『龍が如く8外伝』は過去作未プレイでも楽しめるはずだから遊んでほしい!真島吾朗への熱い想いをつづった入門書
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セガは2月21日に、『龍が如く』シリーズ最新作『龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii』(以下、8外伝)を発売する。対応プラットフォームは、PC(Steam/Microsoft Store)/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One。
本作は、『龍が如く8』の後の世界を描くシリーズ最新作だ。シリーズ屈指の人気キャラクターである真島吾朗の初となる単独主演作品でもある。とある事故により、記憶喪失となった真島はハワイの島に漂着し、ゴロー海賊団を率いて自慢の船「ゴロー丸」で大海原を冒険する。船同士の本格的な海戦やド派手な爽快戦闘など、多彩なアクションが楽しめる。
なお『8外伝』は、過去作未経験でも楽しめる旨が開発陣からも伝えられている(関連記事)。しかしそれでも、多数のナンバリング作品や数多のスピンオフ、リメイクなどを擁する本シリーズについて「今から始めるのはちょっと……」「途中まで遊んだんだけど……」と尻込みする方もいるのではないだろうか。
初の真島吾朗単独主演作品をぜひ全世界の約81億人に遊んでほしい筆者としては、やるせない思いがある。そこで本稿では、真島吾朗という男がいかにかっこよくて面白いか、『8外伝』で皆さんをいかに楽しませてくれるか、ゲームメディア編集者として真島吾朗を見つめ続けてきた、いちファンとして誠心誠意お伝えする。
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そもそも真島吾朗ってどんな人?
真島吾朗は2005年リリースの初代『龍が如く』から登場する、シリーズ常連キャラクターだ。もともとは主人公である桐生一馬の宿敵的存在として登場。「嶋野の狂犬」の異名をもち、東城会直系組織・真島組を束ねる武闘派の極道。立場上、桐生の目上の存在でありながら、桐生の強さや気質に惹かれ、執拗に桐生を追い回すのだ。ハイトーンかつハイテンションな「桐生チャ~ン!!」との呼びかけは、プレイしていない人でも耳にしたことがあるのではないだろうか。
真島を何より特徴づけるのが、その奇特なルックスだろう。髪型は鋭く切り揃えられたいわゆるテクノカット。失った左目を眼帯で覆い、裸に蛇柄のジャケット、レザー製と思われる光沢のあるパンツを身にまとっている。
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戦う際には刃物(ドス)を駆使し、人間離れした動きで相手を追い詰める特徴的なバトルスタイルを用いる。とにかく一度出会ってしまったら忘れるのが難しい男、それが真島吾朗なのだ。なお、日本語版での声はシリーズ通じて宇垣秀成氏が担当しており、同氏の独特の演技も真島の魅力の軸となっている。
魅力その1・本当に人間かどうか疑わしくなるメチャクチャさ
真島吾朗の大きな魅力のひとつが、そのデタラメな生態である。たとえば、初代『龍が如く』では腹部にナイフで深い刺し傷を負い意識不明の重体に。しかし、意識を取り戻したその直後には、桐生のいる建物にダンプカーで突っ込み大暴れする有り様だった。
化け物じみた体力のほかに発想・実行力も常軌を逸している。リメイク版の『龍が如く 極』では、「どこでも真島」なるシステムが用意されており、あらゆる場所で真島が桐生を襲撃してくる。「ゴミ箱から」「マンホールの中から」「巨大カラーコーンの中から」「飲みに入った店のバーテンダーと入れ替わって」「キャバクラ嬢になって!?」「組員を総動員してゾンビパニックをでっち上げて」など、極度にクリエイティブな絡み方をしてくるのだ。どんな夢でも叶えられそうなこの行動力を、「桐生チャンと楽しく喧嘩する」という欲求のみに行使するところが素敵なのである。
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また、戦闘能力についても、通常の人間を遥かに凌駕している。「投げ上げたドスを蹴って敵に刺す」といった曲芸めいたテクニックは序の口。シリーズ登場を重ねるごとに「コマのようにスピンして敵を蹴散らす」といった技を披露。身のこなしを突き詰めた結果か、いよいよ「分身」するようになった。なお、『8外伝』での真島は分身を使いこなしているのはもちろん、攻撃中にほんのり滞空したり、呪神楽器を演奏して「呪神」まで召喚したりできる。単独で作品のリアリティラインを下げるほどのデタラメぶりなわけだ。
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魅力その2・人間として尊敬できる
ここまでの紹介では、真島吾朗は「とにかく手がつけられない冗談のような異常人物」といった印象だろう。実際にそういった側面はあるものの、真島は一本芯の通った男であり、そこも我ら真島ファンの心を掴むのである。
真島が今のパーソナリティとなった経緯が描かれたのが、初作『龍が如く』よりも前の時系列を描いた『龍が如く0 誓いの場所』(以下、龍が如く0)だ。同作で真島はダブル主人公のうちの一人として登場。盲目の女性・マキムラマコトを救うため、己の気持ちに正直に従い、マキムラマコトを殺せという上からの命令を裏切る。
また、西谷誉という自由奔放な極道に影響され、「己の望むがままに行動するのみ」という人生哲学と、奇抜な戦闘スタイルを受け継ぐことになる。同作の間にはさまざまな人々の死にも触れ、悲しみを心に宿しつつも「誰よりも楽しく、誰よりも狂った自分流の生き方」を貫くことを誓うのだ。
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また、真島の時折見せる真摯な行動からは、単なる無法ではなく、自分なりの倫理観・責任感をもって行動していることがわかる。たとえば、兄弟分である冴島大河への想いだ。二十歳の頃に、真島は冴島と二人で敵対組織を襲撃する命令を受けたものの、とある策謀により実行当日に真島は組から足止めを食らうことになる。この襲撃は、極道にとって絶対である「親父」に歯向かうことだとわかっていながらも、それでも冴島のもとに向かおうとした真島は左目を奪われただけでなく、一年間にわたる拷問を受けることとなったのだ。
そして、『龍が如く5 夢、叶えし者』においては、黒幕の野望を防ぐために死を装い潜伏するクレバーさを見せた。しかし、物語終盤にて、桐生が大切に守っている少女・遥を人質に取られると、救うための唯一の手段として黒幕から提示された、冴島と命がけで拳を交えるという苦渋の決断をした。ほかにも、「組織のために自分を一度は警察に売った男である、堂島大吾を理解し支え続ける」「仲間の有事にはなんだかんだ駆けつけて力を貸す」など、性根は情の深い男であることがわかる。
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なお、『龍が如く2』ではとある事情から、真島がすべての責任を持ってケジメとして真島組を一度解散し“カタギ”となっている。しかし、その直後には組員を引き連れたまま「真島建設」を設立している。これには事情があったものの、「子分たちを路頭に迷わせたくない」という親心もあったかもしれない。とはいえ、「不眠不休で働け」「ネットで調べてとっとと建設」など常識を無視した命令を下すところも真島らしい。なお、しばしばネットミームとして見られる「挨拶ができへん人間は 建設もできへんで!」の一幕は、この真島建設創設当時の様子である。
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魅力その3・とにかく見ていて飽きない
ここまで真島吾朗の内面を中心に迫ってきたが、やはりわかりやすい魅力はその破天荒っぷりだろう。派手な服・派手な表情・派手な動き・派手な行動など、とにかく真島の振る舞いは多彩かつ予想がつかない。サーカスが服を着て歩いているようなエンターテインメント性である。これは、開発陣がシリーズを通じて丁寧に「キレていて何をやってもおかしくない、けれどもどこか愛らしい」真島吾朗のキャラクター性を作り上げてきたからこそだろう。
本稿によって、真島の変幻自在かつ、芯の通った人間としての魅力が少しでも伝わったか不安である。というのも、真島はかなりの多面性をもつキャラクターだからだ。クレイジーでデタラメな敵役として「桐生チャ~ン!」と産声をあげ、シリーズ内で幾重にも重厚に肉付けされてクールな渋さを身に着け、なおかつ全力でおちゃらけてコスプレもこなすキュートさ。実際にイキイキと動いている真島吾朗を目撃しなければ、“真島吾朗特有の栄養素”の味はなかなか伝えきれないだろう。
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本稿は入門書であるものの、気づけば真島へのラブコールばかりを書き連ねていた。改めて、『8外伝』は開発陣から「本作から遊んでも楽しめる」と伝えられている。本作における真島は、記憶を失い漂着したところから踏み出していくことになる。『龍が如く』シリーズに触れたことがない、あるいは久しく触れていない人も、記憶喪失の真島と同様に頭を空っぽにし、二人三脚で新しい世界を楽しめるのではないだろうか。
クレイジーでクールでキュートな真島吾朗は、その持ち前のデタラメさで必ずあなたを楽しませ、真っ直ぐな人間性であなたの心を掴むはずだ。私も知らない、あなたにしか見つけられない真島の魅力もまだ眠っていることだろう。真島は、そういう男なのだ。だからこそ、誰もが一度は彼と触れ合ってみてほしいと願っている。
『龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii』は、PC(Steam/Microsoft Store)/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One向けに2月21日発売予定だ。
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