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Steamの新たな放置RPG『ファンタジー放置遠征隊』を仕事中に遊んだら「脳内の優先順位」が壊れた。放置中も止まらないビルド思考、仕事はもはや“待ち時間”
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パブリッシャーのInfini Funは、One Interactive Studioが手がける『ファンタジー放置遠征隊』を10月9日に配信開始した。対応プラットフォームはPC(Steam)。本作は必要になる手動操作がほどほどでありながも、重厚なビルドシステムを備えている点が特徴。本稿では、作業中につい本作をプレイしてしまったがために、作業中の脳内を“占領”されてしまった筆者の体験談をお届けしていこう。
『ファンタジー放置遠征隊』は、JRPG風のキャラクターたちで遠征隊を編成し、デスクトップ上でオートバトルを繰り広げる放置型RPG。最大4人のパーティを組み、敵を倒して装備を集め、仲間を育てながら大陸最強の遠征隊を目指していく。

作業を心地よく妨害する“試行錯誤の誘惑”
今回、弊誌は本作を先行プレイする機会に恵まれたが、序盤の画面を開いた筆者を迎えたのは、予想以上の要素の多さだった。キャラクター管理、装備厳選、酒場や鍛冶屋、クラス分岐など、育成に関わるアイコンがズラリと並ぶ。放置ゲーム特有のシンプルな手触りをイメージしていると、初見ではこの密度の濃さに少し驚かされるかもしれない。
そして実際に触ってみると「操作量は極めて少ないのに、思考量が凄まじい」という本作の本質が見えてくるだろう。画面を放置している間も、頭の中では「次はどのクラスへ派生させようか」「戦士は攻撃特化か防御特化か」といった試行錯誤が止まらない。作業の片手間に遊ぶつもりが、いつしか思考の大部分を本作の育成プランに占領され、“本来の作業が片手間に”なっていく。ここからは、この没頭感がどのように生み出されているのか、実際のプレイサイクルを紐解いていく。

放置で進むオートバトルと、多岐にわたる育成システム
『ファンタジー放置遠征隊』のゲームサイクルは放置系RPGとして王道だ。仲間キャラクターである「デュエリスト」を最大4人まで編成してステージへ送り出す。戦闘は完全自動で進行し、敵を倒せば経験値、拠点建築などに使う素材、装備品などを入手できる。一定数を撃破してボスを倒せば、次のステージが開放される仕組みだ。
本作の特徴は、その「強くなるための導線」が多岐にわたる点だ。強化要素には、レベルやランダムな性能の装備品、90種類以上におよぶ職業などが存在し、拠点には酒場や鍛冶屋といった、キャラクター育成に関連する施設が立ち並ぶ。どこから手をつけるべきか迷う構造だが、ここで効いてくるのが「クエスト機能」だ。

複雑な要素をつなぐ「クエスト機能」
本作のクエストは「仲間を編成する」「出撃する」「武器を装備する」「酒場を設置する」といった課題を順番に提示してくれる。指示に従って進めれば、複雑に見えたUIやアイコンの意味が「ああ、ここで使うのか」と自然に頭へ入ってくる仕組みだ。筆者もクエストをいくつかこなすころには、次にどこを触ればいいのか迷うことがほとんどなくなっていた。
また、クエストは素材が獲得できるだけでなく、キャラクターのレベル上限や拠点施設の開放などにもつながっている。ステージ自体はボスさえ倒せば開放できるため、必ずしも進める必要はない。だが、キャラや拠点を育てようとすれば自然とクエストへ戻ることになり、その課題内容も「キャラの育成」や「装備の強化」といった、プレイヤーがその時まさにやりたいことと噛み合っている。つまりゲームを攻略するための導線と、長期的な成長目標、そして機能の開放が一本の線でつながっているのだ。

成長率やパッシブを見比べる、酒場での熱い「人材厳選」
システムの全貌がつかめてくると、次に熱が入るのが「酒場」でのスカウトだろう。酒場には戦士、メイジ、プリースト、アーチャーなどのデュエリストが並び、お金を支払うことでパーティに加えることが可能だ。ただし同じ職業でも成長率や初期パッシブスキルに個体差が存在。たとえばアーチャーを雇うにしても、移動速度が上昇するパッシブを持つ個体と、物理攻撃力が上昇するパッシブを持つ個体がいるといった具合だ。単純に職業だけを見て仲間を増やすのではなく、その後の役割まで考え始めるとどちらを選ぶべきか悩ましくなる。酒場をのぞくたびに「我がパーティに適した人材はいないか」と厳選したくなるつくりだ。

前衛ワンマン編成の限界と、放置画面と真剣に向き合う瞬間
筆者もそうして能力を見比べながら仲間を雇っていき、できあがったのが、戦士1人、メイジ1人、プリースト1人、アーチャー1人という4人パーティだった。だが、問題はその陣形だ。敵の攻撃を真っ向から受け止める前衛は、戦士ひとりだけ。後ろの3人は安全圏から矢と魔法を撃ち込むという、いわば「前衛一本槍の構え」である。
偏った編成ではあるものの、序盤はこの強引ともいえる構成でも驚くほどサクサク進んだ。拾った防具の中から性能の高いものを戦士に与え、レベルを上げて次のステージへ突撃させる。画面下では、ひとり前線に立つ戦士が敵を食い止めるという不憫な光景が広がるが、勝ててしまうのだから仕方ない。しかし、ステージが進むと、当然ながらワンマン戦士の体力は限界を迎え、ボスに押し潰されるようになる。そこで初めて、筆者は放置していた画面と真剣に向き合うことになった。まずは「装備の厳選」だ。

単なるステータス比較から、本格的なビルド構築へ
装備品は、ドロップでの入手だけでなく鍛冶屋での作成も可能。カテゴリは武器・防具・アクセサリーの3種類に分かれており、同じ名前の装備でも攻撃力などの性能には個体差がある。「アイアンソード」ひとつ取っても、攻撃速度に優れたものを持たせるのか、それともクリティカル率の高いものを選ぶのかで頭を悩ませた。単純に種類だけを見れば済むわけではなく、どの性能を伸ばしたいかによって選択肢が変わってくる。
加えて、鍛冶屋の「エンチャント」機能を活用すれば、新たな効果の付与や不要な効果の変更も可能だ。そうして装備の厳選をおこなっていくうちに、「性能が高い順に装備させる」段階から、「クラスと装備の噛み合わせを考えてパーティを強化する」という本格的なビルド構築へとシフトしていく。

放置だからこそ生まれる余裕と、合間に巡る試行錯誤
それでも勝てなければレベル上げの時間だが、ここで真価を発揮するのが、本作の「放置」という仕組みだ。一般的なハクスラやRPGで進行に行き詰まった場合、レベル上げや素材収集に専念することも少なくない。しかし本作では、そうした育成における反復工程を放置に委ねることで、プレイヤー自身が操作し続けなくても成長を積み重ねられるのだ。
この「放置の軽快さ」と「思考の奥深さ」が合わさることで、本作は特有のプレイフィールを生み出している。そして、ノータッチで放置できるからこそ、頭の中でじっくりと戦略を巡らせる余裕が生まれる。成果が手に入ったタイミングで画面を開き、増えた素材で装備を鍛え、効果を吟味し、パーティの編成を組み直す。放置と介入のテンポが実に心地よく、本来の作業とゲームの進行が互いを引き立て合うようなサイクルが完成している。ゲーム内の成長を待つ時間すらも思考の楽しみへと変わり、気づけば“本命”であった長時間の作業もあっという間に過ぎ去っていく。作業に集中できているかどうかは別として。

挑戦欲を刺激する「転職条件」と、躍動する「ピクセルアート」
そして仲間が一定の強さに達すると、今度は「クラスチェンジ(転職)」が待っている。本作には階級1から5までの多数の職業が存在し、階級が上がるとサブ職まで保持できるようになる。アーチャーひとつ取っても「ガンナー」「レンジャー」「射手」と、複数の派生先があり、全体では90種類以上のロールが存在するという。
また、上位職への転職条件がレベルだけではない点が、本作の肝だ。クラスごとに「特定タイプの敵を一定数倒す」「指定の装備を鍛造する」といった個別の条件が課されているため、黒く塗りつぶされた未解放クラスのツリーを見つめていると「あの職を開放するために、次はこれをやろう」と新たな目標が湧いてくる。もし一連の要素をすべて一気に考えることになれば面食らってしまうが、段階的に考える要素が増えていくのでプレイしていると苦にならない。あくまで最初は作業の片手間……だったところから徐々に脳内の占有量が増えていくわけだ。気づいたころにはもう遅い。

そのほか、つい目を奪われるのが、ちょこちょこと動くピクセルアート。デスクトップ上で繰り広げられる戦闘画面では、ドットで描かれたキャラクターがきびきびと動き、スキルを使えばきらびやかなエフェクトが戦場を飛び交う。見なくても進行する作りでありながら、一生懸命殴り合っているドット絵のアニメーションがかわいらしく、たびたび手を止めて眺めてしまった。自分のデスク上にファンタジー世界の小さな箱庭を置いているかのような趣があり、眺めているうちにまた次の育成計画を考えてしまうのだ。……作業は?

煩雑さは放置へ、育成の醍醐味はプレイヤーへ
以上が、今回『ファンタジー放置遠征隊』をプレイして得た所感だ。Steamに数多く存在する放置ゲームの中には、ゲームとしての介入の余地を削ぎ落としたシンプルな作品もあれば、頻繁な手動操作を要求する作品も少なくない。そのなかで本作が印象的だったのは、「放置の手軽さ」と「育成の奥深さ」が互いを引き立て合っている点だ。レベル上げや素材収集といった成長の積み重ねは遠征隊に任せられる一方、ひとたび育成方針を考え始めれば、仲間選びや装備、クラス構成など、さまざまな試行錯誤が待っている。
プレイヤーが常に操作し続ける必要はなく、それでも成果がたまれば、自分から装備を見直したり、次の育成方針を考えたりしたくなる。そんなメリハリのあるゲームサイクルが、デスクトップの片隅で遠征隊を育て続けたくなる理由なのだろう。日常の裏で軽快に動きつつ、ゲームとしての手応えもしっかり味わいたい人は、まずデモ版でその心地よいゲームプレイを体験してみてほしい。
『ファンタジー放置遠征隊』はPC(Steam)向けに10月9日配信予定。現在はデモ版が配信中だ。
*開発元いわく、本作の開発には生成AIは用いられていないとのこと
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