地から必要な材料を持ち込まなければならない。しかしゲーム内に必要な材料を記録、表示させる機能がないため、頑張って覚えるか、メモするなど人力で対処しなければならない。

この機能はSteamワークショップにてModとして追加可能であり、サブスクライブ数も特に多い。Modで対応可能というと問題はなさそうに見えるが、裏を返せばそれだけプレイヤーに望まれており、かつ公式には実装されていない機能と言えるわけだ。ピン留め機能も、施設移動などのように、いずれ今後のアップデートで公式対応されることに期待したい。

くわえてストレスを感じさせる仕様については、発売後に一際反発の大きかったPR(パニック冷却)システムが好例だろう。『Graveyard Keeper 2』ではプレイヤーが自ら生産活動に携わるほかに、一部の作業を肩代わりしてくれるゾンビを活用していくことが重要な要素となっている。しかしそのゾンビの保有数にはソフトキャップ(現実的な上限)があり、これを超過するとペナルティが発生する。多少のアイテムを費やすのと引き換えに、これを回避するための仕組みがPRシステムだ。

このシステム自体はそこまで突飛なものではないし、プレイヤーへの負担も決して大きくはない。一方で本作Steamストアページの掲示板を「PR System」で検索してみると、それを批判する意見が非常に多い。こうした評価になった背景にはおそらく導入の仕方の問題があると考えられる。

まずゾンビの人数超過によるペナルティはゲーム開始時には無効化されており、ある程度進めた時点で有効になり、通常のプレイでは有効になった時点で既に上限数を超過している可能性が高い。同時にPRシステムも登場するのだが、実際に稼働するまでにはいくつかのイベントを完了させる必要があり、しばらくの間は回避する術のないまま、ペナルティを受け続けることを強いられる。プレイヤーにしてみれば「ゾンビを増やして効率化しよう」と促されそれに従っただけなのに、「後出しのルール」で不利益を被る羽目になる。そしてそれを回避するには、言われるがままにPRシステム関係のイベントを進めるしかない。

それにゾンビの数が多すぎるのが問題なら超過分を処分したいと思っても、現状その方法が存在しないのも釈然としない部分といえる。その後の対応においてPRシステム発動のためのイベントを強制されることも、「好きなようにゲームを進めたい」という感情も無視されていると感じられる点であり、不満を感じる部分であろう。

こうしたやり方が反発を招くことは想像に難くないし、システム自体はそのままでも例えばペナルティ発生前に関連イベントが発生するなど少しやり方を変えるだけでもある程度、反発を抑えることもできたはずだ。有り体に言えば内部テストをおこなうなどしてプレイヤーの反応を探り、それにあわせて変更していれば回避できた問題ではないかとも思えてくる。なおソフトキャップ超過分のゾンビの処分については、今後のアップデートで実装予定であり、PRシステム自体も刷新されることが発表されている。

賛否入り混じる理由は“ユーロジャンク”にあり?

ところで、『Graveyard Keeper 2』のようなゲームは「ユーロジャンク」と呼ばれている。開発者のこだわりが強く、独創性の高い内容ながら、時に不快感を感じさせるような強い癖、クオリティ面の問題も目立つ。それでも人によっては他のゲームでは味わえないような魅力を感じる、そんなゲームだ。その名前はこれらのゲームの多くがヨーロッパ、主に中欧、東欧、ロシアで多く制作されてきたことから来ている。『Graveyard Keeper 2』の開発元Lazy Bear Gamesは元々ロシアのサンクトペテルブルクで設立、現在はリトアニアのヴィリニュスに移転しており、まさにその地域の出身と言える。

9月29日に3作目のリマスター版が発売された『ウィッチャー』シリーズも、今でこそ人口に膾炙する大作だが、ポーランドのスタジオCD PROJEKT REDが手がけたその1作目はユーロジャンクと見なされていた。しかし数々の作品をリリースするうちに粗や人を選ぶゲームデザインという問題を克服し、一般層でも楽しめる作品へと成長していき、大成功を収めた。つまり、ユーロジャンクからの脱却を果たしたわけだ。

『The Witcher: Enhanced Edition Director’s Cut』

一方でLazy Bear Gamesはいまのところまだ「ユーロジャンク」からの脱却の兆候は見られない。これまでは「知る人ぞ知る」作品、会社だったため、ユーザーの反応もさほど目立たなかったが、『Graveyard Keeper 2』は発売後初めてとなる週末でSteam同時接続プレイヤー数6万人と、前作を大きく上回るヒットとなった。それにより、これまで縁のなかった一般層にもリーチすることになったと思われるが、良くも悪くもユーロジャンク的思想や体制が継続しており、新たに獲得した客層からは強い反発も受ける結果となってしまったのではないだろうか。

『Graveyard Keeper 2』の大ヒットを受けて、今後Lazy Bear Gamesの作品づくりはどのようになっていくのだろうか。大勢の目に触れるようになったことをきっかけとして、よりプレイヤーの意見に耳を傾けるようになり、『ウィッチャー』シリーズのようにユーロジャンクから脱却していくのか、それともこのまま癖の強いゲーム作りを続けていくのか。今後のLazy Bear Gamesの動向に注目したい。

『Graveyard Keeper 2』は、PC(Steam/Epic Gamesストア/GOG.com)/PS5/XBOX Series X|S/XBOX One/Nintendo Switch 2/Nintendo Switch向けに販売中。

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