「Steamサマーセール2020」でオススメしづらいが、遊んでほしいゲーム14選
現在Steamサマーセールが開催中。開催期間は7月9日まで。Steamサマーセールにおいては、購入だけでなくゲーム探しも楽しみのひとつ。近年では、大型セール実施に際した「Steam オススメゲーム」系の記事を見かけることも多くなってきた。 オススメ記事を作る際には、できるだけユーザーを選ばないゲームを選定することが重要になってくる。とはいえ、お気に入りのゲームの中には、人には勧めづらいものの、他ユーザーに遊んでほしいと感じるタイトルもあるのではないだろうか。ということで、今回は「オススメしづらいが遊んでほしい」をテーマに、ややクセのある作品を14本ピックアップした。買うか買わないかはあなた次第。 オススメしているわけではないので、その点だけ留意いただきたい。
BEARS, VODKA, BALALAIKA!
71円(205円、65%オフ、日本語なし)(Steamストアリンク)
『BEARS, VODKA, BALALAIKA!』は、三人称視点のリアル・シューティングゲームだ。プレイヤーは第2次世界大戦の時代に生きた孤高のソ連兵、鋭い目つきのクマとなって、襲い来る大勢のナチスを殺害していく。ゲームを起動すると、タイトル画面とともにソ連国歌「祖国は我らのために」が流れ出す。そしてゲーム開始とともに森林へ降り立ち、国民的人気曲「カチューシャ」をBGMに、AK-47の銃弾を命の続く限り撃ち込んでいくのだ。無限に沸いてくるナチスの殺害に疲れたら、バックパックから取り出したウォッカを楽しもう。体力回復効果のおまけ付きだ。暇を持て余した場合はバラライカを弾いてもいいだろう。ちなみに弾いても素振りを見せるだけで、楽器の音色は聞こえない。
銃のエイミングは方向指定のみとシンプルで、射角は調整できない。ただし敵も同様であり、こちらが段差に登れば敵の攻撃はまったく当たらない。また敵の銃撃には同士討ち判定があり、すべての敵が銃を撃ちながら一直線に向かってくるので、敵を重ねるように逃げ回っているだけで勝手に絶命していく。バグらしきものもあり、敵がT字ポーズを保ったまま向かってきたり、長時間生存するとBGMが途中で消えてしまう。というように、割と雑なシステムに仕上がっているのだが、そのチープさゆえに描かれる地獄絵図を一度体験してほしいとも思えるので不思議なものである。
by. Tetsuya Yoshimoto
Montaro : RE
70円(100円、30%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク)
『Montaro : RE』は、柴犬のもんたろうを操作する強制スクロール型のエンドレスランゲームだ。道中の障害物を左クリックのジャンプで避けつつ、コインを拾いながら、ひたすら長く走り続けてハイスコアを目指すというストイックな内容だ。もんたろうは自動で走り続けるため、プレイヤーがおこなう操作はジャンプのみ。というように、システムとしては低価格帯の作品にありがちな内容で正直オススメしづらい。しかしながら本作は、筆者を含めた一部のプレイヤーに突き刺さり、熱狂的なファンを獲得している。
その理由は、本作独特の癒しをもたらす世界観にある。まず、もんたろうはただの柴犬ではない。すれ違う若き女性のスカートをめくり、パンツをかっさらうというスケベな一面を持っている。特段メリットのないパンツを盗む行為には、白やピンク、クマサンデザインなど、バリエーション豊富なご褒美が用意されている。ステージ背景には駅や商店街、障害物にはバナナの皮やカラスといったものを収録。それらがランダム生成されることで、プレイする度に景色がまったく異なる散歩道が楽しめるのだ。さらに道中のコインを集めていけば、ダンボールやシベリアンハスキーの被り物などのコスチュームも手に入る。お気に入りのコスチュームを着せることで、もんたろうに癒され、愛着も沸くことだろう。価格も70円と格安なので、大作の箸休めに遊んでみてほしい。
by. Tetsuya Yoshimoto
Beat Hazard 2
1267円(1950円、35%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク)
『Beat Hazard 2』は、好きな音楽をプレイする全方位シューティングゲームである。任意の楽曲でプレイできるというだけでなく、その楽曲を解析して敵の出現パターンやボスの構造などが生成されるため、まさに“音楽をプレイする”というわけだ。公式サントラが用意されているほか、PC内の手持ちの楽曲ファイルを再生することも可能。さらに、PC上で鳴っている音を解析することができるため、たとえばバックグラウンドで開いたYouTubeやSpotifyなどから流れる音楽にも対応できる。つまり音源は無限大だ。
ゲームプレイはというと、次々に出現する敵機やデブリを破壊しながら、巨大なボス戦艦に挑むというもの。敵を倒すと攻撃力アップなどのアイテムをドロップし、クリア(楽曲終了)後にはPerkをアンロック・購入できる。選択した楽曲によっては、激しい展開になることも、ゆったりとした流れになることもあり、「この曲はこんなステージになるんだ」と変化を楽しめる。楽曲ごとにランキングが作成されるため、スコアアタックがメインの目標となるだろう。
本作は、ショットや爆発などにギラギラなエフェクトが伴い、背景はリズムに合わせてビカビカ明滅するなどの演出も魅力的。ではあるのだが、正直目が……目が痛い。音楽を利用したユニークな生成システムは一度試してもらいたいが、積極的にオススメすることは憚れるほど超ド派手なので注意されたし。
By. Taijiro Yamanaka
MudRunner
745円(2980円、75%オフ、日本語なし)(Steamストアリンク)
『MudRunner』は、シベリアの山奥でトラックを転がし、物資の運搬作業に従事するゲームだ。全天候型のゴツい“はたらくくるま”が多数収録されており、目的に応じて搭載するアタッチメントを取り替えてミッションに挑む。基本としては伐採所に向かい丸太を積み、製材所に届けるというシンプルな内容。ただし、その道中にはまともな道路はほぼ存在せず、ぬかるみきった泥道や、倒木や岩が転がる荒れた道を進み、増水した川を突っ切って行かねばならない。
運搬作業自体は言わば目的地の設定に過ぎず、そうした悪路をいかに乗り越えていくかに本作の楽しさがあると言える。泥道ではスタックしてしまうこともザラで、その場合は近くに木が生えていればウィンチを使って引っ張ったり、ほかの車で駆けつけて救助したり。四輪駆動に切り替えたりデフロックを使えば力強く走れるが、燃費が悪くなるため、給油ステーションまでたどり着けるのかどうかも考慮しなければならない。衝撃や浸水による車体へのダメージにも悩まされることだろう。
本作では、わずかな距離を進むのにも苦労することが多く、人によってはストレスが溜まる一方かもしれない。逆に、そうした苦難に快感を感じてしまうタイプの人にはオススメの作品だ。アメリカを舞台にするDLCも配信中で、本編とバンドル購入すればお得である。また、日本語非対応とされているが、公式ファイル自体は存在するため日本語化が可能だ。
By. Taijiro Yamanaka
Blind Witch -Peek Window-
54円(498円、89%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク)
『Blind Witch -Peek Window-』は、敵の視界を借りて屋敷の中を進んでいく、他者の視点を活用する3Dアクションアドベンチャーゲームである。主人公は、世界を見たいと願う盲目の少女。目を治してもらうため、回復魔法が専門だという魔女の館を訪れたところ、他者の視界を借りる魔法を与えられ、危険な住人の徘徊する屋敷を進むことになる。少女は盲目なので、壁の配置や扉の場所といった屋敷の構造は把握できない。そこで、誰かの視界を拝借。他者の目を借りて世界を知ることで、そこから自分の位置やオブジェクトの配置を確認して、進んでいくわけだ。
また住人には危険な住人と無害な住人が存在。誰かの視点を借りていても常に少女を操作しているままなので、少女の位置を考えたり、誰の視界を借りてどうやって進んでいくのかといった攻略が重要になってくる。プレイ時間は1時間程度と短いながら、視界ジャックを取り入れ、誰かの視界の中でキャラクターを動かすゲームプレイが楽しい作品だった。特に大きな欠点もないので素直におすすめできる作品なのだが、話題に上がることもなく、個人制作らしさから万人受けはしないため、これまで誰かに勧めることはなかった。サマーセール中は54円となっているので、54円の作品を丁度探していた、あるいは切らしていた方には、おすすめできるかもしれない。
by. Keiichi Yokoyama
The Hat Man: Shadow Ward
101円(1000円、90%オフ、日本語なし)(Steamストアリンク)
独りでに動く車椅子、明滅する電灯の明かり。荒れ果てた病院の中に、奇妙なノイズが響く。『The Hat Man: Shadow Ward』は、謎の怪異から逃げ惑いつつ日記を回収する3Dホラーゲームだ。主人公は、入院していた娘が行方不明になったと聞き、精神病院へやってきた父、あるいは母。しかし、病院へたどり着くとそこは廃墟と化しており、スタッフは誰も居ない。娘の病室にあった日記を手にすると、ページが飛び散り謎の影のような化け物が襲ってきてしまう。主人公は、悪夢のような廃墟病院の中でハットマンから逃げ惑い、飛び去った日記のページを集めることになる。
こうして書くと面白そうに思えるかもしれないが、本作は一時期19円で販売されていた低価格作品で、ゲーム内容も相応。雰囲気こそあるものの、2014年の作品としても粗めのグラフィックや、ページを求めてランダム生成された病院を延々と歩き続ける体験は、あまり人におすすめできたものではない。しかし無言でのシュールな死亡シーンや、ハットマンが通路に引っかかってしまったり、やたら自己主張が激しく近づくとうるさいページなど、粗さゆえのツッコミどころが本作にはある。またセーブがありクリアまでの道程も短めなため、数年前に22円で購入した際には値段以上に楽しめてしまったのだ。現在は値上げが行われ、90%オフでも100円なので価格以上に楽しむ難易度は上がったが、500円割引に100円足りない時に放り込んでみると、意外と楽しめるかもしれない。
by. Keiichi Yokoyama
Graveyard Keeper
779円 (1999円、61%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク)
私は倫理観をかなぐり捨てたゲームが好きだ。遺体からハンバーガーを作って出店を開き、保存処理に失敗した遺体は川に投げ捨て、遺体の臓器を研究して謎のエキスを抽出し……そんな冒涜的な行いをやりたい放題にできる『Graveyard Keeper』は私の心を掴んで離さない。しかし冒涜に至るまでの道のりが長く、やりたい放題するまでにひたすら地味な作業をこなす必要があるのが、このゲームをおすすめしにくい理由である。
背徳行為には事前準備が必要だ。ハンバーガーの肉を作るための作業台も、臓器からエキスを作る研究場所も、自分で切ってきた木や採掘した鉄から作らなければならない。ある程度ゲームを進めれば遺体から作ったゾンビにこれらの単純作業を押し付けることもできるが、そこに至るまでにもひたすら伐採と採掘が必要となってくる。逆に、こういった淡々とした作業ゲーが好きな人にはたまらないゲームとも言える。時間の経過こそあるもののそれにより進行できなくなるミッションなどは存在しないし、ノスタルジックなBGMも素晴らしく、時間を気にせずのんびりと背徳ライフを楽しむことができるからだ。なお、遺体を川に投げ捨てる行為には素材も事前作業も必要なく、身ひとつで完遂することができる。序盤から倫理観を捨てたいときは死体遺棄がおすすめだ。
by. Aki Nogishi
Cypher
156円(520円、70%オフ、日本語なし)(Steamストアリンク)
『Cypher』は、暗号解読の歴史について学べる教材である。Steamで買えるゲームという形こそ取っているものの、その実態は「インタラクティブな教科書」と呼ぶほうがふさわしいだろう。『Cypher』を通じて、プレイヤーは最もシンプルなステガノグラフィーに始まり転置式暗号、単表/多表換字式暗号、機械式暗号(エニグマ)、バイナリとアスキーコードを利用するデジタル暗号と歴史とともに複雑化していく暗号について学ぶことができる。各章では最初に前提となる歴史的経緯と暗号のメカニズムが提示され、パズル形式で実際に暗号を解読することを要求される。最初の問題こそ一目で分かってしまうようなシンプルな暗号だが、内容は徐々に応用的になっていき、紙とペンも必要となる。まさに教科書なのだ。
しかし、入門書としては間違いなく優秀だ。問題は洗練されていて、興味をよく惹き、情報も過不足なく与えられる(エニグマ暗号と最後のチャレンジパズルに関してはある程度自分で調べる必要はある)。ベーコンの暗号、ビール暗号、ピッグペン暗号、エニグマ変奏曲、線文字B、ルイ14世の大暗号、ワンタイムパッド……こういった歴史的に有名な暗号に対するレファレンスも多く、雑学的な面白さもある。万人にオススメするゲームとはとても言えないが、たまには紙とペンを使って軽めに知的好奇心を満たす行為がしたいという人には最適だ。この記事を読んで1回でも「なんだそれ」とGoogle検索を開いた人ならば、間違いなくプレイする価値があるゲームであることを保証する。
by. Mizuki Kashiwagi
ШП – ShP
51円(205円、75%オフ、日本語なし、一部DLCは英語なしロシア語のみ)(Steamストアリンク)
「独創的なインディーのパズルゲーム」というのはもはや陳腐な表現かもしれないが、『ShP』には間違いなくふさわしい評価だ。『ShP』においてはアプリケーションそのものがパズルの問題となっており、一見無秩序な動作をするWindowsのUIから手探りで正解の手順を見つけ出すのが目的のゲームとなっている。バニラの『ShP』にはパズルが3問用意されているが、アプリケーション自体が問題である都合上Steamから起動する時に「どの問題を起動するか選ぶ」というなんとも独特な仕様となっている。
難易度はかなり高く、最初は全くどこから手を付ければいいのか分からないが、1問でも解ければなんとなくコツのようなものが掴めるはずだ。基本的にノイズとなる情報が多いが、「そもそも何を求められているのか」については比較的シンプルに提示されていることにさえ気付ければ解けるようになっている。ゲームというよりは一種の「体験」として挑んで見る価値はある。難点としてはロシア語から英語の翻訳がかなり甘く、自動翻訳のような英文UIからヒントを拾わなければいけないという点と、なぜか全体的にテキストのテンションが不必要に高くて面食らうという点だ。とはいえ筆者はロシア語が読めないので、元からナンセンスな文章なのか、翻訳の過程で文法とテンションがおかしくなってしまったのかは知る由もないのだが……。
by. Mizuki Kashiwagi
Despotism 3k
369円(820円、55%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク)
『Despotism 3k』は人類に反旗を翻したAIとなり、勝利を収め、悠々と管理社会を構築するリソース管理シミュレーションだ。捕らえた人間どもを労働させて搾取し、独裁者生活を満喫しよう。初っ端から支配者として君臨し連中をこき使うだけ……のはずなのだが、どうも話が違う。管理者である主人公AIは、人々の食糧を生産し、適度に繁殖させ、自らの活力源である電力を生産し続けなくてはならない。エネルギーばかり作っていると繁殖が疎かになり人員不足。産めよ増やせよで推し進めれば食糧が枯渇し大飢饉に。あちらを立てればこちらが立たず、を延々と繰り返すシンプルな無間地獄が本作の真骨頂だ。
人間を奉仕させたいのに、なんでAI様が貴様らの面倒を見なくてはならないのか。おのれ人類め! 失敗するたび哀れな家畜どもを責めたくなるが、彼らは何にもしていない。すべての責任はプレイヤーの脳みそに。この悔しさがあと1回、を延々と招くのだ。作風は人類への悪意100%のブラックユーモアづくしで、好みが分かれるところだろう。その上やってることは賽の河原の苦痛とほぼ変わらないため、容易におすすめしがたいのが難点だ。もしも困ったときはバイオリアクターで、みんな肉と電気に変えてしまおう。
By. Yuki Kurosawa
Infini
610円(1220円、50%オフ、日本語なし)(Steamストアリンク)
アクが強すぎるサイケなグラフィック、前衛的なサウンド、そして哲学的なストーリーが織りなす奇妙ワールドでパズルを解くゲーム『Infini』。主人公Hopeが、異次元「Infinity」から現実世界へと帰る旅を描く物語だ。さまざまな方向に“落ち続ける”Hopeを誘導し、スタートから一度も障害物に当たらずにゴールできればステージクリア。100以上のステージが待ち構えている。
「障害物に当たらずにゴールへ」という基本ルールは変わらないまま、その時々でHopeの能力が変化し、パズルの解き方も変わっていく。ステージに溶け込んで漂う最小限の操作ガイド以外にヒントはなく、常に柔軟な発想で挑まなければならない。突如追加される新ルールに気づくのが難しい上に、一度でも障害物に当たるとリスタートというシビアさもあって、フラストレーションが溜まりやすい。これが、オススメしづらい理由である。難しい分、「気づき」やステージクリアに対する喜びが大きいとも言える。
一見、無秩序に見えるゲームだろう。しかし、プレイしてみると、ストーリーや奇抜な表現が「パズルを解くこと」と絶妙なバランスでかみ合うことがわかってくる。『Infini』は、目を引くグラフィックのインパクトに留まらず、体験してはじめてわかる繊細な魅力も持っているのだ。
by. Maho Ikemi
Lust for Darkness
222円(1480円、85%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク)
快楽はお好きだろうか。人間には誰しも食欲・睡眠欲・性欲と、3つの欲求が備わっている。そのうち、もっともセンシティブな性欲をテーマにした作品が『Lust for Darkness』だ。物語のあらすじは至極単純で、快楽主義の男にとらわれた妻を助けにいくというもの。プレイヤーは夫となって、男が住まう屋敷へ潜入。快楽を信仰する教団の目をかいくぐりつつ、愛する妻を救出しなければならない。全体的にホラーテイストなゲームとなっており、人間のほか異形の存在も襲い掛かかってくる。ドキッとする演出も随所に挟まれており、一人称視点のホラーアドベンチャーとして手堅い出来となっている。
ただし本作のアイデンティティはホラー要素でなく、性欲を主軸とした世界観にある。舞台となる屋敷の中は退廃と淫靡に包まれており、エロティックな彫刻や道具がズラリと並ぶ。さらに特徴的なのは、異世界の存在だ。快楽を信仰するあまり、屋敷内にはアブナイ神様まで降臨しているわけであるが、ゲームを進める中でプレイヤーは、この神の手によって謎の空間に誘われる。その空間がまた極めて扇情的。あからさまにアレの形をした門やオブジェクトが異質な世界の中に佇む。本作ではこうした性表現が全編を通してかなり強調されているため、人によってはとことん受け付けないだろう。一方、どこか荘厳さも感じ取れるデザインで、決して下品な表現にとどまっていないところは評価できるポイント。エロスな世界に抵抗のない方はぜひプレイして頂きたい。
by. Nobuya Sato
PUSS!
249円(999円、75%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク)
ネコをゴールに導くだけのゲーム。ただしカベに触れると一発アウトで、いわゆるイライラ棒のようなゲーム性となっている。ステージごとにさまざまなギミックが張り巡らされており、やたら曲がりくねった道や個性豊かなボスなどがプレイヤーを先へ行かせまいと邪魔をする。シンプルで分かりやすい。そして、バリエーション豊かなギミック群のおかげで意外と白熱したゲームプレイを楽しめる。さらに操作キャラであるネコが可愛いときた。オススメしづらい理由がどこにあるだろうか。いや、あるのだ。確実にある。
オススメしづらい理由。その正体は本作の世界観にある。はっきり言うと、狂っている。ステージの背景に突拍子もない日本語が浮いていたり、彫刻像が並んでいたりと、とにかくカオス。それだけならともかく、サイケな色づかいがふんだんに用いられているうえ、光の点滅が激しすぎる。正直、めまいや頭痛を引き起こしてもなんら不思議ではないレベルだ。さらにBGMも不気味で、ひたすら誰かのつぶやき声が混じっていることも。一方で、こうした世界観がたまらなく好きな方もいることだろう。私もそのひとりだ。ということで、ネコを被った本作をあえて今回オススメさせて頂く。ただし先述したように、場合によっては身体への悪影響が懸念される。プレイする際は、自身の体質・体調と相談し、部屋を明るくするなど、周囲の環境も整えたほうがいいだろう。
by. Nobuya Sato
Kind Words
416円(520円、20%オフ、日本語なし)(Steamストアリンク)
手紙を書いて見知らぬプレイヤーに送る。届くメッセージに1度きりの返事を書く。それだけのゲームである。繰り返しているとステッカーなどの特典が手に入るものの、基本的には本当にそれだけ。しかし雰囲気の醸成、なんて言葉で片付けたくはないが、メッセージを読み、発信したくなるという動機づけの点で、本作に匹敵する作品は数えるほどしか無いのではないだろうか。メッセージボトルをネットに流すタイプの作品は世にごまんと存在し、大概はメッセージを流すことに単純なコミュニケーション以上の大義名分を乗せている。だが本作にはそれが無い。ゆえにプレイヤーは限られた文字数の中で自由に執筆を行うことができる。
その一方で星空の中央に子供部屋があり、角の生えた幼子が陽光指す学習机の前に居るというドリーミーな空間は、非現実の心理的開放感と、現実に即した行動の訴求性(本作であれば、学習机や子供部屋というモチーフが持つ、「鉛筆を動かすというイメージ」)を同時に内包している。Lo-Fiミュージックの大気を飛び交う紙飛行機という演出も良い。飛ばしたいという気持ちが湧く。こちらは返事を必要としない言葉たちが乗客である。夢と現実の狭間で、プレイヤーは束縛無く優しげなコミュニケーションの楽しみに浸ることができるのだ。そんな本作のネックは、対応言語が英語のみという点だろう。逆にそこさえ気にならなければ是非オススメしたい一本である。
by. Takayuki Sawahata