新作ソウルライク『明末:ウツロノハネ』いいところと気になるところ。『魔法少女ノ魔女裁判』は何も見ずプレイおすすめ。フリゲGB風ホラー『いぇふぉさま』。今週のゲーミング
Now Gamingは毎週日曜日、各ライターがその週にプレイしたゲームについて、ゆるく書きちらすコーナーです。503回目です。

Now Gamingは毎週日曜日、各ライターがその週にプレイしたゲームについて、ゆるく書きちらすコーナーです。503回目です。縁起がいい。
アクロバティック郵便配達

今週は『TANUKI: Pon’s Summer』の体験版をプレイ。タヌキがBMX(自転車)に乗って郵便配達をするゲームで、その設定だけで「もうカワイイやん」と発表時から気になっていました。プレイしてみて意外だったのは、BMXの扱いがゲーム的になかなか本格的だったこと。トリック(技)やスコアのシステムがあり、トリックの種類も豊富。ウィリーでつないでコンボを決めることもできる。
配達には基本的に関係のない要素であり、おそらく開発者の中にBMXゲームが相当好きな人がいるんだろうなと。かくいう筆者も、スケボーゲーム『Tony Hawk’s Pro Skater 4』の日本版が発売された当時、同様のシステムが採用されたBMXゲーム『Mat Hoffman’s Pro BMX 2003』もリリースされ、これをきっかけにいくつかプレイしてきました。まさか郵便配達ゲームで新たな作品に出会うことになるとは。
by. Taijiro Yamanaka
守銭奴のように金っ……!

『黄泉に落ちても麻雀』を打っていました。記事を書かせていただいた後、麻雀を知らなくてもプレイできるか気にされている方をお見かけしましたが、何も知らなくても大丈夫です。チュートリアルが丁寧ですし、最初に使うキャラのコンセプトも「とにかく萬子染め」と明快なのですぐに感覚が掴めます。貨幣を象徴する萬子にこだわるキャラだけに、リーチ時の萬子の枚数に応じて所持金増加という能力持ち。所持金に応じて点数アップの効果と組み合わせれば怖いもんなしです。ほかにも「手牌の一つを萬子に変化させる」「筒子も索子も問答無用で萬子としてポン・チーできる」といったインチキを駆使して、金と点数を盛っていきましょう。
いわゆるリーチ麻雀が強くなるかどうかと問われれば、微妙なところ。わかる人向けに言葉を選ばずに言うなら、染め手が戦略の一つとして重要なので、連続形の牌姿に強いと少しだけ有利です。押し引きや防御面の感覚は鈍りそうなので、トータルで見ればわずかにプラス寄りといったところでしょうか。
対戦形式だから演出に華がありますし、キャラの存在は違う戦略を試す動機づけにもなっていて一石二鳥。忘却の女神もといタピオカミルクティー屋さんの孟婆ちゃんと対戦したときには、リーチ時に亡者たちの手が地面から生えてきて、ライヴ会場よろしくリズミカルに動いたから笑っちゃいました。みんな現世のことなんてすっかり忘れて楽しくやってんだなぁ。
by. Naoto Morooka
2000年風GBホラー

今週は、フリーゲーム『いぇふぉさま』を遊んでいました。本作は謎の存在「いぇふぉさま」にまつわる、ゲームボーイ風の短編ホラーアドベンチャーゲームです。主人公は、転向してきたばかりの小学生。彼あるいは彼女は友達から「いえふぉさま」について教えてもらうのですが、翌日にその友達が失踪。探偵と共に街を調査し、友達の行方を探ることになります。呼び出すにはいくつかの条件があり、無害だという「いえふぉさま」とは何なのか。徐々に広まっていく「いぇふぉさま」の噂を背景に、ちょっとした事件が繰り広げられていきます。2000年の夏が舞台となっており、ゲームボーイ風であることも相まって、ノスタルジーな内容も特徴でしょうか。
オカルト・ホラーなテイストかと思えば、意外と恐怖は控えめかつ地に足のついたストーリーが展開。NPCたちに詰め込まれた2000年代の情景が印象に残る、懐かしさのあるアドベンチャーゲームとなっていました。
by. Keiichi Yokoyama
シェリー推し

『まのさば』こと『魔法少女ノ魔女裁判』をプレイしていました。胸躍る展開が次々と押し寄せ、ずっと佳境が続く感覚です。世界観やビジュアルに惹かれたなら、レビューなども漁りすぎず今すぐ遊んでほしいですね。
作品の設定や流れは、某学級裁判のゲームに近いです。謎の施設に集められた13人の少女たちは皆、危険な「魔女」の因子をもつとされる魔女候補。共同生活をおくるうちに殺人事件が起きてしまい、「魔女裁判」で犯人をあぶり出して処刑します。なんらかの魔法が使えるという特殊な体質をもったキャラクターたちですが、一方でそれぞれが抱く感情は良くも悪くも極めて“人間的”なところが好きです。些細なことでギクシャクする人間関係、無自覚に抉られるトラウマなど、胸が痛くなります。
事件のトリックはどれも巧妙で、少女たちが秘めた魔法の存在により突拍子もない発想も現実味を帯びてくるという、なかなか込み入った構造。ただ、魔女裁判で正しい反論の選択肢を取るのがやや難しく、言葉のあやに振り回されることも。「雨の日は気をつけて運転しなければならない→✕」のような学科試験ばりのひっかけ問題もあるので、そこらへんは緩く付き合えるとよいかなと。主人公のモノローグから得られるヒントも多く、全体的に見れば難易度はそれほど高くないので誰でもプレイしやすいと思います。おすすめです。
by. Shion Kaneko
コーヒーは星のように大きくなければならない

『Astro Prospector』を遊んでいました。どういうわけか本作世界では宇宙でコーヒー豆が獲れ、それがえらい美味なので、大企業スペースコープが占有。プレイヤーはそんな大企業に反抗し、宇宙コーヒー豆を集めつつスペースコープの船も粉砕していく、というゲームです。
コーヒーが切れるともう動けないので、コーヒーが効いている時間内になんとかステージのボスを倒す必要があります。一方コーヒースターを破壊することでコーヒー豆を入手し、それをもとに武装をはじめとしたさまざまな能力が強化可能。見下ろしサバイバー風味×弾幕シューティングに、てんこ盛り永続強化要素を足したといった感じです。
強化要素でめちゃくちゃするゲームとしてはよくあることですが、一気にできることややれることが増える中盤が遊びとしてはピークという印象。とはいえそもそも本編自体がコンパクトに作られていることもあってか、“作業感”のあるパートも少なめ。そもそもボスを倒す設計になっているために、プレイヤー側のちょっとした操作の頑張りや、ボスにダメージを与えるという能動的行為も存在。「最強感」よりも「攻略感」の強いデザインに仕上がっており、最後まで遊びがいのある作品でした。どうやら新モードの実装予定もあるとのことで、秋が楽しみ。
by. Kosuke Takenaka
節約要らず

『明末:ウツロノハネ』をプレイしていました。本作は中国・明代末期の古蜀を舞台とするソウルライク・アクションRPG。ジャスト回避などでストックされていく「須羽」を消費し、強化されたスキルを繰り出していくシステムが特徴です。面白いのが、序盤からプレイヤー側の攻撃手段が結構強力な点。武器種によってはボス級の敵を即怯ませるスキルを使えたり、魔法にあたる法術を連発できたりと強気に攻めながら戦えます。
また須羽はジャスト回避のほか、武器種に応じたスキルツリーの強化次第で弱攻撃の2段目を当てたり、短めの時間経過で溜まったりとどんどん溜めることが可能。スキルや法術を出し惜しみするといった節約意識が必要なく気楽に戦えます。ちなみに本作のスキルツリーにはスキル取得だけでなく、ステータス強化や武器強化も集約されています。キャラクター強化を一元管理できてツリーの巻き戻しにもデメリットがなく、取捨選択に悩む必要がないのも気楽なところ。
ソウルライクゲームとして手強さもありつつ、ゲームシステム面ではあまり悩まず豪快に遊べるところが好みにマッチしていて、お試しでプレイするつもりでしたが意外と楽しめています。ただPC版でプレイしていますが、やはり最適化不足は気になるところ。フレームレートが伸び悩みつつスタッタリングも結構発生するので、アップデートでの改善が期待されます。
by. Hideaki Fujiwara