「SteamはMMOなんだ」元Valve社員が語るゲイブの思想。ゲームをただ遊ぶ場所じゃない、“居場所”としてのコミュニティ

元Valve社員のChet Faliszekが、Valveの創業者Gabe Newell氏が何度も「SteamはMMOなんだ」と語ったと証言している。

元Valve社員のChet Faliszek氏が10月15日、YouTubeに「I got a feeling you are going to love the new Epic Game Store」という動画を投稿した。動画内で同氏はValveの創業者Gabe Newell氏が何度も「SteamはMMOなんだ」と語ったと証言している。

Chet Faliszek氏は2004年から2017年の間Valveで開発者として務めた人物だ。Linkedinによると、『Left 4 Dead』の共同プロジェクトリーダーを務めたほか、『Half-Life』『Portal』『Team Fortress』『Counter-Strike』といった作品のシナリオライターも担当していたそうだ。現在はStray Bombay CompanyをKimberly Voll氏と共同設立。米国・シアトルを拠点に、協力プレイFPS『The Anacrusis』などをリリースしている。

Epic Gamesは10月14日、刷新されたEpic Games Launcherのプレビュー版を配信した(関連記事)。これに言及する動画の中でFaliszek氏は、Steamが先行者としての優位性を持っていることは認めつつ、Epic Games自身が最終的になにを目指しているのかが理解できないと発言。そして、一方のSteamが目指しているものはMMOであるとGabe氏が何度も話していると証言した。

Chet Faliszek氏のSteamプロフィール

「MMOである」という言葉の核心は、Steamがただゲームをするだけでない自己表現の場であるということのようだ。Faliszek氏は例としてアカウントのレベルやトレーディングカード、カードを集めることによって獲得できるバッジやプロフィール背景などを通じてプロフィール画面を飾り付けることができることを挙げている。「ゲームをプレイすること」を通して、自分がどういった人物なのかを表現できる仕組みが用意されているわけだ。そのほかにもフレンドにゲームをギフトしたり、レビューにアワードを送ったりといった他者とのつながりも挙げ、こうした体験全体がMMOのような仕組みになっていると説明している。

対するEpic Gamesも自己表現の手段を用意していないわけではない。『フォートナイト』向けのゲーム制作ツール「Unreal Editor for Fortnite」などだ。Faliszek氏はこうした能動的な自己表現をするユーザーは少数であろうとし、Steamはもっと受け身に、ただゲームを遊んでいるだけで自己表現をおこない、Steamのなかに居場所をつくることができると比較している。

Faliszek氏は今回のランチャーの刷新についても、Epic Gamesが目指す方向性ではなかったのかもしれないとしたうえで、起動速度などの改善を強調する一方で、Steamのようなコミュニティの在り方には踏み込んでいないとして批判している。そもそも限られた機能しかなければ起動が速いのは当然ではないかとの見解も示している。

こうしたSteamのコミュニティ機能を評価する声は、過去にEpic Gamesストアで時限独占配信をおこなったゲームの開発者からも上がっている。『Witchfire』の開発を手がけたAdrian Chmielarz氏は海外メディアFRVRのインタビューにて、多くのプレイヤーがSteamで購入する理由として「EGSはショップであり、Steamはコミュニティだ」と語り、単なる販売プラットフォームではなく、ゲーマーの「居場所」として機能している点が挙げられている(関連記事)。

実際に筆者も、Steamでお気に入りのゲームのバッジを作ったり、フレンドのアクティビティを見たりといったSNSのような楽しみ方をしている側面がある。Faliszek氏の動画はそうした機能が長年にわたって明確な狙いとして積み上げられてきたものであることを裏付けたかたちとなるだろう。

Chet Faliszek氏

元Valve社員という立場からの発言であることには留意したいものの、“速さ”だけをアピールした新ランチャーを痛烈に批判されることになったEpic Games。なお同社はゲーム開発において生成AIを使った開発を加速させる方針を発表している(関連記事)。今回Valveが、Steamを通して居場所としてのコミュニティ形成を目指していることが伝えられたが、Epic Gamesはその対抗馬として同じようなかたちを目指すのか、もしくは全く違う方向へと姿を変えるのか。Steamについても今後も継続したアップデートがなされていくとみられ、両者が今後どのような発展を遂げるのか、引き続き注目していきたい。

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Genki Hashimoto
Genki Hashimoto

インディーメインに一人称酔い意外は全てを愛するゲーマー。趣味は翌週のsteamリリース全チェック。

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