『スーパーマリオ64』にて“かすれすぎて読めず30年議論されていたメッセージ”、徹底検証され「Eternal Star」だった説浮上。執念がすごい、でも怪しさもすごい

『スーパーマリオ64』において、長らく“解読不能”であった謎の文字列を解明したというユーザーが現れた。

『スーパーマリオ64』において、長らく“解読不能”であった謎の文字列を解明したというユーザーが現れた。とはいえコミュニティでは懐疑的な反応も寄せられている。

『スーパーマリオ64』は、1996年にNINTENDO 64で発売された『スーパーマリオ』シリーズ初の3Dアクションゲームだ。さまざまな任天堂プラットフォームに移植されて世代を超えて親しまれてきたほか、スピードランコミュニティでも活発に記録への挑戦がおこなわれている。

そんな本作には、長らく解読不能な文字列が存在していた。「ピーチ城」の地下の広場に存在する、星の像の土台の銘板に記されたメッセージだ。「テレサのホラーハウス」に行くときに通る、テレサたちが集う広場と表現すれば分かりやすいかもしれない。テクスチャの解像度の関係で文字がつぶれてかなり読みづらく、NINTENDO 64版やその移植版のほか、ニンテンドーDSでリリースされた『スーパーマリオ64DS』でも、言語を問わず同様のテクスチャであった。コミュニティでは文字の形だけでなく作品内容なども踏まえて推理する動きもみられ、「Eternal Star」「L is real 2401」「L is real in Paper M」といったさまざまな仮説が唱えられてきた(関連記事1、関連記事2)。


銘板を“読まない”アプローチ

今回はそんな銘板の文字列について、新たなアプローチで分析したと主張するMochi64なるユーザーが現れた。Mochi64氏は、『スーパーマリオ64』のROMを含まないかたちで、解析に用いたプログラムをGitHubにて公開している。同氏によれば2行の文字列は高さがそれぞれ3~5ピクセルしかなく、これまで試みられてきたアップスケーリングや画質向上フィルターなどの手法では、元画像にない細部まで推測で補完してしまうと指摘。そのためまったく異なるアプローチとして、銘板を読むのではなく「銘板を再現する」ことにしたという。候補となる文字列をさまざまなフォントやサイズで入力し、縮小方法やぼかしの条件を変えて、大量のテクスチャを生成。本物の銘板の文字のテクスチャと重ね合わせ、誤差の少ないものを探したとのこと。この際にはゲーム内の文字の背景となる石の模様や濃淡も考慮したそうだ。

手法としては、Macintosh用フォント、Windows用フォント、AdobeのPostScriptフォント、そしてゲーム自体で使用されている文字フォントを含む、当時の書体を中心に約530種類のフォントを調査したという。Mochi64氏はClaude Opus 5.5で解析用プログラムを作成し、GPUを使って大量の組み合わせを生成し比較。まずは以前から有力説のひとつとなっていた「Eternal Star」について、各フォントでの再現画像と実際のテクスチャの誤差を調べた。その結果、同氏が想定する制作工程のもとでは「Palatino Bold Italic」という書体がもっとも高い適合度を示し、特にAdobeの1990年版フォントファイルが最良の結果となったとのこと。このほかにもさまざまな条件のもとで、第2~第4段階の追加検証もおこなったとされている。

そうした独自検証の結果、Mochi64氏は銘板の文字の1行目は「Eternal Star」、2行目は「We hope so」である可能性がもっとも高い(most likely)と主張している。繋げて訳せば「永遠の星、そうあることを願う」といった意味になるだろう。同氏の主張どおりであれば、コミュニティにとって長年の謎がようやく解明されたようにも見えるが、そうとも言い切れないようだ。


謎は解明されたのか?

先述したとおり、Mochi64氏は検証の第1段階で「Eternal Star」という正解候補を用いて、約530種類のフォントで実際の銘板の文字のテクスチャに一致するかどうかを検証している。同氏のレポートを見るに、この際には拡大縮小、縦横比、ぼかし、ガンマ補正、文字ごとの位置調整を許容して比較したとされており、各フォントにおける最小の誤差となるように比較がおこなわれたという。つまり「もしEternal Starと書かれていたら」という仮定のもとで、フォントや加工条件を探すことが出発点になっていたとみられる。

Mochi64氏自身もそうした検証方法の課題に言及。「L is real 2401」といった別の候補のほか、「Eternal Star」の「Star」に代わりうる単語についても、それぞれ画像処理設定を最適化し直す追加検証を実施。さらに「Eternal」の部分についても、画像処理設定を固定したうえで100万以上の文字列候補と比較し、いずれの検証でも「Eternal Star」がもっとも適合度の高い結果になったと報告している。

ただこれらの追加検証では当初のフォント比較で有力とされたAdobeの「Palatino Bold Italic」などが用いられており、ほかの文章や単語の候補でも改めて約530種類のフォントが比較されていたわけではない。フォント選択の段階で「もしEternal Starと書かれていたら」という仮定に依存している点は留意すべきだろう。そもそも『スーパーマリオ64』の銘板の文字が手作業で描かれていたり、別の画像処理方法が用いられていたり、そもそも意味の通る文章ではなかったりした場合にも、今回の解析結果が正しいとは限らない。

なお2行目の検証については、当初のフォント比較で有力とされたPalatino系のフォントが用いられ、約1万7700語の英語辞書を使って単語の組み合わせを探索。真ん中の単語で上位候補となることが多かった「hope」に着目し、該当部分のピクセルをもとに、文字サイズや位置などを調整して残る文字を検証したそうだ。当初の設定では、最初の単語は「We」「We’ll」「By」などが部分的な比較で有力候補となり、最後の単語については「so」よりも「he」「or」「no」などが画像に適合する場合もあったという。しかし追加調整によって「We」と「so」がそれぞれ実在する英単語のなかでもっとも適合度が高くなったとされる。

またその後のAdobeの1990年版「Palatino Bold Italic」を用いた文章の再探索では、「We hope so」が探索した候補のなかで実際の画像との誤差がもっとも小さい文字列になったとのこと。さらに「We hope so」という文字列を用いて2行目独自のフォント比較も実施し、約3400種類の書体を調べ、当時の文字描画方式を想定した追加検証も踏まえてPalatino Bold Italicがもっとも適合度の高い結果になったという。ただしそれぞれ「Palatino Bold Italic」というフォント、または「We hope so」という文章を前提とした比較であり、異なる文章とフォントの組み合わせを網羅的に検証したわけではない。

つまり2行目についても、当初のフォント選択や画像処理設定は「もし1行目にEternal Starと書かれていたら」という仮定に基づく検証であったといえる。2行目独自のフォント比較なども実施されているものの、最終的な文章の推定では、想定したフォントや画像の制作工程に依存している点には留意したい。Mochi64氏自身も低解像度の画像では複数の文字列が似た結果となりうることを認めている。今回の分析で数値的にもっとも適合度が高いとされたことをもって、実際の銘板の文字が「Eternal Star」「We hope so」で確定したとまではいえないだろう。


“解明”への疑念も

今回の解析はあくまで「銘板の1行目に、当時使用可能だったフォントでEternal Starと入力されていたら」という仮定から、それに適合するフォントや画像処理設定を探し、その結果に基づいてほかの文章候補との比較や2行目の文字を推定したものといえる。1行目が「Eternal Star」かどうかを改めて検証するなど、さまざまな追加検証もおこなわれているものの、そもそも実際の銘板がそうした制作工程で作られたのかも確認されていない点には留意したい。

ところがMochi64氏は任天堂の公式Xアカウントにリプライするかたちで「30年にわたる『マリオ64』の謎が解かれた」と報告。自身のXアカウントのプロフィール文に「Legendary decoder of the Super Mario 64 plaque(『スーパーマリオ64』の石碑を解読した伝説の人物)」との紹介を記載し、今月開設したばかりのYouTubeチャンネルにも今回の解析を紹介する動画を投稿するなど、大々的にアピールしている。先述したとおりレポート内では「可能性がもっとも高い」といった説明に留めている一方で、SNS上では謎が解明されたと断言しており、発信の仕方には温度差もあるわけだ。

対してコミュニティでは今回の解析について、元画像の情報量が少なすぎるため原文を特定できないのではないかといった懐疑的な意見もみられる。独自の手法や検証結果を評価する声もあるものの、長年の謎が完全に解明されたとの見方ばかりではないようだ。

なお上述したようにMochi64氏はClaude Opus 5.5で解析用プログラムを作成するなど、最新AIモデルの助けも借りながら検証をおこなった様子。同モデルの一般公開後にはふたつのゲームを“組み合わせる”Modなども出現しており、ゲームコミュニティにもさまざまな影響を及ぼしている(関連記事)。今回の解析は銘板の文字列を解き明かしたと断定することはできないものの、長年議論されてきた『スーパーマリオ64』の謎に対して、新たな技術と手法で迫る点では興味深い試みといえそうだ。

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Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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