「Steamウィンターセール 2021」でおすすめしたい、年末年始でクリアできるゲーム10選。1000円以下、5時間以下で楽しい体験
現在Steamにて、ウィンターセールが開催中だ。2万8000本以上のゲームがセール対象となっている。セール期間は、日本時間で2022年1月6日午前3時まで。サマーセールと並んで、Steamでもっとも大きいセールのひとつである。セールテーマについて、弊誌はTwitterにて読者アンケートをとった。その結果、約60%の方がボリュームあるゲームを希望していた。はれて、同テーマのおすすめ記事を掲載した(関連記事)。一方で、短時間でクリアできるゲーム紹介についても40%の票が投じられ、両方やってほしいとの声も寄せられていた。ということで、両方やることにしたのである。
今回は「AUTOMATONらしいチョイス」「1000円以下」「クリアまで5時間以下」「日本語対応だと嬉しい」という基準のもと、おすすめできるゲームをライター陣にひねり出し、寄稿してもらった。購入の参考にしてもらえれば幸いだ。
Assemble with Care
574円(820円、30%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク)
『Assemble with Care』は、絵本のようなグラフィックと心地良いサウンドで描かれる、パズルアドベンチャーゲーム。旅する修理屋のマリアとして、依頼人から預かった品を修理していくゲームだ。物語の舞台は、太陽が降りそそぐ町ベラリーバ。住人の思い出の品々を修理するなかで、マリアは悩みを抱えるひとびとの心に寄り添っていく。
本作は章仕立ての構成となっており、本編13章+エンディング後の追加チャプター1章の全14章。ボリュームとしては、ゆっくりプレイしても2時間ほどでクリアできるだろう。また、ストーリーに重きが置かれており、パズル(修理パート)の難易度は低め。「パズルを解く」というより、「修理の工程をなぞる」ことで、プレイヤーが物語の世界に自然と入っていけるようなつくりとなっている。
シンプルな操作でやさしいパズルを解き、ストーリーを進めていく。気負わずに、リラックスしてゲームを楽しみたい方におすすめのタイトルだ。さらに、音楽好きのゲーマーに嬉しいポイントとして、本作(Steam版)を購入するとサウンドトラックがついてくる。どこか懐かしくて飽きのこない音楽を、ゲームの外でも楽しむことができる。寒い日には、あたたかい飲み物と一緒に『Assemble with Care』を遊んでみるのはいかがだろうか。
by. Maho Ikemi
Resynth
248円(620円、60%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク)
『Resynth』は、ミニマルなビジュアルの音楽パズルゲームだ。基本的なゲームプレイはいわゆる『倉庫番』スタイルとなっており、ステージ内で自機を動かして、ブロックを押して規定の場所へと運んだり、回転扉のようなギミックを必要なだけ回したりなどし、すべての目標を達成すればクリア。適切なルートを進み、正しい順序・方向からブロックを押していかないと詰んでしまうため頭を使う。なお、失敗したと思ったらキュルキュルと巻き戻し可能である。
本作の“音楽”要素はというと、画面上を左から右へと流れるようにバーが繰り返し表示され、動かしたブロックなどのオブジェクトを通過すると音が鳴ること。各オブジェクトがそれぞれ異なるパートの音源となっており、目標を達成していくたびに徐々にBGMが完成していくわけだ。ゲーム画面の左右は時間軸を表しており、こうした仕組みは、DTMをやっている人ならステップシーケンサー風というと分かりやすいかもしれない。
収録ステージは72種類。パズルであるため、誰もが5時間以内でクリアできるとは断言できないが、このボリュームなら可能だろう。ちなみに、本作にはレベルエディタも用意されており、オリジナルのパズル・楽曲を作ることもできる。クリアした後も楽しめる、ボリューム以上の価値がある作品だ。
by. Taijiro Yamanaka
Dogs Organized Neatly
236円(295円、20%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク)
『Dogs Organized Neatly』はワンちゃん詰め詰めパズルゲームだ。パズルのピースとなるのは、いろんなポーズをとった犬。犬をクルクルと回して向きを変え、マス目で区切られた箱の中にすべての犬を詰められればステージクリアとなる。シンプルなルールで気軽に楽しめる作品だ。
ピースとして登場する犬は、すべて手描きでキュートに描かれている。それぞれの犬には、ちょっとしたストーリーも用意。シーツの下に隠れるのが好きな「LAYLA」や、おなかをワシャワシャされるのが好きな「BELLE」といったように、クスっとする可愛げな背景が楽しめる。ピースを掴んだ時のアニメーションや鳴き声も犬好きには堪らない。ゲームには全80ステージを収録。初期のステージは瞬時に解けるものの、後半になるにつれて難易度が上昇。行き詰まってしまうこともあるだろう。ご安心あれ、どうしてもクリアできない場合はスキップすることも可能だ。パズルが苦手な方も楽しめるよう配慮がなされている。
読者の中には「私は猫派だ!」という方もいるかもしれない。そういった方には、シリーズ作品となる『Cats Organized Neatly』をおすすめしたい。こちらも本作と同様、全80ステージのネコちゃん詰め詰めパズルゲームだ。セール価格は236円。犬版と猫版、両作品を買ってもワンコイン未満とお買い得である。この機会に犬を詰めよう。猫を詰めよう。
by. Tetsuya Yoshimoto
ヘイブンパーク
697円(930円、25%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク)
『ヘイブンパーク』はキャンプ地復興アドベンチャーゲームだ。主人公のヒヨコのフリントは、祖母からすっかり寂れてしまったキャンプ場の管理を任される。島の各地のキャンプ場を巡って復興させていき、やがては島全体にかつての賑わいを取り戻すのだ。
キャンプ地の復興には、木材・金属・キノコといった素材が必要となる。小さなオープンワールドをくまなく探検して素材を集めていこう。十分な素材が揃ったら、キャンプ場にテントやキャンプファイヤー、バーベキューセットなどを設営していく。施設の種類や設営場所を自由に決めて、自分好みのレイアウトに仕立てよう。復興しはじめたキャンプ地には、さまざまなどうぶつのキャンパーたちがやってくる。彼らに話しかけ、共に遊び、悩みを聞いてあげよう。
こうしたキャンプ地の復興作業をおこなうことで、経験値が貯まってレベルアップ。スキルポイントを割り振って、施設の種類や素材の獲得数などを増やすことができる。管理者としての経験を積んで、各キャンプ場をより華やかに仕立てあげ、島に活気を取り戻そう。クリアまでは4時間ほど。ミニマムながらもローポリ風のキュートなキャラクターや、自然あふれる暖かな風景、アンビエントなサウンドが心地良い作品だ。ハイキング気分でゆったり楽しんでもらいたい。
by. Tetsuya Yoshimoto
チックタック:二人のための物語
310円(620円、50%オフ)(Steamストアリンク)
『チックタック:二人のための物語』は、二人プレイ専用の脱出ADVだ。ある日、二人のもとに届けられた怪しげな小包。そこに入っていた懐中時計に触れたことで異世界に迷い込んでしまったあなたたちは、どうにかしてこの世界の謎を解き脱出しなければならない。ゲーム本編では、はじめにどちらの主人公を選択するかによって画面に映し出される情報が異なってくる。画面から得られる情報をパートナーと共有し、協力して世界の謎を解くのだ。物語の細部に直接的な描写は少なく、パートナーと考察しながら進めていくのも楽しい。公式に記載されている平均プレイタイムは2時間半。ほどほどのボリュームで友人と遊ぶゲームがほしいという方にはぴったりのタイトルだ。
本作はPC(Steam)/Nintendo Switch/iOS/Androidで販売されている。Steam版とNintendo Switch版の定価が620円なのに対し、iOS/Androidの定価は370円と安い。しかし、セール時はSteamが最安値となるため、PCでプレイしたい方はいまが買い時だ。また、本作はクロスプラットフォームに対応している。PCやNintendo Switchを持っていない人と遊ぶことができるのも、魅力のひとつと言えよう。
by. Aki Nogishi
Zelle
178円(890円、80%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク)
『Zelle』は、奇妙な世界や演出が印象的な、オカルトアドベンチャーゲームである。本作の舞台は、悪魔たちの住む古城だ。主人公の少年エメラダは、ある日死神と出会い、古城へ連れ去られてしまう。エメラダは死神に優しく扱われるが、行動していいのは部屋の中だけ。部屋からの外出は禁止されており、母の元に帰りたくても帰れない日が続いていた。しかし、古城にやってきてから1週間が経過した頃、なぜか扉の鍵が開いていることに気づき、エメラダはドアの向こう側へ出発。自称女神ちゃんから悪魔を撃ち倒すロザリアを受け取り、少年の奇妙な戦いが幕を開ける。
エメラダはロザリオを使って、悪魔と戦いながら古城を進む。ただし本作の戦闘は、敵の色に対応したロザリオを一定時間内に選ぶという、シンプルなルールのもの。戦いに重点が置かれているわけではなく、作品の雰囲気の一部になっている。その分、特に表現には力が入っているように思う。たとえば悪魔との戦いでは、悪魔が画面の裏側から登場したり、ロザリオが上から落ちてきて選ぶのが難しかったりなど、演出が豊富に用意されている。また探索を進める中では、癖の強いキャラクターたちが登場。序盤から不穏な気配の漂うストーリーも、二転三転とどこかへ転がり、プレイヤーを飽きさせない。プレイ時間は2時間ほど。短い中にたくさんの表現が詰め込まれた奇妙な夢は、印象に残るものだった。
by. Keiichi Yokoyama
LIBLADE
466円(718円、33%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク)
『LIBLADE』は、右スティックで敵を斬り払う、コントローラー必須の2Dアクションゲームだ。本作は、ゲームの大きな流れとしては2Dアクションのお約束に則っている。すなわち、敵と戦いながら道中のステージを進み、最奥に待つラスボスを倒せばゲームクリアとなる。特徴的なのは、スティックによって攻撃する操作システムだ。本作ではコントローラーの右スティックを動かすと、対応した方向に大きな斬撃が放たれる。スティックを動かせば動かすほど剣閃は敵を切り裂き、右手は熱を持つ。ストアページに「君もガチャプで気持ちよくなろう!!!!!」と気持ちのいい文言が並んでいるように、右スティックで敵を切り伏せる爽快感と、心地よい疲労感が特徴の一つとなっている。
ただし本作は、爽快を銘打ったカジュアルなだけの作品ではない。特にボス戦では、回避手段が限定的なことも手伝って、パターンをしっかり覚えて攻略する、歯ごたえのあるアクションが展開される。アクションRPGであるため、レベル上げによる突破や、スキルツリーから獲得したシステムによるゴリ押しもそれなりに可能ではある。しかし、がむしゃらに力を振るっているだけでは、いつか壁にぶつかるだろう。右手がついつい熱くなるガチャプレイと、白熱するボスとのバトル。2つの意味で熱いバトルが、本作では待ち受けている。
by. Keiichi Yokoyama
Blind Drive
757円(1010円、25%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク)
『Blind Drive』は、音だけを頼りに暴走自動車をコントロールするゲームだ。本作の主人公は、お婆ちゃんの家に行こうと車に乗り込んだ青年、ドニーだ。金に目がくらんだ彼は、移動がてら「科学実験」と称する謎の仕事に参加。気づけば目隠しと手錠をされた状態で道路をフルスピードで逆走する、狂気の大暴走のハンドルを握るはめになってしまう。ドニーに加減速の権利はない。車が接近しているかどうかは耳で判断するしかない。つまり、プレイヤーは左右の耳に神経を集中させて、車の音がしない方向にハンドルを切り続けなければならないのだ。
本作の特徴は、ほぼ音のみでゲームプレイが完結している点にある。プレイヤーは主人公と視点を共有しているため、視界にあるのは謎のハイテク目隠しに表示された情報だけ。しかし、衝突やイベントの際にはUIにもさまざまな効果が加わり、ゲームを盛り上げる。サウンドデザインも作り込まれており、過去に事故ったトラウマが蘇るほどだ。ドニーと謎の犯人のやりとりも秀逸で、B級映画の主人公になったような感覚が味わえる。ミニマルな設計を逆手に取った没入型暴走シムだ。
本作には日本語音声がないため、まずはオプションから「字幕:オン」に設定してゲーム開始するとよいだろう。交通安全を祈る。
by. Seiji Narita
Bendy and the Ink Machine
820円(2050円、60%オフ)(Steamストアリンク)
『Bendy and the Ink Machine』は、一人称視点のホラーアドベンチャーゲーム。舞台となるのは、かつて白黒カートゥーンで一世を風靡したアニメスタジオだ。30年ぶりに昔の職場へ帰ってきた主人公だが、なぜかスタジオはもぬけの殻。その奥に鎮座する謎の「インクマシン」なる機械を起動させてから、周囲には怪異が生じるようになる。
本作の主役となるのが、なんといってもカートゥーンの主人公「ベンディ」くんである。往年のミッキーマウスを思わせるコミカルな動きで躍動するアニメーションは、なんとも愛らしい。ところが、無人の職場を徘徊するなかで目にするベンディは、なぜか違う。歯をむき出しにして笑うベンディのポスターがこちらを見つめるさまは、どこかうすら寒く、嫌な予感を漂わせる。そしてスタジオで見つかる、真っ黒な魔法陣。生贄の痕跡。狂信者の証言。
アニメーションは「anima(生命)」からくるとおり、無機物に魂を与える行為だ。動かない絵に命を吹き込み続けたクリエイターの夢は、最終的に「現実」となった。30年間のうち、スタジオに何があったのか、その真相をぜひ掴んでいただきたい。
by. Yuki Kurosawa
SIMULACRA 2
410円(820円、50%オフ)(Steamストアリンク)
『SIMULACRA 2』は、実写ホラーアドベンチャーゲーム。主人公は刑事/記者として、とある怪死事件の謎に迫ることとなる。被害者は、SNSなどで幅をきかせていたインフルエンサーの女性だ。唯一の手掛かりとなる遺品のスマホを調査し、彼女の身に何が起きたのかを探ることとなる。
本作では、被害者が使用していたSNSを捜査することが肝となる。いわば、死者のプライベートを「のぞき見」することだ。このSNSの作りこみが実に的を射ている。投稿される種種雑多な内容や、広告のしょうもなさ。現実で目にしてはいても意識には上らなかったくだらない内容も、こうして写実的に再現されると、はっとする光景に様変わりする。
そして、被害者の周囲を取り巻いていた人間関係も濃ゆい。キラキラ女子、自称起業家、情緒不安定なシンガーなど、どれも「いるいる、こういう人」と言いたくなる人物ばかりだ。彼ら・彼女らがSNSで構築している薄っぺらいペルソナを見ていると、徐々に、「こいつらの鼻を明かしてやりたい」という欲望も沸き立ってくる。果たして、事件に対しどのような決断を下すのか。選択はプレイヤーの手に委ねられている。
by. Yuki Kurosawa