「Steamオータムセール 2021」にておすすめしたいゲーム9選。2020年~2021年に発売された、新しめのインディーゲーム対象
現在Steamにて、オータムセールが開催中だ。2万本以上のゲームがセール対象となっている。セール期間は、日本時間で12月2日午前3時まで。こうしたSteam大型セール中には、弊誌AUTOMATONを含めさまざまなメディアがゲームをおすすめする企画を出している。それらのピックアップ作品は旧作が対象になることも多い。旧作はすでに漁り尽くし、最近のゲームの中から面白いゲームを遊びたい。そんなやりこみPCゲーマー向けのおすすめゲーム企画を考案した。具体的には、2020年もしくは2021年に発売(もしくは早期アクセス配信開始)されたゲームを対象としている。新しい作品であるので割引率がやや控えめなものの、オータムセールのゲーム探しに役立ててもらえれば幸いだ。
shapez.io
500円(1000円、50%オフ)(Steamストアリンク)
『shapez.io』はシンプルな工場自動化ゲームである。○や□などの図形をカットし、回転させ、組み合わせることで目的となる図形を生成し、システムに納品することで新たな生産設備を獲得していく。目標達成ごとに課題は複雑になっていくが、美しく効率化された工場を作ってもよし、スパゲティのごとく入り組んだラインを作ってもよし。最終的に完成品が納品先に届きさえすれば構わない。襲ってくる敵はおらず、設備製作や加工に素材は不要。元となる図形も、地面から無限に湧いてくる。
ここまでの説明で、本作は『Factorio』を元祖とする多くの工場自動化ゲームのなかのひとつで、ライン構築特化のカジュアルなゲームという印象を抱いた方も多いのではないだろうか。筆者もはじめはそうだったし、実際、敵の襲来や資源管理といった厄介な要素なしにライン構築を楽しみたいとき、本作はぴったりの作品と言えよう。しかし、『shapez.io』の魅力は自動化部分だけにとどまらない。シンプルな図形から指定された図形を作るのが本作最大の特徴だが、どの図形をどう切り貼りすれば目的の図形を作れるのか、試行錯誤する場面はパズルゲームに近い。課題によってはかなり歯ごたえがあり、首をグルグル傾けながら生産方法を考えてしまうことになる。ライン構築とパズルゲームが好きな方には、ぜひお手にとっていただきたい作品だ。
by. Aki Nogishi
The Citadel
988円(1520円、35%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク)
『The Citadel』は、『Doom』や『Marathon』といったオールドスクールFPSから影響を受けた、2.5DのシングルプレイFPSだ。殉教者と呼ばれるプレイヤーは七天使に召喚され、眠れる神に支配された兄弟姉妹たちを解放するべく、巨大要塞(シタデル)の最深部へと潜っていく。敵を倒すたびに内蔵や四肢が飛び散り、周囲に散乱するというゴア表現が特徴的な作品だ。
本作は90年代FPSのフォーマットを踏襲しつつ、現代のFPS要素を積極的に取り入れている。ADS射撃、リーン動作、ダブルジャンプ、スプリント、しゃがみ動作といったアクションはひと通り可能。さらには大型アップデートにより、落としたクリップとカートリッジから弾薬を回収、グレネードを投げ返す、スライディング、回し蹴り、ドロップキックといったこともできるようになった。難易度は敵の体力、攻撃の激しさ、聴力など細分化して調整できる仕様。ゴア表現、武器の耐久度、弾痕表示、移動時の弾の拡散、敵の体力バーやキルマーカーといった要素もオンオフを切り替えられる。
スプリントとダブルジャンプを用いて、軽快にマップを駆け回り無双するもよし。遮蔽物を確保して射線管理に気を遣いながら、シビアな撃ち合いをするもよし。プレイスタイルにあわせたゲームプレイを楽しみつつ、どことなく終末感のある世界観を堪能して欲しい。
by. 蒼唯レン(VTuber)
Death’s Door
1537円(2050円、25%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク)
『Death’s Door』は、見下ろし型視点のアクション・アドベンチャーゲームだ。主人公は、寿命が尽きた者のソウルを刈り取る仕事をしているカラス。毎日出勤し、召喚された扉から仕事に向かっていたが、ある日トラブルが発生し、手つかずの領域へと向かうこととなる。リーパーであるカラスは本来不死の存在だが、ソウルを持ち帰り扉を閉じるまでは歳をとり、やがて死んでしまう。一方で向かった領域には、天寿を超えて生きようともがく者たちがおり、本作は生と死を大きなテーマとしている。
扉の向こうには複数の異なる環境が広がっており、まずは各地のボスを目指して探索することになる。カラスは剣をメイン武器とし、ゲームを進めるなかで遠距離攻撃も獲得できる。マップ内にはさまざまな敵がおり、要所要所で中ボス的な強敵も出現。カラスの体力は少なく回復手段も限られているため、バトルではゴリ押しは危険。敵の予備動作を見極めて反撃する、プレイヤーのスキルが求められる。
本作は、クリアするだけなら比較的短い作品だが、巧みに隠されたアイテムを収集するなどの探索要素が充実している。また、道中で出会えるキャラクターたちはみな魅力的で、ユーモアも交えつつ展開するシリアスな物語は注目である。ゲームスタイル的には、特に『ゼルダの伝説』が好きな方なら気に入るはず。すでに大きな賞も受賞しており、今年を代表するインディーゲームのひとつといえるだろう。
by. Taijiro Yamanaka
Super Cable Boy
984円(1640円、40%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク)
『Super Cable Boy』は、ドット絵で描かれた2Dアクションゲームだ。主人公は、ケーブル状のしっぽが生えた携帯ゲーム機ケーブルボーイ。彼が住むデジタルな世界は、「グリッチ」と呼ばれる黒い存在に侵食されつつある。世界のすべての0と1が消費される前に、グリッチを倒すべくケーブルボーイの冒険が始まるのだ。
ケーブルボーイの得意技は、しっぽのケーブルを使ったワイヤーアクション。かぎ縄のようにケーブルを崖や天井にひっかけることで、高所にたどり着いたり、振り子状に動きをつけて大ジャンプしたりといった芸当が可能だ。また冒険を進めることで「カートリッジ」が手に入り、空中ダッシュや次元の切り替えといった能力を付け替えられるようになっていく。
グリッチは謎の存在であるが、ただ分かっているのは、触れると即死すること。そして、的確に人が嫌がる場所に存在すること。先述のアクションを利用すれば軽快にステージを進めそうであるが、グリッチが非常にイヤらしい場所に設置されているのである。どのステージも、「あとちょっとでクリアできそう」「でも、ギリギリ届かない」という絶妙な難易度設定になっている。キュートな見た目に反してシビアな難易度であるが、試行錯誤を繰り返すうち、「あともう1トライだけ……」が止まらなくなる中毒性があるのだ。チップチューンに身を委ねつつ、ほかほかのおにぎりを夜食に没頭してほしい。
by. Yuki Kurosawa
Lacuna
1066円(1640円、35%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク)
『Lacuna』は、太陽系全体を巻き込んだ戦争を防ぐため事件に立ち向かう、SFノワールアドベンチャーゲームである。人類がほかの惑星へと進出した未来の世界。惑星ガーラと植民惑星ドロビアの間では、緊張が高まりつつあった。独立を巡る論争や利権など、両惑星関には問題が山積みであったためだ。両惑星政府は、緊張を緩和するべく会談の実施を決定。しかし、会談のため惑星ドロビアからやってきた要人が、何者かに暗殺されてしまう。プレイヤーは、CDI捜査官のニール・コンラッドとして事件を捜査。暗殺事件の真相を追う内に、大きな陰謀にも巻き込まれていく。
主人公のニールは、捜査官として直接現場へ赴き、事件を捜査する。現場周辺の人物から目撃情報を聞き出したり、現場の状況を把握したりなどによって、事件の情報を収集。集めた情報を手がかりに、犯行現場の特定など推理を元に調査を進めていく。推理要素があるといっても、情報をしっかり集められれば、あとは情報を整理する程度。そのため本作は推理よりも、紫煙をくゆらせながら真相を追いかけていく、ハードでボイルドな雰囲気を重視した作品となっている。妻子と平和のどちらを取るかなど、人生の苦味を煙と共に吐き出したいなんて気分の時には、本作を遊んでみてほしい。
by. Keiichi Yokoyama
ナユの冒険
217円(310円、30%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク)
『ナユの冒険』は、かわいいがたっぷり詰まったクリッカー作品である。主人公のナユは、どこかあたたかな世界にいる狐の少女だ。ある日、ナユが住む平和な島では「ドキドキ冒険ツアー」が開催されようとしていた。“いつもとちょっと違う「新しい」を見つけませんか”、ナユはそんなチラシに誘われて冒険へ出発。ハラペコグマとの戦いやいちご山大洞穴の探検、島の住民たちとの出会いなど、道に迷いながらもやさしい小さな大冒険を繰り広げる。
本作はクリッカーであるため、画面をクリックしているだけでかわいい戦いと物語が展開されていく。ゆっくりクリックしても大丈夫な作りになっており、ストーリーのプレイ時間は30分ほど。ナユたちのグラフィックはもちろん、UIやBGMまでかわいらしく仕上げられている。つまり本作は、純度100%のかわいいで構成されているわけだ。反面、本作には強敵との戦いや激しく心を揺さぶるなどは用意されておらず、かわいいが摂取しやすくなっている。ちょっと疲れてしまった時やかわいい欠乏症にかかってしまった時など、かわいいが必要になった時のために常備しておいてはいかがだろう。口当たりがよくすっと効く、そんな一品だ。
by. Keiichi Yokoyama
Ghostrunner(ゴーストランナー)
1592円(3980円、60%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク)
『Ghostrunner(ゴーストランナー)』は一人称視点のアクションゲーム。プレイヤーはサイボーグ忍者となって、巨大建造物ダーマタワーを登ってゆく。パルクール要素が特徴であり、スライディングやダッシュ、グラップリングフックで敵を翻弄する高速移動が可能だ。さらに敵も自分も一撃必殺というシビアなルールが採用されている。敵の弾丸を一発でもくらえば死んでしまうし、逆にほとんどの敵は単分子ブレードの一太刀で倒すことができる。
一撃必殺ルールのためクリアまでに何百回とチェックポイントからやり直すことになるのだが、意外とストレスは少ない。ロード時間を一切はさまず、すぐさま直前の位置から再スタートできるのだ。チェックポイント自体も細かく設定されているため、気軽に敵を倒す順番やルートを試すことができるはず。
筆者はゲームクリアまでに1000回以上デスを重ねたが、それはまったく苦にならなかった。サイボーグ忍者になって、ネオンサインが輝く街並みを駆けるのがとにかく楽しかったからだ。ブレードで銃弾を弾き返したり、ウォールランで壁を蹴って爽快に移動したりと、カッコよくプレイするのも本作の醍醐味。8時間ほどでクリアできるボリュームも気軽に手に取りやすいはずだ。
by. Kaisei Hanyu
Golden Light
1537円(2050円、25%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク)
『Golden Light』は、ローグライク要素を盛り込んだサバイバルホラーゲームだ。主人公が愛する女性は、ゲーム冒頭にて肉が侵食する領域「The Gut(はらわた)」に奪われてしまう。プレイヤーは女性を追う主人公となり、肉肉しくおぞましい世界に身を投じるのだ。グラフィックや効果音はまるで悪夢のようで、恐ろしいのにもっと見たくなる世界観を作り上げている。
本作では、死亡すると進捗がほぼリセットされる。ステージはランダム生成で、アイテムや武器なども特性がランダムに変わる。ステージ内で拾えるのは「生きている斧」「指の生えた目玉」などのゲテモノばかり。そして、生存のためにそれらを口にする必要もでてくる。武装は乏しく敵は多い。幸運であれば敵をどんどん倒すプレイも可能ながら、基本的には怯えて身を潜めながら各階を突破していくことになる。隠れんぼホラーとローグライク要素のハイブリッドは、精神をかき乱す独特の体験だ。
留意したい点として、本作は日本語に対応しているものの翻訳が荒々しい。しかし、英語でも雰囲気から判断するしかないテキストを叩きつけられるため、プレイに支障はない。また、本作のグロテスクな魅力は主にビジュアルとサウンドから来ている。是非ともヘッドホンをご用意して楽しんでみてほしい。
by. Seiji Narita
Behind the Frame 〜とっておきの景色を〜
858円(1010円、15%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク)
『Behind the Frame 〜とっておきの景色を〜』は、ポイントアンドクリック型のアドベンチャーゲームだ。画家を目指す女性として、日々を過ごす。絵画制作をしたり、食事をしたりする中で、隣の家に住む“おじいさん”と関わることでインスピレーションを得ていく。
『Behind the Frame 〜とっておきの景色を〜』は、かなり短めの短編作品。1時間もあればクリアできるだろう。大どんでん返しなシナリオがあるわけでもない。しかしながら、プレイ中は優しい雰囲気がプレイヤーを包み込むだろう。スタジオジブリから影響を受けたというかわいらしい絵や、コミカルにアニメーションするオブジェクトなど、シンプルながらキュートなギミックが詰められている。物語についても、コンパクトではあるが心地よいストーリーが展開される。クリア後には気持ちのよい余韻が残ることだろう。またアカツキ台湾が携わっているということで、演出面を含めた凝った日本語ローカライズも施されている。
ボリュームに対して定価が割高という指摘もあるが、セール価格で購入すれば満足できるだろう。今の価格に納得できなければ、とりあえずウィッシュリストに入れておくのもありだ。手軽にプレイでき、さくっとクリアでき、クリアの達成感もあり。ゲームプレイする時間やエネルギーを確保できないゲーマーには、うってつけの1本である。
by. Ayuo Kawase