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フリュー新作TPS『アノマリス』開発者インタビュー。『バイオハザード』や『タルコフ』を勉強しつつフリュー式に、体験版意見も取り入れてPCでの操作も強化
『アノマリス/ANOMALITH』のプロデューサーである城所凱(きどころがい)氏にインタビューを実施。フリューにとって初となるTPSに挑戦した理由やアニメ調のアートスタイルにこだわった理由などを訊いた。

『アノマリス/ANOMALITH』は、昭和の時代が続いている架空の日本を舞台にしたサバイバルTPSだ。昭和レトロの世界観でアニメ調のグラフィックのTPSは珍しいものの、フリューのゲームとして手触りが不安というユーザーが一定数いる。そうしたユーザーからの声に公式Xアカウントで真摯に向き合っていることを発言し、『アノマリス』体験版のフィードバックを反映して製品版への準備を進めているところだ。
そんな『アノマリス』のプロデューサーである城所凱(きどころがい)氏に、弊誌はインタビューを行った。フリューにとって初となるTPSに挑戦した理由やアニメ調のアートスタイルにこだわった理由などを訊いたので、本稿で紹介したい。

フリューファンが求めるストーリーや世界観を大切にしたTPS
――自己紹介をお願いいたします。
城所凱氏(以下、城所氏):
フリューの城所凱(きどころがい)と申します。『アノマリス』ではプロデューサーを務めております。
――『アノマリス』はフリューにとって初のシューターとなりますが、TPSというジャンルに挑戦しようと思ったきっかけはなんでしょうか。
城所氏:
私やディレクターといった開発メンバーを含めて、シューティングゲーム好きがたまたま集まったことにより、TPSを作りたいと思ったのがきっかけです。自分たちの好きなゲームジャンルでないと、開発終盤の追い込みの時期に踏ん張ることが難しくなってしまうと思っています。最後の最後は「好きだから」で押し通る感情論を大事にしています。
私はTPSは好きですが、ターン制のコマンドRPGを遊ぶタイプではありません。むしろ、アクションを好んでプレイします。私やディレクターの好みを合わせっていき生まれたのが、『アノマリス』です。会社から、○○なゲームを作ってほしいと言われたというより、自分達が作りたい、そしてそこには需要があると信じて企画しました。
――TPSの制作における課題はなんでしたか。どのような困難があって、それを乗り越えていったエピソードを教えてください。
城所氏:
TPSを開発するに際しては、バランスを取ることが一番難しかったです。TPSに限らず、シューティングゲームが好きなユーザーは『Call of Duty』シリーズや『Escape from Tarkov』など多くの名作たちに慣れ親しんでいる方も多いはずですが、それらのゲームの要素をそのまま持ってきてしまうと、『アノマリス』がハードコアなゲームになってしまいます。
フリューのゲームは魅力的なキャラクターとストーリー、音楽があったうえで、世界観を楽しむというのが大前提としてあります。新作の『アノマリス』をTPSにしたからといって、コアなゲーマー向けに難易度を上げて過ぎてしまうと、フリューのゲームで大切している部分を本来届けたいユーザーに届けられなくなってしまい、本末転倒になってしまうと考えています。
私たち開発チームはTPSとして面白くはありつつも、『アノマリス』のストーリーや世界観も十分に楽しめるバランス感を見失わないようにしていこうと終始気をつけていました。
――『アノマリス』を開発するに際して、どのようなタイトルを参考にしましたか。
城所氏:
『アノマリス』と基本のシステムでもっとも近いタイトルとして、『バイオハザード』シリーズを参考にしました。また、物資を回収して、それを拠点に持って帰るというゲームプレイのサイクルについては『Escape from Tarkov』を参考にしています。


アニメ調のアートとリミナルスペースをもとに独特な世界観に
――シューターのゲームといえばリアルなグラフィックのタイトルが多いなかで、なぜ『アノマリス』はアニメ調のアートスタイルにこだわったのでしょうか。
城所氏:
あまり夢のない話ではありますが、フリューの新作ゲームがリアル調のグラフィックだと日本市場での売れ行きが厳しくなってしまうと考えました。アニメ調のかわいい女の子のキャラクターが戦っていくゲームの方がこれまでのフリューのタイトルの土壌があって売りやすいですし、やっぱりそこを一番求められているんだろうなと感じています。
なんてそれっぽいことを言っていますが、アニメ調のかわいい女の子が銃を持って戦う絵面が好きっていうのが最大の理由ですね(笑)
もちろん『バイオハザード』シリーズに登場するレオンやクリスのようなカッコよくて筋骨隆々のキャラクターたちも私は大好きです。
それでも『アノマリス』の世界で恐怖感だったり、命の儚さをプレイヤーに感じ取ってもらえるようにするには、アニメ調の華奢な女の子の方がキャラクターとして適していると考えました。
――城所さん自身の好みとしては、どのような女の子が好きですか。
城所氏:
見た目だけですと、強くてカッコいいお姉さんキャラクターが好きですね。ただ、見た目だけに心を惹きつけられることはあまりなくて、その人の生き様に魅せられて好きになることが多いです。困難にぶつかったとしても諦めることなく前へ進むようなキャラクターが登場すると、グッときますね。
『アノマリス』のキャラクターたちは善人ではあるんですけど、非情で冷たい人間のように感じる瞬間も沢山あります。目的のためには手段を選ばず、ときには残酷な判断を下すことも厭わない、覚悟の決まったキャラクターが多いですね。そういうところが私は好きです。
登場人物全員にそれだけの行いをする理由があって、共感できるかは人それぞれだと思いますが、そこも一緒に楽しんでくれると嬉しいです。
――『アノマリス』のシナリオ担当である田中ロミオさんと一緒にお仕事をするようになった経緯や、シナリオ執筆にあたってどのような指示を出したのかを教えていただけないでしょうか。
城所氏:
田中ロミオさんにシナリオをお願いしたいと思いましたが、当時の私は連絡先を知らなかったので、社内外色々頼りながら、ロミオさんにお繋ぎいただきました。私とディレクターからロミオさんにバックルームズやSCPにインスピレーションを受けた世界観でゲームを作りたいという企画の説明をして、そのための世界観や設定を練ってもらったという感じです。
――城所さんが、田中ロミオさんと一緒に仕事をしたいと思った理由はなんですか。
城所氏:
私が田中ロミオさんの脚本が好きだからです。フリューがライターさんに頼むときって、プロデューサーないしディレクターがそのライターが「好きだから」というのがもっとも大きな理由になると思います。それは、ずっと変わらないのかなと思います。
――リミナルスペースと昭和時代のレトロな感じが混ざっている印象ですけど、『アノマリス』はどうしてリミナルスペースをインスピレーションの源としたのでしょうか。
城所氏:
いくつか理由はあるんですけど、『アノマリス』はよくあるホラーっぽい感じの世界観にしてしまうと、結構埋もれていってしまうんじゃないかと危惧していました。
『バイオハザード』のようなホラーゲームのビッグタイトルと正面から戦うのではなくて、ちょっと違うアプローチをしてみようと。元々「バックルームズ」を始めとしたリミナルスペースというコンテンツが好きだったのもあり、日本の昭和時代のレトロな雰囲気を基盤にリミナルスペースを合わせた世界観にしました。

海外からのフォロワー増で知る昭和レトロの普遍性
――『アノマリス』は海外のユーザーから数多くのSteamのウィッシュリストの登録を受けており、公式Xアカウントのフォロワーの大半が日本国外のユーザーであることも発表されていました。なぜ、『アノマリス』が海外のユーザーにこれほど刺さったと思いますか。
城所氏:
それはむしろ、私が知りたいくらいです(笑)アニメ調の少女のゲームは、特に北米ではそんなに受け入れられないだろうと思っていました。当初は国内市場やアジア市場をメインに考えていたので、そちらにはなんとなく伝わるかなと考えていました。北米をはじめ、ほかの海外地域でもここまで数多くのユーザーに刺さった理由は正直わかりません。
とはいえ、北米で注目が高い理由を強いてあげるのであれば、タイミングがよかったのかもしれません。「バックルームズ」が映画化したことで、海外もちょうど盛り上がっている時期でもありましたし。TPSというジャンルがちょっと違った切り口から入ってきたということもあって、みなさんに注目していただけたのかなと。そのように私は勝手に思っています。
――世界中からの予想外な反響を見て、新たな発見はありましたか。
城所氏:
昭和時代のレトロの雰囲気が日本だけでなく、海外の方にも刺さるんだなというのは新たな発見でした。日本っぽくないと言われたり、昭和レトロはよくわからないただ古臭いものと思われたらどうしようかなといった不安はありましたが、結構ちゃんと興味を持ってもらえたことは素直に嬉しかったです。
――『アノマリス』の体験版は、好評につき配信期間を延長することが発表されました(関連記事)。体験版についての反響はいかがでしたか。
城所氏:
Steamで一般ユーザー向けに公開した体験版は、ポジティブな意見が多かったですね。純粋におもしろかったという意見もありましたし、『アノマリス』の世界観やシナリオに期待できるという声もありました。
その一方で、PC版のTPSをプレイするタイトルとしては操作周りについてのネガティブなご意見も沢山いただきました。開発現場はコントローラーでプレイすることが多かったのですが、キーボード&マウスにおけるゲームプレイの操作性が少し蔑ろになってしまっていたと反省しています。PCユーザーの生の声を反映して、アップデートした体験版はキーボード&マウスでもかなりプレイしやすくなりました。意見をくれた皆さん本当にありがとうごいます。

――ゲームの難易度についてですが、TPS初心者に親しみやすい難易度になっていると考えていますか。
城所氏:
ノーマルの難易度でも、初めてTPSに挑戦する人でもプレイしやすくなっています。とくにコントローラーでプレイする場合は、エイムアシストをオンにすることで、照準がかなり吸い付くようになっています。エイムが苦手な初心者だったとしても、わりと簡単に敵に攻撃を当てることができます。ですので、TPS初心者でも『アノマリス』の世界観に浸りながらゲームを進めていける難易度になっていると思いますね。
さらに、どうしても苦手な方むけに、ストーリーモードという難易度も用意しています。
ゲーム性は弱まってしまいますが、シナリオや楽曲など世界観に集中することができます。
――初心者向けのアシストとは逆に、コアゲーマーに向けてのやりこみ要素はどのようなものがあるのでしょうか。
城所氏:
難易度をハードかサバイバルに上げてもらえれば、かなり手応えがあるゲームプレイを楽しめると思います。私たち開発チームは「ラッシュ」と呼んでいるんですけど、このゲームにはランダムでマップの一部を閉じられて、閉鎖空間で大量の敵に襲われることがあります。プレイヤースキルがないと、ラッシュに遭遇したらパニックに陥ってしまうと思います。前後左右から敵がどんどん湧いてくるので、うまく対処しながら戦っていくというのはかなり緊張感があります。特にサバイバルモードは一撃でゲームオーバーになるため、小さなミスもゆるされません。初回プレイ時はあまりオススメしませんが、ぜひ挑戦してみてください。
――読者へのメッセージをお願いいたします。
城所氏:
『FURYU GAMES』公式Discordサーバー内にあるアノマリスのチャンネルにて、私が勝手にリミナルスペースっぽい写真をみんなに投稿してもらう部屋を作りました。日常生活で「なんとなく不思議」「どこか懐かしい」「少し不気味」といった感じの写真を、私もたまに投稿しています。
基本的に写真を投稿するだけの部屋なので、国内外のリミナルスペースっぽいものが集まっていくのが楽しいですよ。
――ありがとうございました。
『アノマリス/ANOMALITH』は、PS5/Nintendo Switch 2/PC(Steam)向けに10月29日に発売予定。
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