歌手・宇多田ヒカル氏が1月18日にリリースした22枚目のニュー・シングル「Face My Fears」が、米ビルボード総合ソングチャートBillboard Hot 100（2月2日付）にて、98位にランクインした。Billboard JAPANによると、日本人名義の楽曲がBillboard HOT 100にチャートインするのは、ピコ太郎氏の 「PPAP」以来約3年ぶりだという。また宇多田ヒカル氏がBillboard HOT 100にチャートインするのも、今回が初となるとのこと。
そのほか、世界31か国のiTunesダンスチャートで1位、世界14か国のApple Musicダンスチャートでも1位を獲得しているという。「Face My Fears」リリースを記念して、世界各国での盛り上がりを可視化したスペシャルサイトも開設されている。こちらでは、世界各国で「Face My Fears」がSpotifyでどれほど再生されたか、そしてApple Musicダンスチャートで何位にランクインしているかがひと目で確認できる。
「Face My Fears」は、『キングダム ハーツIII』のオープニングテーマ曲。宇多田ヒカル氏とエレクトロミュージシャンSkrillex氏のコラボレーションにより作られた新曲だ。ジャスティン・ビーバー氏の「What Do You Mean?」の楽曲制作に参加したPoo Bear氏も監修している。実はSkrillex氏は子供の頃から『キングダムハーツ』の大ファンであり、 The Vergeのインタビューにて、Skrillex氏はその想いを語っている。
氏は『キングダムハーツ』のファンであり、いつか同作のテーマソングを作りたいと思っていたという。子供の頃から『キングダムハーツ』と宇多田ヒカル氏の“絶対的なファン”であり、夢がかなったとも語っている。アクションとRPGが完璧にブレンドされているところが、気に入っているようだ。コラボレーションのきっかけとなったのは、2013年にドイツで開催されたメタルフェス。アーティストラウンジで肩を叩かれた氏は振り向くと、とある女性から「ねえ、あなたがSkrillexでしょ」と声をかけられたという。その女性がまさしく宇多田ヒカル氏であり、ふたりの親交が始まったというわけだ。
そして2年前に、新たな『キングダムハーツ』のために曲を作っているという宇多田氏から、のちの『キングダムハーツ III』のエンディングテーマとなる「誓い（Don’t Think Twice）」のリミックスを電話で依頼されたという。依頼を快諾したSkrillex氏であったが、その気合とは裏腹にリミックスは難航したようだ。氏は曲を気に入っていたが、音楽ソフトウェアに曲を入れてリミックスに取り組もうとしても、どう加工すればいいか思い浮かばなかったのだという。つまり、「誓い」の原曲が気に入っていたゆえに、手を加えるのがとても難しかったようだ。
しかし事態は急転を迎える。昨年の夏にロンドンにてPoo Bear氏と共に働いていたSkrillex氏は、たまたま街で宇多田氏と出会った。そこでSkrillex氏は、ゲームのために新しい曲を作るのはどうかと宇多田氏に提案。すぐにスタジオに行き、ピアノコードを作り、1時間曲を書いた。Skrillex氏は楽しんで曲を作り、古いゲームのトレイラーにあてるなどし、そうしてできあがったのが「Face My Fears」であったようだ。Skrillex氏は、自身がシリーズのファンだからこそ、『キングダムハーツ』のために曲を作ることに敏感であり、なんとしてもこのシリーズにふさわしい楽曲を作りたかったと吐露しており、できあがったものに満足していると充実感を漂わせている。
※ちなみに「KINGDOM HEARTS」のYouTubeチャンネルのトレイラーでもっとも人気があるのは、「トイ・ストーリー」の世界を紹介するトレイラー。久しぶりに『キングダムハーツ III』の続報が出たことも関係していると思われるが、「トイ・ストーリー」人気強し。
「Face My Fears」のヒットは、楽曲の魅力は当然のこと、『キングダムハーツ III』の人気に相乗したものであるという点に疑いはないだろう。YouTubeで公開された同作のトレイラーの英語版はいずれも100万回超え。「Face My Fears」を使用したトレイラーは、アメリカYouTubeの急上昇ランキング1位を獲得し、再生回数も550万を超えた（関連記事）。ディズニー人気だけでなく『キングダムハーツ』フランチャイズの強さ、そして「Face My Fears」の魅力が今回の快挙を導いたと言えそうだ。
ちなみにSkrillex氏は、まだスクウェア・エニックスからゲームが送られてこない関係で、『キングダムハーツ III』をプレイしていないという。同社からゲームを送られてくる日を、普通のファンとして楽しみにしていると語った。
