『GTA 6』発売日に“150万人が仕事を休み、約1600億円の経済損失が出る”との結構怪しいデータ広まる。全米がサボる日

『グランド・セフト・オートVI(GTA 6)』の発売日に“プレイするために仕事を休む従業員”が多くいることで、大規模な経済損失が発生するのではないかとの説がまことしやかに報じられている。

Rockstar Gamesは11月19日に、『グランド・セフト・オートVI(GTA 6)』を発売予定。対応プラットフォームはPS5/XBOX Series X|Sだ。同作の発売日に“プレイするために仕事を休む従業員”が多くいることで、大規模な経済損失が発生するのではないかとの説がまことしやかに報じられている。

『GTA 6』は、Rockstar Gamesが手がける人気オープンワールドクライムアクションゲーム『グランド・セフト・オート』シリーズの最新作だ。本作の舞台となるのは、米国の架空の州であるレオナイダ州。過去作『グランド・セフト・オート:バイスシティ』などに登場した都市・バイスシティを擁する州だ。主人公となるのは、ジェイソンとルシア。シリーズ最大級に進化した規模と没入感が表現されるという。

そんな本作の発売日に「仕事を休む人が大量に発生し、多額の経済損失が発生するのではないか」との説が唱えられている。もともとはスペインのメディアCadena SERが2025年7月に、ポンペウ・ファブラ大学で経済学教授を務めるJosé García Montalvo氏などへの取材に基づき報道。この証言を一部引用するかたちでInternational Business Timesなどが改めて同氏の見解を報じている。


どんどん大きくなる“尾ひれ”

当初のCadena SERの報道は2025年7月、つまり『GTA 6』の発売予定日が延期前の2026年5月26日であったころに掲載されたものであり、先述したMontalvo氏など複数の学者の証言がまとめられている。同氏は『GTA 6』発売に伴う欠勤についての見解を述べており、仕事を休んでゲームをプレイする層は、主に18歳~30歳の若い男性になるとの見立てを示している。もっとも影響を受けるのはテクノロジー業界であり、そうした業界ではリモートワークの場合が多く、労働者に対する管理が比較的難しいからだという。そのため「仕事を抜け出して新作ゲームを遊ぶことが(ほかの業界と比べて)はるかに簡単」との見方を述べている。また同氏は2000年代半ば以降の若い男性の余暇時間の増加において、ゲームなどの娯楽が増加分の約半分に寄与したとされ、労働時間を約1.5%~3%減少させた可能性があるとする研究にも言及した(National Bureau of Economic Research)。

このほかCadena SERの報道では『GTA』シリーズの若年層における知名度の高さや、ゲームが単なる娯楽ではなく文化に及ぼす影響力が大きい点などについて、有識者の見解が伝えられた。さまざまな観点から、『GTA 6』発売日に休暇をとる、あるいは仕事をさぼったりする従業員が多く発生する可能性を論じているわけだろう。そして具体的な根拠は不明ながら、同メディアは米国では『GTA 6』の発売初日だけ10億ドル(約1600億円・現在のレート)の損失が発生するとの予測を伝えていた。

先述したとおりCadena SERの記事は2025年7月に掲載されたものであるが、今年11月19日の『GTA 6』の発売が近づくにつれて、複数のメディアが引用するかたちでふたたび注目を集めている。ところが当初のCadena SERの記事になかった“尾ひれ”もついており、10億ドルの損失予測がMontalvo氏の発言となっていたり、『GTA 6』発売当日に「米国で150万人が一斉に欠勤する」「米国の生産性が2%低下する」といった出所不明の情報がそれぞれ同氏の発言かのように付け加えられている。業界屈指の注目作である『GTA 6』の発売を前に、真偽不明の情報までが入り混じり、壮大な噂が広まる状況となっている。


実際休む人は多そう

なお、具体的な人数や影響はともかく『GTA 6』の発売日に休暇を予定しているゲーマーは少なからずいることだろう。たとえばThe Wall Street Journalは、11月19日周辺で休暇を予定しているというゲーマーの証言をまとめた記事を掲載。ソフトウェアエンジニアや公務員といった幅広い職種の人々から証言が寄せられている。中でも「ジョージア州フォート・スチュワート陸軍基地」のある大隊では、8月1日から11月14日までに再入隊した兵士は『GTA 6』の発売日にあわせて4日間の外出許可が与えられるインセンティブプログラムが実施されているという。同誌が広報担当のAngel Tomko中佐に取材したところによると、この施策は新任のキャリアカウンセラーの提案によるもので、対象となる130人の兵士のうち取材時点で44人がこの制度に申し込んでいたそうだ。

このほか、冗談か本気かはわからないものの、『GTA 6』の発売日に休暇を希望する従業員が殺到したことを受けて、当日を休業日にしたという企業も出現(関連記事)。“GTA休暇”を予定するゲーマーが相当な規模となる可能性も垣間見える。

ちなみにCadena SERは先述の記事において、前作『グランド・セフト・オートV』発売時の週末においては、ニューヨークとロサンゼルスの都市部において18~35歳の年齢層の人口の6%が仕事を休んだと伝えている。米国国勢調査局の資料などを見るに2013年当時のニューヨーク市の人口は約840万人、ロサンゼルス市の人口は約390万人で、それぞれ18~35歳の人口比率は全体の30%弱に相当する。これは人数にして約370万人。つまり前作ではふたつの都市だけで約370万人の6%、22万人程度が“GTA休暇”をとっていた可能性がうかがえる。その続編の発売日、かつ米国全体であれば、先述した“150万人が一斉に欠勤する”との憶測も、あながち大きく的を外した数値ではないのかもしれない。とはいえ「6%」という割合がどのように算出されたのかは弊誌で調査する限り不明。“都市部”の指す範囲もそれぞれニューヨーク市、ロサンゼルス市の近郊まで含む可能性はあり、やはり実態は定かではない点には留意したい。

なお過去にはRockstar Gamesが手がける『レッド・デッド・リデンプション2』や、Bethesda Game Studiosが手がける『Starfield』などでも発売日に休暇を取ろうとする動きがネットミームのような盛り上がりを見せていた。また国内でもフロム・ソフトウェアの『エルデンリング』や任天堂の『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』などの発売時に同様の賑わいが見られた。“発売日休暇”は人気スタジオの新作や、人気作の続編などが発売される際に恒例のネットミームといえるだろう。とはいえ『GTA 6』ともなると、発売日に仕事を休むという恒例のネタも、「国家規模の経済損失」という壮大な話にまで発展している。真偽不明の数字まで飛び交う状況は、本作の注目度が桁外れであることを物語っているかもしれない。

『グランド・セフト・オートVI』はPS5/XBOX Series X|S向けに2026年11月19日に発売予定だ。

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Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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