新作RPG『エターナルアニマ』は、「JRPG歴40年ベテランクリエイター」の集大成だった。「ランダム要素排除」を盛り込んだ、JRPGファンへのチャレンジラブレター

本作のバトルシステムとストーリーの狙い、そして牧野圭祐氏、野島一成氏、崎元仁氏といった豪華クリエイターが参加するに至った経緯までを伺っている。

マーベラスはNintendo Switch 2/PS5/Xbox Series X|S/PC(Steam)向け新作RPG『ETERNAL ANIMA(エターナルアニマ)』を2027年3月4日に発売予定だ。価格は通常版がパッケージ版・ダウンロード版ともに税込7678円、デジタルデラックスエディションが税込8778円となる。

本作は2023年に「PROJECT LIFE is RPG」の名で発表され(プレスリリース)、約3年ほどの沈黙を経て発表された「時代をつなぐ“継承”のJRPG」である。プレイヤーは物体に宿る記憶を読み取る異能「読思術(どくしじゅつ)」を持つ主人公「ウェイド」となり、現代と過去を行き来しながら、隠された歴史の真実や「受け継がれる叡智」「受け継ぐことの意味」と向き合っていく。

ターンごとに敵の行動と結果が常に予測表示される「未来予測バトル」、舞台となる世界の各地に残された持ち主の思いや記憶を読み取って新しい「ジョブ」や「スキル」を獲得する「叡智継承」といったシステムが特徴。過去での行いが現代に何らかの影響を及ぼす、歴史(過去)改変をテーマにした趣向を凝らしたストーリーもそのひとつだ。

今回、弊誌では先行プレイと並行して本作の制作チームへのメールインタビューの機会を得られた。約3年前に発表された「PROJECT LIFE is RPG」の始まりとそこから本作に至るまでの変遷、本作のバトルシステムとストーリーの狙い、そして牧野圭祐氏、野島一成氏、崎元仁氏といった豪華クリエイターが参加するに至った経緯までを伺っている。回答者は以下の2名になる。

株式会社マーベラス 開発ディレクター 樋口勝久氏

株式会社マーベラス プロデューサー 塩田誠氏

──本作は2023年に「PROJECT LIFE is RPG」として発表されたタイトルとお聞きしましたが、そもそもなぜ、完全新作のターン制RPGを作ろうと考えられたのでしょうか。

塩田誠氏(以下、塩田氏):

今から5年以上前のことになりますが、JRPGを作りたくて私が書いた企画書に樋口が賛同してくれたのがはじまりです。とにかくJRPG、特に伝統的なスタイルのJRPGへの強い思いがありました。

「PROJECT LIFE is RPG」として発表した時から現在に至るまで、ゲーム全体の見た目とバトルシステムの一部の要素は大きく変わることになりました。ただ、「ふかん視点」でドラマチックなストーリーが展開することと、「ターン制コマンドバトル」であることについては、当時から一貫して変えていない部分となっています。

──2023年発売の『フレデリカ』に引き続き、ディレクターは樋口勝久さんが務められておりますが、制作チームは『フレデリカ』から継続参加されているメンバーが多いのでしょうか。また、ストーリー原案に牧野圭祐さん、シナリオに野島一成さん、キャラクターデザインにMax Berthelotさん、音楽にベイシスケイプさん(崎元仁さん)といった著名なクリエイターの方々が参加されていますが、それぞれの方々を起用するに至った経緯についてもお聞きできればと思います。

樋口勝久氏(以下、樋口氏):

私と塩田のコンビは変わらず、一部のチームメンバーも『フレデリカ』から続投しています。『エターナルアニマ』はゲーム全体の規模が大きめということもありまして、『フレデリカ』のチームに多くのメンバーが加わったかたちの布陣になっています。

野島さんと崎元さんは、私自身のスクウェア(現スクウェア・エニックス)時代のつながりもあってお願いしたかたちです。牧野さんやMaxさんはこれまでのタイトル実績から『エターナルアニマ』にぜひ参加して欲しいと思い、お声がけしました。本当に才能あふれる方々で、いつも刺激をもらいながら仕事ができました。

──初お披露目と現在公開されている情報のなかで特に印象的なのが、バトルを始めとするシステム周りを強くアピールされていた点です。本作のRPGとしてのセールスポイントはそこになるのでしょうか。

樋口氏:

個人的にJRPGの面白さの7、8割はバトルで決まると思っています。もともと私はバトルプログラマなので、ゲームシステムは特にこだわった部分でもあります。もちろんストーリーや音楽にも注目してもらいたいと思っています。

──マーベラスさんが過去に出されたターン制RPGと言われて思い起こされるのが『アークライズファンタジア』(2009年 Wii)で、あちらはキャラクターやストーリーを中心にアピールしていたように記憶しています。今回、システム周りをアピールされているのはその対比を狙っていたりするのでしょうか。奇しくも、主人公の声優さんも『アークライズファンタジア』の主人公ラルクを演じられた中村悠一さんですが。

塩田氏:

『アークライズファンタジア』と対比する意図は全くありませんでしたが、十数年の時をまたいで中村悠一さんに主人公を演じていただくことにはご縁を感じております。

『エターナルアニマ』の主人公・ウェイドは大人の余裕が漂うキャラクターなので、『アークライズファンタジア』の主人公・ラルクとは違った魅力をお楽しみいただけると思います。

──本作の主人公「ウェイド」は、いわゆるJRPGの主人公としては比較的珍しい大人の風格を漂わせるキャラクターとなっています。このキャラクター像はどのように決められていったのでしょうか。また、制作チームの皆さまにとってのお気に入り、もしくは注目のキャラクターがいましたら教えていただければと思います。

塩田氏:

少年が主人公の冒険譚も好きなのですが、今回の主人公であるウェイドは先祖の思いを受け継ぐ仲間を見守る立場でもあるので、「継承とは何か」を理解できる年齢にしたいと考えました。

好きなキャラクターはメンバー個々で違うと思いますが、ネリアは多くのプレイヤーに好きになってほしいキャラクターのひとりですね。

──ストーリーはタイムトラベルと過去の改変が題材ということで、マップ構造の変化であったり、自らの行いが未来によい結果を与えるという展開に期待しているプレイヤーがそれなりにいるかと思われます。今回の試遊では、あまりその辺りは見られませんでしたが、本編にはどれぐらいその種の要素が組み込まれているのでしょうか。

樋口氏:

過去の時代にあったものが現代で変化していたり、変化していなかったり、無くなっていたりもします。ただ本作は、どちらかと言えば人間にスポットを当てているので、思いが受け継がれながら歴史を重ねていることを表現したいと思っています。

──試遊では「Chapter」の表記が見られましたが、基本的にストーリーに沿ってイベントやマップの探索を進めていく形になるのでしょうか。ストーリーには一切関係しない、自由に訪問できるタイプのダンジョンはありますか。

樋口氏:

基本的にはストーリーに沿って旅することになります。それぞれの大陸の過去から現代へ一方向で巡るので、タイムパラドックスによる矛盾が起きづらいようになっています。いつでもどこへでも行ける自由よりは、サブストーリーなど寄り道する自由を持たせています。

また、行っても行かなくても良いダンジョンは結構あります。行くと良いことがあったり、人の役に立てたりといったメリットがありますので、取り組むかどうかはプレイヤー次第です。

──ジョブやスキル獲得に関連する「叡智継承」は、試遊ではストーリー進行に応じて手に入るタイプがほとんどでしたが、逆に前述のストーリー無関係のダンジョンのように、自由探索を通して手に入るものもあるのでしょうか。また「叡智継承」の際、その前の持ち主である英雄のストーリーがノベルゲーム風に表現される仕掛けがありましたが……?

樋口氏:

「叡智継承」ではジョブやスキルなどが手に入りますが、メインストーリーだけですべてを揃えることはできません。もちろん、すべてを揃えなくてもクリアは可能です。数は伏せますが、増えるたびにバトルの戦術に幅が出ると思います。

ジョブを受け継ぐ際のノベル風の演出は、かつての英雄の生き様を知ることができるというものになります。ゲーム的にはジョブとしての扱いになりますけど、そうした技術や誇りは過去の誰かの思いが受け継がれた結果であることを一連の演出を通して、少しでも感じてもらえたらうれしいです。

──「叡智継承」で得られたジョブはウェイドに2種類セットして戦略を拡張できますが、この2種類のジョブをセットし、戦略の幅を広げるというアイディアはどういった経緯から生まれたのでしょうか。また、なぜ2種類なのでしょうか。

樋口氏:

バトルでは、スキルの発動速度と敵の弱点を突くことが重要になります。つまり、さまざまなスキルを使い分けられるほど有利になるわけですが、主人公としての全能感とゲームバランスを両立させた結果、2種類となりました。

──バトルは行動後に起きる出来事が可視化され、必ずその通りの結果を迎えるというランダム性をほとんど取り除いた設計を最大の特色となっていますが、このバトルシステムがどういった発想から考案され、現在の形へとなっていったかの経緯についてをお聞きしたく思います。

樋口氏:

親しみやすいターン制コマンドバトルに何か強い味付けをしたいと思ったときに、ストーリーに「過去改変」を取り入れるなら、バトルには「未来改変」はどうかとなり考えたものです。どちらも主人公の特殊能力「読思術」によるもので、ストーリーとゲームシステムの両方に結びついているのが、本作の「未来予測バトル」の特徴となります。

──バトルで興味深かったのが相手の行動を完全に阻止できる「ブレイク」です。ディレイに次ぐディレイを受け、タイムラインから脱落してしまうから行動不能、という見た目の説得力も印象かつ面白かったのですが、このブレイク自体はどういった発想から考えられ、実装されたのでしょうか。

樋口氏:

「未来予測バトル」では、次のターンで受けるダメージ量が可視化される中で最善の行動を選ぶわけですが、当然ながらダメージをゼロにする行動が理想です。これを実現するための最大の防御策として考えたのが「ブレイク」です。

本作をプレイするとすぐに気づかれると思いますが、本作のバトルは「いかに大ダメージを与えるか」より「いかにダメージを受けずにいられるか」を考える、あまり見かけないタイプのバトルだと思います。

──バトルではランダム性が除去されているという特徴もあります。ランダム性にはバトル中におけるある種のドラマと緊張感を生み出すメリットもあると考えているのですが、それを取り除いたことには何かしらの考えがあるのではないのかと感じております。実際にRPGのバトルにおけるランダム性についてはどういった考えをお持ちですか。

樋口氏:

プレイヤーに「自分の思考によって戦っていると実感してもらう」ことが狙いです。ランダム性を排除したことで、ラッキーで勝つとか、アンラッキーで負けることが無く、自身の選択の結果として納得感があると思います。ゲームにおけるランダム性は面白みでもありますが、本作ではランダム性のない面白さを体験してもらえたらと思います。

──すべての結果が可視化される仕組みや、ウェイド特有のジョブ装備による戦闘スタイルの切り替えを見ていると、システム自体の設計や全体的なバランスの調整にも相当手間がかかっていそうなイメージを抱きました。実際にシステムを組み、調整を重ねていく中で大変だったこと、面白かったことなどのエピソードがありましたらお聞きできればと思います。

樋口氏:

開発序盤はウェイド以外のキャラクターも複数のジョブを持たせられるようにしていたのですが、スキルの選択によって戦略性が生まれる「未来予測バトル」ではかえって単調になることがわかり、現在のかたちに落ち着きました。

仲間の特性をある程度固定したことで、ウェイドのジョブ切り替えがアクセントとしてより際立つようになると同時に、プレイヤーが戦術を考えやすくなりました。とはいえ、各キャラクターのスキルの組み合わせをピーキーにセットして、ぶっ壊れた性能で戦うといったプレイもできるようになっています。

──試遊の印象では、雑魚敵は多少の力押しが許されるのに対し、ボスは戦略をしっかり練る必要があるという難易度の違いが明確に現されているように思いました。標準難易度基準では、雑魚敵はホドホド、ボスはガッツリみたいなコンセプトなのでしょうか。また、バトルの難易度は変更可能とのことですが、用意されている種類と、個々の特徴について詳しくお聞きできればと思います。

樋口氏:

標準難易度では、ザコ戦はさほど考えなくても倒せますが、ボス戦はしっかり戦術を考えないと勝てないようにバランス調整しています。また、各キャラクターのスキルの組み合わせは自由なので、プレイヤーごとに戦術は変わると思います。

また、本作では複数の難易度を用意しています。標準難易度のほか、詰将棋のような熟考必須の高難度もありますが、ストーリーを楽しみたいひと向けのモードも用意してあるのでご安心ください。ボリュームについても現時点では開発中のため、具体的なプレイ時間は差し控えますが、メインストーリー自体はそこまで長大なものではないものの、ゲームとしてはやりごたえのあるボリューム感だと思います。

──ストーリーのテーマなどから、本作にはどことなく1990年代のJRPGをリアルタイムで楽しんでいた大人のユーザーの方々をターゲットにしている印象を抱きましたが、実際の本作のターゲット層はどういった方々を想定しているのでしょうか。

塩田氏:

おっしゃる通り、80年代後半から90年代のJRPGへのリスペクトを込めて作っています。決して派手ではなくても、じっくり腰を据えてバトルやキャラクターの育成を楽しみたい、想像の余白を味わいたい、そんなひとたちに「こういうのも良いよね」と言ってもらえたらうれしいです。

──近年、ストーリー性のあるターン制RPGは「JRPG」の名で再評価が進むと同時に、同ワードもポジティブに捉えられるものへと変化しているように感じております。制作チームの皆さんから見て、現在のJRPGの再評価にはどんな思いを抱かれていますか。また、そんな中で本作を作るに当たって意識したことについてもお伺いできればと思います。

塩田氏:

私や樋口を含め、JRPGが好きなひとは変わらずコントローラを持ち続けています。本作が描くテーマは「継承」ですが、JRPGというジャンルも同じだと思います。

樋口は40年間にわたってJRPGを作り続けていて、彼が作ったJRPGがあったから私はJRPGファンになりました。昨今JRPGが再評価されているのは、先達の方々あってのものなので頭が下がる思いです。本作を作るにあたっては、自分たちなりに「JRPGとして変えてはいけないもの」を意識しました。

──本作は完全新規のターン制RPGということで、このジャンルが好きなプレイヤーの注目も高いかと思われます。そんな本作に注目いただいているRPG好きのプレイヤーの皆さんに向けてのメッセージをいただければと思います。

塩田氏:

先日にタイトルを発表してから、同志とも言えるJRPGファンの皆様よりたくさんのお声がけをいただき、本当に心強く感じています。完全新作ということでドキドキとワクワクが入り混じっていますが、ぜひ皆様と一緒に船出の瞬間を楽しめたらと思っています。応援のほど、どうぞよろしくお願いします。

樋口氏:

JRPG一筋40年。完全新作ながら私の集大成でもあります。『エターナルアニマ』にご期待ください。

──ありがとうございました。

『ETERNAL ANIMA(エターナルアニマ)』は、Nintendo Switch 2/PS5/Xbox Series X|S/PC(Steam)向けに2027年3月4日発売予定だ。

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2D&3Dアクションと手ごわいストラテジーが大好物の人。積みゲーが一向に減っていかない呪いに悩まされています。

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