スクウェア・エニックスは7月22日、『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FF14』)のパッチ5.3「クリスタルの残光」の内容を解説する生放送「第59回FFXIVプロデューサーレターLIVE」(以下、第59回PLL)を配信した。
第59回PLLの冒頭ではついにパッチ5.3「クリスタルの残光」のトレーラーが公開。メインクエストの不穏な展開を匂わせるNPCたちのセリフをバックに今回実装される内容がこれでもかと詰め込まれている。パッチ5.3については7月16日に特設サイトが公開されており、弊誌でも公開内容について取り上げた(関連記事)。今回はそちらで紹介したものは割愛し、第59回PLLで放送された内容の中でも特に新規公開された情報や見どころに重点を置いて紹介していく。
ジョブ調整
パッチ5.3ではいくつかのジョブに調整が行われる予定だ。具体的な言及があったのはモンク、吟遊詩人、占星術師、召喚士、戦士の5ジョブ。その他のジョブについても細かな調整が行われる可能性があり、詳細はパッチ直前に公開されるパッチノートを確認してほしい。
モンクについては、固有バフである疾風迅雷の仕様が現在のコンテンツと噛み合っていないことを開発側も認識しているようだ。海外ユーザーを中心に4月にRedditで行われたジョブ満足度調査でもモンクは満足度ワースト1位となっており、ユーザー間でも議論になることがしばしばあった(関連記事)。今後、疾風迅雷はジョブ特性とする方向で調整していく方針ではあるものの、ほぼ全てのアクションを調整しなければならない都合上パッチ5.3での改修は難しいとのこと。今回は踏鳴のリキャストを短縮するほか、演舞を使用して疾風迅雷を延長する際の「壱の型」の前提条件を撤廃するにとどまる予定だ。これにより火力も実質的にアッパーとなる。本格的なテコ入れはパッチ5.4で実施される予定だ。
吟遊詩人も前述のジョブ満足度調査で低評価となったジョブだ。パーティーメンバーへのバフと吟遊詩人自身の火力の釣り合いが取れていないことが議論されていたが、今回は単純にスキルの威力を上昇させることでその穴埋めをするように調整が行われる。
占星術師は他のヒーラージョブに比べてMP管理がシビアだった。これまでの主要なMP回復手段はライトスピードとヒーラー共通アクションのルーシッドドリームのみだったが、パッチ5.3ではその他のアビリティにもMP回復効果が付く予定だ。また、ライトスピードは「魔法の詠唱時間を2.5秒短縮」という特性から必ずしもMPを回復する目的で使いたい場面ばかりではないことも挙げられており、「消費MPを50%軽減」の効果は撤廃して他のアビリティでMPを回復できるよう調整するとのこと。また、詳細は不明ながら、スリーブドローについても改修が行われるようだ。
召喚士はナーフ調整となる。パーティーメンバーへのバフや蘇生手段を有しながら個人火力にも恵まれていた召喚士は「召王」とまで言われ、ジョブバランスを崩していると取り沙汰されることもしばしばだった。他ジョブをアッパーすることでの調整も考慮したものの、召喚士に合わせての調整ではバトルバランスが取れないための苦渋の決断となったようだ。トライディザスターの威力がナーフされる予定で、スキルローテーションに変化はないとのこと。
戦士は固有バフであるシュトルムブレハの維持がしやすくなるように調整される。他のタンクジョブと比較して少し及ばないと評価されることが多いものの、その他に大きな調整はなく、プレイフィールの改善に重きを置かれたようだ。
YoRHa: Dark Apocalypse 人形タチノ軍事基地
『NieR:Automata』とのコラボレーションであるYoRHa: Dark Apocalypseの第2弾である人形タチノ軍事基地の紹介では、実機プレイを交えて情報が公開された。プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏がプレイした最初のボス戦では『NieR:Automata』のBGM「オバアチャン/破壊」が流れており、第2弾も気合の入ったコラボレーションであることが窺えた。また、ボスの「ちら見せ」を終える際に吉田氏はステージから飛び降りて退場。今回も場外落下に注意しなければならないようだ。
ドロップ装備の画像も公開された。今回は『NieR:Automata』の舞台版である「舞台ヨルハ」の衣装のようだ。第1弾のドロップ装備と雰囲気も近いため、合わせてコーディネートしても良いかもしれない。
吉田氏はコンテンツの難易度について、『NieR:Automata』の開発者である齊藤陽介氏とヨコオタロウ氏とのチェックの際に何度も全滅したことを話した。また、コンテンツの奥に行くほど凝ったギミックを仕込んでいるとも語る。「『FF14』プレイヤーは敵の詠唱バーや床を見ていることが多いが、『NieR:Automata』はアクションゲーム。敵のアクションを見て、何をしようとしているか判断してほしい」と不敵に笑う場面も。パッチ4.X以降の24人レイドで顕著になってきた、敵の挙動を見て攻撃の内容を判断するギミックは今回も健在のようだ。
また、入手経路は不明であるものの、YoRHa: Dark Apocalypseに関連した調度品も実装される予定だ。
イシュガルド復興
パッチ5.21の「第二次復興事業」に引き続き、パッチ5.31ではイシュガルド復興が次段階「第三次復興事業」へと進んでいく。イシュガルド復興は各メディアのインタビューや公式生放送での説明において開発側とプレイヤー側の認識の齟齬が多々発生しており、特に職人ランキング入賞者の次回以降の参加権やアチーブメント・称号の内容について紛糾されることがあった。今回の第59回PLLでは、プレイヤー間で議論されることの多かった部分について再度説明が行われた。
まず、職人ランキングで入賞した場合の次回以降の参加については、参加可能ということでほぼ間違いないようだ。公式生放送などで吉田氏が「一度入賞したら卒業となる」といった発言をしていたこともあり、次回以降は参加不可能になると認識していたプレイヤーもいたものの、今回の第59回PLLで吉田氏は「(あくまで自分の場合は)もしも1回目に称号を取っていたら無理に2回目のランキングを取りに行こうとはしない」と話していたことから、参加自体は可能であると見られる。
称号とアチーブメントについては、第2回職人ランキングでは第1回とは別のものが実装される予定だ。アチーブメントは「蒼天街の聖者(福者):第三次復興事業」(1~12位は「聖者」、1~100位は「福者」)で、前回のアチーブメントは「蒼天街の聖者(福者):第二次復興事業」と「:第二次復興事業」が最後に追加される形に変更となる。また、称号は1~12位に「Saint Ascendant」、1~100位に「Beatus/Beata Ascendant」が与えられ、こちらは前回の「Saint of the Firmament」「Beatus/Beata of the Firmament」とは少し雰囲気の違った称号となる。これらを同じ称号・アチーブメントと取るか全く違ったものと取るかはプレイヤー次第だが、吉田氏の見解ではこれらは違ったもので、第1回職人ランキングの激戦を勝ち抜いた入賞者の持つ称号やアチーブメントの希少性を担保していると話している。
職人ランキングの第1回と第2回で違った称号・アチーブメントを実装すると、当然だが以前のものは今後取得する手段のない称号・アチーブメントとなる。そのため、第1回と第2回、ひいては今後のランキングでも称号やアチーブメントを統一してほしいという意見もある。一方で吉田氏は前回のランキングで必死の思いで上位を勝ち取ったプレイヤーの努力を、称号・アチーブメントを差別化することで讃えたいという気持ちがあるようだ。前回と全く同じものにすることも可能な段階であるため公式フォーラム等でのフィードバックが欲しいとしているものの、可能であれば前回とは別の称号・アチーブメントを実装する方針で進めたいと話していた。
職人ランキングは称号・アチーブメントのみが与えられる「名誉」の世界だが、イシュガルド復興に参加するともらえる復興券やクポフォーチュンから受け取ることができる報酬にはミニオンなど新たなアイテムが追加される。放送内では「もちもちゲイラキャット」というコートを着込んだゲイラキャットのミニオンが紹介された。
なお、イシュガルド復興はパッチ5.31で実装されるコンテンツだ。詳細な実装日は不明だが、8月11日のパッチ5.3から数週間おいての実装となると見られている。
セイブ・ザ・クイーン/南方ボズヤ戦線
南方ボズヤ戦線は武器強化コンテンツ「セイブ・ザ・クイーン」に付随する新規コンテンツだ。パッチ5.35では最大72人まで参加できる専用フィールドが新しく追加され、その中でさまざまなバトルイベントに挑戦することができる。バトルイベントは大人数で敵を討伐するMMOらしいものから高難易度のレイドバトルまで多岐にわたり、やり込み要素が強いコンテンツと言えるだろう。とはいえ、セイブ・ザ・クイーン関連のストーリークエストをクリアするだけならやり込む必要はないとのこと。ライトに遊びたいプレイヤーからやり込みたいプレイヤーまで門戸を広く開いているようだ。
バトルイベントはフィールド上で次々発生する「スカーミッシュ」と特定の条件を満たすと発生する「クリティカルエンゲージメント」に分けられる。スカーミッシュは通常エリアの既存のフィールドバトルであるF.A.T.E.とほぼ同じようなものと考えて差し支えないだろう。スカーミッシュに参加すると貢献度に応じた戦果を得ることができ、この戦果を拠点のNPCに報告することで自身の「レジスタンスランク」を上げてさらなるバトルイベントに参加するのが大まかな流れとなる。
特定の条件を満たすと発生するクリティカルエンゲージメントにはさまざまなトリガーが存在し、それを達成することで参加権を得て、専用UIから申請を行うことで参加することができる。参加権を得たプレイヤーが多ければ抽選となるが、抽選はトリガーを発生させたり専用アイテムを使ったりすることでより選ばれやすくなるようだ。参加人数は24人向けから48人向けのもの、さらにはボスとの一騎打ちのものまであるとのことだ。
南方ボズヤ戦線の中では、ロストアクションと呼ばれる専用アクションを使うことができる。これらはスカーミッシュやクリティカルエンゲージメントへの参加のほか、フィールド上の雑魚敵を倒すことで得られるロストシャードを鑑定することで得ることができる。パッチ4.Xシリーズの武器強化コンテンツ「禁断の地エウレカ」のロゴスアクションに近いものと見て良いだろう。ロストアクションを使用すると強力なバフや回復などを得ることができ、高難易度のクリティカルエンゲージメントでは必須となってくるようだ。
南方ボズヤ戦線内で手に入る装備も実機にて公開された。戦場を駆け抜けているような傷・汚れのある外見で、無骨な装備が好きなプレイヤーは特に集めたくなるデザインではないだろうか。
セイブ・ザ・クイーンはパッチごとにレジスタンスウェポンを強化していくコンテンツだが、強化用のアイテムは南方ボズヤ戦線内で集めることができる。とはいえ、このアイテムは南方ボズヤ戦線だけではなく外部のコンテンツでも収集可能だ。南方ボズヤ戦線が肌に合わなくとも別の手段で武器の強化ができるため、武器強化だけをコツコツやりたいプレイヤーは既存コンテンツを周回しても良い。
セイブ・ザ・クイーンのシナリオを執筆しているのは、『オウガバトル』シリーズや『ファイナルファンタジータクティクス』などの制作に携わり、パッチ4.Xシリーズでは24人レイド「リターン・トゥ・イヴァリース」シリーズのシナリオを手掛けた松野泰己氏。今回は『タクティクスオウガ』の「ウォーレンレポート」のようにNPCを紹介する読み物コンテンツも充実させたとのことで、同氏のファンも楽しめるコンテンツとなっているようだ。
セイブ・ザ・クイーンのアップデート及び南方ボズヤ戦線の追加はパッチ5.35を予定している。時期は未定だが、パッチ5.3実装から1~2か月程度間を開けての実装となる見込みだ。
新たな装備や家具のグラフィックが公開
新たな装備のグラフィックも公開された。アロハシャツは8月12日から始まるシーズナルイベント「紅蓮祭」の報酬と見られ、今年も夏らしい爽やかなスタイルで過ごすことができそうだ。
新たな家具には床置きのソファやクッション、フリンジのついた豪奢なカーテンやブルーバードのモービルなどが実装される。また、マネキンのモデルにロスガルとヴィエラが追加されるとのことだ。
設置可能な食事としてタコ焼きとハンバーガーも紹介された。ハンバーガーは「ジャイアントビーバーガー」という名称らしく、ジャイアントビーバーを模したユニークな外見でハウス内に強烈なインパクトをもたらすこととなりそうだ。
『妖怪ウォッチ』コラボの復刻も
2016年に開催された『妖怪ウォッチ』シリーズとのコラボイベントがパワーアップして復刻。前回までの報酬にパッチ4.X以降に追加されたジョブ用の新規装備が追加されている。また、新生エリアのF.A.T.E.を回って装備交換用のアイテムを貯め、前回までのものも含めた全装備を集めると、『妖怪ウォッチ』のマスコットキャラクター・ジバニャンをモチーフにしたマウントを手に入れることができる。期間は8月19日~パッチ5.4公開まで。期間は長いのでコツコツ進めるのが良さそうだ。
ファンフェスティバル開催について
COVID-19の感染拡大を受け、2020年12月に名古屋での開催を予定していた『FF14』のファンフェスティバルの中止が発表された。しかし、ファンフェスティバル自体を中止するのではなく、なにか別の形で開催できるように検討しているとのことだ。なお、2020年11月にサンディエゴでの開催が予定されていた北米ファンフェスティバルも開催が中止され、別日程・別候補地・別形態を含めて開催を検討中。2021年2月の開催を予定している欧州ファンフェスティバルは、今後の状況を見極めつつ開催可否を検討しているとした。
その他にも細かい改修で利便性が改善
そのほかに実装される項目としては、ギャザラー・クラフター関連の利便性の改善やグループポーズへのステッカー機能の追加、新生エリアのフライング機能の対応、パーティー募集にパーティーを組んだまま参加が可能になるなど、かゆいところに手が届くようなものが多い。
『FF14』パッチ5.3「クリスタルの残光」は8月11日にアップデート予定。当日は24時間のメンテナンスとなるため注意が必要だ。8月10日には吉田氏をはじめとした開発スタッフがパッチ内容を朗読する生放送「パッチノート朗読会」も予定されているため、メンテナンスを待ちながら視聴してみてはいかがだろうか。