Global Sites
“AIサムネ詐欺ワールド問題”に揺れる『VRChat』、AI除外フィルターは設けない方針発表。しかしSteamはすぐさま「低評価レビュー爆撃」状態に
VRChat社は10月29日、「AI生成」というラベルや、AI生成コンテンツを除外する検索フィルターを追加する予定はないことを明らかにした。この決定に対してユーザーからの反発が相次いでいる。

VRChat社は10月29日、同社が提供するソーシャルプラットフォーム『VRChat』についてのアンケート結果を受けた方針を提示。そのなかで、「AI生成」というラベルや、AI生成コンテンツを除外する検索フィルターを追加する予定はないことを明らかにした。この決定に対してユーザーからの反発が相次いでおり、Steamでは低評価レビューやストアページに「人工知能」タグをつけるといった行動が確認できる。
『VRChat』は、ワールドと呼ばれる仮想空間にて、世界中のユーザー同士が自身のアバターを通じて交流できるソーシャルプラットフォームだ。Steam/Viveport/Meta Quest/Pico/iOS/Android向けに基本プレイ無料にて提供されており、VRデバイスがなくても利用できる「デスクトップモード」も存在する。

本作では、クリエイターが作成したさまざまなワールドを訪れることが楽しみの一つとなっている。一方で昨今は生成AIによるワールドの粗製乱造や、ワールドのサムネイルがAIによって生成されているが、ワールドの実態と一致しない、いわゆるサムネイル詐欺が増加していることにユーザーが不満を覚えている状況であった。
こうした事態を受けて、VRChat社は10月7日に声明を発表。クリエイターガイドラインを更新し、実際のワールドの内容と異なるサムネイル画像を使用することを禁止。また、説明文についても誤解を招く表現を使わないようにと案内した。あわせて「VRChatとAI:あなたの線引きは?」と題したユーザーアンケートを実施していた(関連記事)。

そして、10月29日にアンケート結果にくわえて、クリエイターへの個別インタビューを実施したうえでの方針を公開した。問題となっているサムネイル詐欺やワールドが埋もれる課題に対応するために、Like/Dislikeを投票する機能が2026年末を目標に、遅くとも2027年初頭にリリース予定だ。くわえて、ワールド一覧ではサムネイルだけでなく複数の画像が表示されるように、こちらは2027年前半を予定している。また、更新したガイドラインに即していないワールドのクリエイターには個別に連絡を取り修正を依頼したとのこと。
一方で、AI生成コンテンツとの棲み分けについては慎重な方針を見せている。発表によると回答者の95%がAI利用コンテンツになんらかのラベル付けを望んでいるそうだ。ところが、AIを利用したワールドを避けたいという意見は33%にとどまり、37%のユーザーがあくまでもAIはツールであり創造的な作業を人間が行っているのであれば問題ないという旨の意見を寄せているという。また、AIの利用形態を示す8つの例示カテゴリー全体で、ラベル付けの回答は3141通りに分かれ、回答者の10%を超える支持を集めた組み合わせはなかったという。
こうした結果を踏まえて、VRChat社は人間が制作したことを明示する「Human-authored」ラベルや、使用ツールの項目の追加は検討しているものの、AI生成を明示するラベルやフィルターを追加する予定はないとのことだ。こうした機能を追加することで、AIを利用したワールドを手作業のように見せかけるクリエイターの登場や、AIを使用していないにも関わらず嫌がらせを受けるような事態を懸念しており、AI利用の有無を詮索する“探偵行為”が発生することは、望まない負の連鎖を生み出す恐れがあるとしている。
このような発表に対して、ユーザーは満足していない様子がうかがえる。発表のあった10月29日には約950件の低評価レビューが投じられており、数日経った現在でも状況は収まっていない。これにより、Steam版の過去30日間のレビューは約4000件のうち33%が好評とする「やや不評」ステータスとなっている。多くの低評価レビューは95%が求めたAI生成コンテンツへのラベル付けを実施しないことに対する意見となっている。
また、タグについても行動が見られた。11月1日の16時ごろに『VRChat』のストアページに「人工知能」タグが追加されていたのだ。SteamDBを参照するとこちらは本日11月2日8時ごろに削除されている。Steamでは開発者以外にもユーザーからもタグをつけることができる(Steamworks)。開発者がつけたものも含めて、上位20件がストアページに表示される仕組みだ。直接今回の事例と関連すると断言はできないが、多くのユーザーが批判の意思表示として「人工知能」タグをつけた可能性はありそうだ。
そして、『VRChat』の公式フォーラムでも、今回の発表を議論するトピックが多く存在する。VRChat社がクリエイターの保護を重視していることはうかがえるものの、そうした慎重な姿勢に対して、ユーザーからはさまざまな反発が見られる。現時点でフォーラムや公式Xアカウントからこうした反応に対する追加の声明は確認できていない。VRChat社が対応を変更するのかについても注目が集まる。
『VRChat』は、Steam/Viveport/Meta Quest/Pico/iOS/Android向けに基本プレイ無料にて提供中だ。
この記事にはアフィリエイトリンクが含まれる場合があります。


