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侍の時代を丸ごと遊べる決定版『トータルウォー:ショーグン2 コンプリートエディション』は日本語対応。源平合戦から戊辰戦争まで、自分だけの歴史を追体験できる
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ターン制の国家運営とリアルタイムの戦闘を融合させた『Total War』シリーズは、世界的に人気の高いストラテジーゲームだ。25年もの歴史を誇るシリーズ初の日本語対応作品として、セガは『トータルウォー:ショーグン2 コンプリートエディション』を10月14日に発売する。
本作は、シリーズ屈指の人気作として名高い『Total War: SHOGUN 2』の完全版と呼べるものだ。日本語対応のほか、グラフィックやUIといった各種コンテンツが現代向けにアップデートされており、ゲーム本編とこれまでに配信されたすべてのDLCがセットになっている。本稿では、幕末の戊辰戦争を題材とした「Fall of the Samurai」を中心に『トータルウォー:ショーグン2 コンプリートエディション』を約30時間プレイした感想をお伝えしたい。

勤王派と佐幕派の対立構造で表現する幕末日本の世界観
『トータルウォー:ショーグン2 コンプリートエディション』は、侍が活躍した時代を網羅するストラテジーゲームだ。戦国時代を舞台にした本編では、織田信長や徳川家康といった大名たちが天下統一を目指して覇権を争う。追加キャンペーンの「Rise of the Samurai」では1175年の源平合戦を題材にして武家政権の誕生が描かれる一方で、同じく追加キャンペーンの「Fall of the Samurai」では戊辰戦争を題材に侍が活躍した時代の終焉が描かれる。ここでは、今回プレイする「Fall of the Samurai」キャンペーンの目標や選択した勢力についてあらかじめ言及しておこう。
「Fall of the Samurai」は、250年以上も続いた江戸幕府による政権が揺らいでいるところから始まる。ペリーによる黒船来航に端を発し、幕府による支配体制が脅かされていった。幕府から領地の統治を任された大名たちは、時代の変化に敏感だ。大名たちは幕府の体制を依然として支持する佐幕派(作中では幕府)と、幕府を見限って天皇を中心とした政治体制を目指す勤王派(作中では官軍)に分かれている。プレイヤーは佐幕派または勤王派のどちらかに所属する大名となり、その勢力の勝利を目指していく。今回の先行プレイでは、勤王派に属する薩摩藩を選択した。
キャンペーンの長さは、「短期キャンペーン」を選んだ。短期キャンペーンは1864年から始まり1870年末までに目標を達成しなければならない。今回の具体的な目標は薩摩藩が14か国を占領することのほか、現在の京都府に相当する「山城」と現在の東京都などに相当する「武蔵」を含めた35か国を所属勢力である勤王派の占領下とすることだ。これらの目標を達成するためには、薩摩藩に他国を支配する武力が求められるだけではなく、勤王派のリーダーとして同盟勢力を拡大していく外交手腕も問われる。


戦国時代を題材とした本編の追加キャンペーンであるため、「Fall of the Samurai」には史実の戊辰戦争とは異なる領土を奪い合う要素がメインとなっている。大っぴらに合戦を繰り返すことは史実の幕末にはなかったかもしれないが、勤王派と佐幕派の対立構造を盛り込むことでキャンペーンの勝利条件がわかりやすくなっていると感じた。薩摩藩が武力を行使して単独で勝利条件を達成することも不可能ではないものの、その道のりはかなり険しい。ときには内政を充実させ、外交努力によって勤王派に所属するほかの勢力と同盟を結んだ方が勝利に近づく場面が多くなってくる。内政、外交、軍事そのすべてが密接に結びついているストラテジーゲームとして、『Total War』シリーズならではの魅力が発揮されている。
『Total War: SHOGUN 2』は2011年に発売された作品だが、『トータルウォー:ショーグン2 コンプリートエディション』ではグラフィックやUIなどが現代的なものにアップデートされた。日本の地形の特色である山地の多さがグラフィックで表現されており、キャンペーンの全体マップでも高低差を感じさせるデザインとなっている。絵巻物のようなグラフィックで表現されるイベントシーンはどれも秀逸で、歴史を題材にしたゲームをプレイしているという没入感をもたらす。『Total War』シリーズの開発はイギリスを拠点とするCreative Assemblyが手掛けているが、グラフィックをはじめとした本作の作り込みには驚嘆させられた。


プレイヤー独自の幕末が形成されていくターン制進行
本作はターン制で作中の時間が進んでいく。作中の1年間は24ターンで構成されており、春夏秋冬のそれぞれの季節が6ターン存在する。キャンペーン開始当初は群雄割拠といったところだが、作中の時間が経過するにつれて勢力図が塗り替わっていく。幕末の日本においてはいち早く西洋化を成し遂げた藩が優位に立つようになっており、軍事ユニットも次第に銃火器を装備した兵士が多くなってくる。「Fall of the Samurai」とキャンペーン名にあるように、侍の時代の終わりを感じさせるところに切なさを感じた。
「Fall of the Samurai」の短期キャンペーンでは、1864年のスタートから1870年末までに勝利条件を達成しなければならない。今回プレイした薩摩藩は現在の鹿児島に位置し、最初から薩摩と大隅の2箇所を統治している。勝利条件を満たすために支配しなければならない山城と武蔵までは距離があるものの、九州南部にある薩摩藩は守りやすい。守りを固めたあとは、佐幕派の国を攻めて勤王派の勢力としていきたいところだ。九州を制したあとは中国地方を通って京都に向かってもいいし、船で四国地方を経由して京都に向かうのもいいだろう。史実の明治維新を再現するためにも、薩摩と長州で薩長同盟を締結して同盟国として中国地方に進出しようと考えていたが、その目論見は叶わなかった。長州が開始早々に滅亡してしまったからだ。

長州がいなくなってしまったことで、薩長同盟を成立させてからの明治維新を再現することができなくなってしまった。史実とは異なるifルートに早速入ってしまったが、長州抜きで明治維新を成し遂げなければならない。長州を滅亡させた岡藩は九州を本拠地とする佐幕派であり、長州の支配下にあった長門を足がかりにして中国地方にも本格的に進出しようとしている。勤王派の盟主たらんとする薩摩からしてみればこの動きは放っておけるはずもない。軍事ユニットを量産して、岡藩の支配下にあった国を薩摩のものへ変えていく。
佐幕派を九州から追い出す一方で、勤王派の結束を強めることにも力を注いだ。勤王派同士で通商協定を締結すれば交易で収入を増やすことができるし、軍事同盟を締結すれば敵勢力から攻められたときに共同で防衛戦線を築くこともできる。今回のプレイでは、1864年内には九州にいた佐幕派を滅亡させることができた。九州におけるすべての国が薩摩の支配下にあるわけではないものの、軍事同盟を結んだ勤王派の領地となっている。四国地方で支配的な勢力になっていた土佐藩と通商協定を結ぶこともできた。上々なスタートを切ることができたといえる。


ただし、いくら同盟関係にあるといっても無条件に他国を信頼することはできない。勤王派から佐幕派にくら替えする勢力が出てくることもあれば、助けてほしいときに同盟国から必要な助けが得られないこともある。今回のプレイでは中国地方のとある国を薩摩が攻めようとしていたときに、同盟国が先に敵国を占領してしまったことがあった。土佐藩と近畿地方に共同で攻め入ったときも、城を先に落とされて土佐藩の領地になったこともあった。たとえ共同戦線を張っていたとしても、勤王派としての盟主を目指すという観点では早い者勝ちという側面がある。共闘感たっぷりというよりも、ある程度は打算的に手を組んでいるといったイメージが正しいのかもしれない。
それはさておき、通商協定を締結することは、ターンごとに得られる収入が増えることに直結する。軍事ユニットの維持費の概念がある本作において、収入の高さは軍事力の強さと密接につながっている。収入があればあるほど強い軍事ユニットを雇うことができるし、それを保持したまま進んでいくことができるのだ。内政、外交、軍事のそれぞれを毎ターン行うのはかなり忙しくはあるものの、それらをきちんとこなしておくことが勝利への近道となる。外交の画面では日本地図で勢力図が表示され、そこには勤王派の国が増えていくことが示される。あったかもしれない世界がプレイヤーの選択の積み重ねによって構築されていくところに、ストラテジーゲームとしての醍醐味を感じた。

侍の終焉とともに銃の時代の到来を告げる戦闘
本作は時間経過がターン制であるのに対して、プレイヤーの手動による戦闘はリアルタイムで進行する。ユニットの少ない序盤から敵味方それぞれの兵数が1000を超えることもしばしばあり、場合によっては数千人規模の戦闘を繰り広げることになる。歩兵や槍兵などの部隊が中心だった本編の戦闘とは異なる点として、「Fall of the Samurai」は銃火器を装備しているユニットが多いのが特徴的だ。
幕末は侍の時代が終焉を迎えるタイミングでもあり、刀や槍で戦うユニットよりも銃や大砲で戦うユニットの活躍できる場所が増えているように感じた。「戦列歩兵」と呼ばれる序盤から使えるユニットですら、銃を武器とするユニットだ。剣や槍では届かない距離からでも、戦列歩兵をはじめとした銃を使うユニットの攻撃は射程範囲となる。「パロット砲」といった大砲ユニットを使えば、さらに遠距離から攻撃可能だ。射程範囲が戦国時代より長くなったことで、騎馬ユニットで突撃を繰り返す戦闘とは印象がかなり変わる。敵味方の海軍ユニットによる海戦も存在するため、砲撃による戦闘が繰り返し行われる印象といっていいだろう。


陸軍ユニットだけでなく、海軍ユニットにもデフォルトで砲撃射撃が可能となっているのも近代的な戦闘を伝える要素となっている。海軍が砲撃する場所は戦闘中にプレイヤーが指定することが可能となっており、敵の主力部隊や敵大将の親衛隊に砲撃を当てることができれば接触なしで戦闘を優位に進めることすらできる。遠距離攻撃が中心になった「Fall of the Samurai」の戦闘に関しても、侍の時代が終わりつつあることを実感させるものだった。アームストロング砲やガトリング砲といった当時の最新の兵装も作中に登場するため、時代の変化を実感できる戦闘となっている。敵勢力も作中の時間が経過するにつれて、強力なユニットで軍隊を組織するようになっていく。
武将として西郷隆盛といった実在の人物が本作に登場したが、これは1つの軍隊を束ねる将軍としての側面が強い。西郷隆盛や高杉晋作のように実在の人物は各藩につき1人といった形で、2人目以降の武将は架空の氏名だった。実在の武将はもっと登場してほしい気持ちもあるが、維新志士がすべて武将になるのも違和感を覚えるのでちょうどいい塩梅かもしれない。なお、維新志士は戦闘には参加しない諜報活動用の特別なユニットとして登場するが、そちらには固有の名前は与えられていない。

作中では「氏族の開発」と呼ばれるスキルツリーを解放していくことで、新しいユニットを生産できるようになる。スキルツリーは内政向けの能力と軍事技術に特化したものに分かれており、どちらを進めるかはプレイヤー次第だ。今回のプレイでは序盤から九州の各国を自国の支配下にしたかったため、軍事技術優先で進めた。大砲を序盤から生産できたのは大きな影響があり、戦闘を優位に進めることができた。
本作は戦闘を自動で処理してくれる機能が存在する。兵の質と量でこちらが勝る場合は、自動戦闘にほぼ任せても連勝することができた。すべての戦闘を手動でこなすのは大変なので、自動戦闘が本作に搭載されていることでプレイを継続する意欲が湧いてくる。かなり細かいところでいうと、自動戦闘か手動戦闘かを選択する画面でクイックセーブが可能になっているところにプレイヤーへの心配りを感じる。リアリティを追求しながらも、本作はゲームとしての快適さが突き詰められているのが好印象だ。


殺るか殺られるかの雰囲気に満ちた終盤
プレイ開始から作中1年目で九州地方を制した我が薩摩藩は、2年目と3年目で中国地方も平定することができた。薩摩藩は勝利条件の1つである山城を領土にすることができたので、いまや勤王派のリーダーとして周囲に認められるほど勢力を伸ばしている。このまま武蔵まで進軍を続けたいところだったが、「天下分け目」と称されるイベントが発生したことで勤王派と佐幕派の勢力争いは佳境を迎えてしまった。
東西に伸びた薩摩藩の領土を狙って、複数の国が同時に攻撃を仕掛けてくる。3年目を迎えても生き残っている国は軍事的に強いだけでなく、外交で同盟国を見つけている戦巧者だ。1か国と戦いを始めることはその同盟国さえも敵に回すことと等しく、相手にするには攻撃と防御の両方で軍を充実させなければならない。自国と派閥の生き残りをかけた戦いは殺るか殺られるかの雰囲気に満ちていた。


天下分け目のイベント発生後は、難易度が上がったように感じられる。すでに領土にした場所を守るために兵士を雇おうとしてもすぐに軍を整えることができるわけでもないし、必要な資金をすぐに調達できるわけでもない。領土自体を防衛することができても、海上における交易路を封鎖されることがあって収入を減らされることもあった。冷静に振り返ると本拠地である薩摩さえ奪われなければ挽回の余地は残されているのだが、そのときは自分の領地が危険にさらされていることについて不安を覚えたものだ。次のターンでどうなるのかを早く知りたくて、ゲームをプレイするのをやめられない。
終盤を刺激的にする効果として、天下分け目のイベントは緊張感をプレイヤーに与えている。ただし、それ以前と以後ではCPUが別人のようにシビアな駆け引きをしてくるので、人によってはそこで継続してプレイできなくなるかもしれない。今回のプレイでは、終盤が領地の奪い合いのようになってしまった。勝利条件に必要な2つのうち1つの場所である山城を薩摩の領土として守りつつ、もう1つの場所である武蔵を目指して進撃する。薩摩藩が14か国を占領していることも勝利条件に含まれているが、ターンを進めるごとに敵国から攻撃されて領土を失っていく。一時は20か国を超えていた薩摩藩の領土は、武蔵を制圧したときは15か国まで減らされていた。最後はゴリ押し気味になってしまったが、大きな犠牲を乗り越えての勝利は格別だ。史実とは異なるものの、私だけの幕末を走り抜けた感覚があった。侍の時代の終焉に、切なさを感じながらも新時代を切り拓いた高揚感に満足している。

「Fall of the Samurai」は『Total War: SHOGUN 2』の追加キャンペーンとして開発された作品ではあるものの、幕末を舞台にしたゲームとしては単体でも高い完成度を誇る。ターンを積み重ねるうちにプレイヤー独自の幕末が形成されていき、その箱庭となった世界で最善となる手を追い求めていきたくなっていく。日本の伝統的な雰囲気を伝える絵巻物のイベントシーンや音楽は日本人から観ても違和感はない。リアリティを作り込みながらも、内政や戦闘といったストラテジーゲームならではの魅力にもこだわり抜かれている。
幕末から明治維新を成し遂げる「Fall of the Samurai」のほかにも、織田信長などの戦国武将で天下統一を目指せる本編と1175年の源平合戦を題材にした追加キャンペーンが『トータルウォー:ショーグン2 コンプリートエディション』には収録されている。それらのキャンペーンは侍が活躍した時代を題材にしており、一連のキャンペーンをプレイすることで侍の始まりから終焉までを体験することができる。紡がれてきた歴史に思いを馳せながら、プレイヤーの選択で作られた独自の世界を体験することが可能。自分だけの歴史体験ができることこそが、本作の最大の魅力だ。世界的に高く評価される『Total War: SHOGUN 2』が完全版として日本に上陸するのを、いまはとにかく喜びたい。
『トータルウォー:ショーグン2 コンプリートエディション』は、PC(Steam/Epic Gamesストア/Microsoft Store)向けに10月14日発売予定。
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