オープンワールド公道レース『CarX Street』は、和風の「生きている街」でレースだけでなく配達アルバイトも楽しめる。自由気ままなカーライフ
オープンワールドカーレースゲーム『CarX Street』の持ち味である、生きた街でドライブやレースについて紹介していく。

デベロッパーのCarX Technologiesは7月24日、カーレースゲーム『CarX Street』をPS5向けに配信した。本作はオープンワールド形式のレーシングゲームだ。対応プラットフォームはPS5/Xbox Series X|SおよびPC(Steam)/Android/iOSで、ソロプレイおよびクロスプラットフォームのオンラインマルチプレイに対応している。
本作は2022年にモバイル向けに配信された作品だ。その後2024年にSteam、今年6月にXbox Series X|S向けに配信され、今回ついにPS5向けに登場したかたちとなる。もともとモバイル向けだったという情報で尻込みするのはちょっと待ってほしい。そもそもモバイル向けのオープンワールドレースゲームはほぼないにもかかわらず、本作のモバイル版のグラフィックは現時点でも最高峰を誇っているのだ。

オープンワールドレースゲームの歴史は長く、『Need for Speed』、『Forza Horizon』、『Test Drive Unlimited』、『The Crew』などさまざまなシリーズが存在する。公式からもこれらの作品からの影響を受けていることが明かされており、本作では『Need for Speed』シリーズのようなスピード感とカジュアルさ、シミュレーション系のようなリアルな挙動のどちらも楽しめる。
しかし、多くのレースゲームがある中で本作の強みはなんだろうか。結論としては本作ならではの交通量設定により、生きた街でドライブやレースが楽しめることだろう。美麗で多彩なロケーションを走りながら一般車両の動きを読み、ハイスピードで車両の隙間を巧みに抜け、華麗なライン取りができると最高の爽快感が味わえる。また、レースせずに配達アルバイトでのんびりと過ごせることも本作の魅力となっていた。詳しく紹介していこう。
※本稿はメーカーより提供されたPS5版に準拠した内容となる。
和風ロケーションが豊富で密度の高い美麗オープンワールド
本作の舞台となるのは、架空の眠らない街「Sunset City (サンセットシティ)」。正体不明のStreetNETというアプリにより、レースや賞金が管理され、レーサーの楽園となっている。プレイヤーは新たにこの街を訪れたレーサーとなり、レースで大金を稼ぎ成り上がっていくことが目的となる。
まず驚くのは、元がモバイル向けとは信じられないほど美麗なグラフィックにより車両や街が描かれていることだ。オープンワールドには、メインとなる都市部のほか、都市を貫く高速道路、郊外から山に至る峠、遊園地のようなスピードウェイなどが高密度に配置されている。また、本作は和風のロケーションも豊富で、都市部には東京タワーのようなランドマークやお城、峠には日本の温泉街や「頭文字D」を彷彿とさせる豆腐屋も見つけることができ、遠くの雪山を背景に、桜や紅葉といったゲームならではの風景を存分に堪能できる。ちなみに、公式より特に言及されていないものの、PC版におけるDLCであったスピードウェイは最初から収録されているようだ。


さらに、広大なオープンワールドを走るうえで必須となるマップ機能が凄い。マップボタンを押すと現在の位置からシームレスに上空から街全体を見下ろすマップに切り替わるのだ。マップでは家や施設などへのファストトラベルのほか、レースなどにアクセスできるのはもちろん、拡大すればリアルタイムに一般車両が走行している。オープンワールド作品ではこのマップを標準化してほしいと思えるほど画期的なマップとなっていた。ちなみに本作はゲーム内時間で昼と夜が変化しており、時間変化はマップにも反映されている。


渋滞も発生する「生きている街」を自由気ままにカーライフ
本作では3台の車から1台を入手して、その後は自由にドライブやレースを楽しむことができる。とはいえ、舞台となるサンセットシティはあまりにも広大かつ、最初から参加できるレースも膨大。何をすればいいのか悩むかもしれないが、まずは風景を楽しむためのドライブをおすすめしたい。その際には設定項目で交通量を最大にしてほしい。そうすることで一度に百台以上の一般車両が走るようになり、交差点では渋滞が発生するなど「生きている街」を体験できるのだ。少なくとも筆者はこんなに交通量が多いレースゲームをプレイしたのは初めてである。
走っている一般車両は邪魔になると思えるかもしれないがそんなことはない。道路が広いので車が通れる程度の隙間は常にあり、一般車両が車線変更するときにはウィンカーも出してくれるのでハイスピードでもスイスイと避けて走るとができる。接触するほどぎりぎりで走ればニトロゲージも溜まっていくので爽快感もすさまじい。もちろん時にはぶつかってしまうこともあるので、どうしても邪魔に感じるのであれば交通量をオフにすることも可能だ。


このまま全エリアを探索するくらい気ままにドライブを楽しみたいところだが、お金の問題が立ちはだかる。本作ではガソリンとタイヤの摩耗システムがあり、走り続けるには有料で給油や交換が必要なのだ。また、ファストトラベルも距離に応じてお金を消費する。お金を稼ぐにはレースするのが一番なのだが今はドライブをしたい。本作にはそんな望みを叶えるアルバイトが用意されている。
アルバイトは車やパーツを10分以内に特定地点に運ぶというミッションだ。到着までにぶつかりすぎると耐久値が減ってミッション失敗となる。この配達アルバイト、特に車両の配達が楽しい。車両配達のミッションでは、レベルを上げないと購入できない高級車や独自の改造が施された車などを実際に運転可能。しかも決まったコースを走るレースと違い、特定地点までのルートはプレイヤーの自由。そして無事に届けることができれば報酬としてお金を貰える。同じドライブでも目的地がありつつ毎回違う車で走れるため、夢中でアルバイトばかりしてしまった。

また、本作ではオープンワールド上に収集アイテムも存在。特殊な見た目の車両が停車しており、アクセスすることでお金と一緒に部品を入手でき、複数集めることで車やカスタマイズパーツを獲得できる。収集アイテムは定期的にランダム配置され、配達アルバイト中でもアクセス可能。配達やドライブしながら収集要素も楽しめるわけだ。ちなみに、マップを拡大すれば収集アイテムの特殊車両を上空から探すこともできる。これらのアルバイトと収集をしているだけでも大量のお金を稼げるので、カーライフを存分に満喫できるのだ。


一般車も走る公道レースで成り上がれ
本作のメインコンテンツとなるレースについても紹介しよう。街には複数のレーシングクラブがあり、一つのクラブごとに15前後のレースを戦っていく。1位になればお金と経験値を、全てのレースを制覇すれば新たな車両を入手して、次のレーシングクラブに挑むといった流れだ。クラブごとにちょっとしたストーリーも用意されている。なお、車両はショップで購入することもできるが、経験値によるレベルでロックされてるほか、クラブごとに既定のクラスも設定されているのでそれに見合った範囲でカスタマイズする必要がある。
先にドライブをおすすめした理由として、本作のレースは結構難しく、最初は難易度イージーでも苦戦してしまったためだ。その理由として、ドリフト挙動がシミュレーター寄りであることが挙げられる。いわゆるパーティーレースゲームのようにアクセル全開でドリフトしようものなら制御不能となって大きくコースを外れてしまう。現実の車のように、カーブではブレーキしながら減速して曲がりつつ、様子を見てサイドブレーキを使ってドリフトして抜けるのが基本となる。多少テクニカルだが一度感覚を掴めればレースにも勝てるようになり、筆者は最初の車両を一度もカスタマイズせずに一つ目のクラブを制覇することができた。


2つ目のクラブでは車両を変えてカスタマイズしてみた。本作はカスタマイズ項目が膨大なので最初は分かりにくいかもしれないが、基本は各部位のパーツをより上位のものに付け替えれば性能が上がっていく。さらに、「アップグレード」という項目ではそれぞれの部位を細かくチューニングできるイメージだが、こちらは慣れるまで触らなくてもいいだろう。少なくとも序盤はドリフトが難しく感じたため、筆者はグリップ力を向上するパーツに付け替えてレースに挑んでみた。すると、難しく感じていたカーブの挙動がアクセルとブレーキの調整だけでも曲がれるようになり、難易度ノーマルにしても難なく勝利できるようになったのだ。ちなみに、難易度を上げるとイージー基準で勝利時の報酬が増えていく。
また、レース中も一般車両が走っているためこれらを利用することもできる。一般車両には申し訳なさを感じつつ、ライバル車を押して正面衝突させることで大幅に有利な状況を作り出せるのだ。さらに、本作ではスタックしたときのために、十字キー下を押すことで道路に戻る車両リセット機能がある。これはレース中も使えるため、前方を走るライバル車にカーブで敢えて突っ込み、事故を起こして車両リセットするという荒技も可能。手段を選ばずレーシングクラブを制覇して成り上がっていくのだ。

今後も追加される大量のコンテンツ
クラブレースのほか、本作では常時開催されている複数のレースがあり、参加することでリーダーボードに記録されて期限がくれば順位に応じて報酬が貰える。また、PlayStation Plusに加入してオンラインに接続していると、ソロプレイ中も野良でマッチングした十数人がオープンワールド上を走るようになる。他プレイヤーに当たり判定はないため、気楽に交流できるだろう。さらに、最大16人のカスタム部屋を作成する機能も用意されており、そこではレース内容を細かく設定してフレンドと競い合うことも可能だ。ちなみに、マルチプレイはクロスプラットフォームに対応している。
本作は今後もさまざまなアップデートが予定されている。現時点でも以下に示すようなコンテンツが追加予定となっているため、長きに渡って楽しめそうだ。
●ユーザー同士で競い合える新たなマルチプレイヤーモード
●ジムカーナ(時間制限あり・障害物ありのコース)
●高速道路でのストリートレーシングが楽しめるさまざまなコース
●クエストの達成に伴って進行する、充実したストーリーモード
●警察とのカーチェイス
レースやカスタマイズといった要素は従来の作品でも楽しめるだろう。しかし、渋滞が発生するほどの「生きた街」で、アルバイトなど自由気ままなカーライフを楽しめるのは本作ならではの体験であった。紹介できなかった美しい和風のロケーションも数多く存在しており、配達しながら景色を堪能するのも一興だ。本作の街の素晴らしさは実際に走ることでしか味わえないため、このサンセットシティに飛び込んでみてはいかがだろうか。
『CarX Street』はPS5/Xbox Series X|SおよびPC(Steam)/Android/iOS向けに配信中だ。ソロプレイおよびクロスプラットフォームのオンラインマルチプレイにも対応している。