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新作『Football Manager 27』を100時間先行プレイして“前作で批判の多かったところ”を徹底検証。「操作のクリック数は?」「ロナウド見るまで何秒?」、調べまくった
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完璧なゲームというものも存在しない。人の手によって作られ、人がプレイする以上当然ではあるが、とりわけ『Football Manager』シリーズのような長時間プレイし続ける年次タイトルでは、のめり込むなかで気になるところも出てくる。ところが新作『Football Manager 27』では不満点の多くが解消されており、“完璧”に少しでも近づけようという開発チームの気概を感じた。
筆者は、確認できる範囲でシリーズの累計プレイ時間は5000時間を優に超えているし、前作の『Football Manager 26』も500時間プレイしてSteamのすべての実績を解除した(PS5版も100時間プレイしてプラチナトロフィーを獲得した)。個人的にはそれだけ熱中していたが、不満もあった。ユーザー評価を見ても、前々作の『Football Manager 2024』はSteamでは「非常に好評」のステータスを獲得していたのに対して、前作の『Football Manager 26』は「やや不評」と過去作よりも評価が落ちていた。本稿ではその原因を分析しつつ、前作で不満だった要素が新作でどのように改善されたのか検証する。というかあまりの改善ぶりに、時間の許す限りで検証しまくった。前作の不評から新作の購入を躊躇っている人にとって助けとなるように、筆者は『Football Manager 27』の先行プレイを通じて得たインプレッションをお伝えしたい。

不満が多かった前作『Football Manager 26』のUI
前作『Football Manager 26』で真っ先に不評のやり玉に挙げられたのが、ゲームエンジンの変更に伴うUI(ユーザーインターフェース)の変化だ。シリーズ初となるUnityエンジンを採用したUIはスマートかつ直感的で、従来よりもシームレスな操作感を得られるとアピールされていた。中心となるのは、「タイル&カード」を開いてプレイヤーの求める情報を確認していく新たなUIデザインだ。実際に使ってみると、たしかにタイル&カードで情報が敷き詰められているのはスタイリッシュかもしれないが、フルスクリーンのグラフや表と比較すると一覧性に劣る。
リオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウドといった偉大な選手たちのキャリアスタッツを振り返りたいときに、フルスクリーンで表示されずに狭いタイル&カードをスクロールしなければならず、かなり使いづらかった。ほかにも、世界的な有望株の選手50人が表彰されるNxGNといった賞レースでも、10人ごとにクリックしなければすべての該当者を知ることができないというのはまどろっこしい。結果として、プレイヤーが欲しい情報を即時に閲覧するためには、前作のタイル&カードは不満の残る出来だったといわざるを得ない。


正直言うと、長年本シリーズをプレイして、過去作で「神は細部に宿る」を地で行っていた開発チームの職人魂を感じ取っていた筆者は不安で仕方なかった。せっかく正式に日本語対応してくれたのに、満を持してUnityで刷新された作品がこれでは、シリーズの未来が危ういのではないか……とまで案じてしまったのだ。しかし、そのUIにおける不満点は、『Football Manager 27』で大幅に改善されている。タイル&カードを全面的になくしたわけではないが、前作のように狭いタイルで画面を区分けして、それだけでは意味をなさないようにしているわけではない。たとえば、何をするにも玄関口となり得る「ポータル」の画面にはメッセージ、ニュース、試合日程、リーグ順位表、選手スタッツなどがほどよいサイズで表示されるようになった。見たい情報をいちいちカードを開封して見に行く必要がなくなったのだ。
さらに、画面のなかにさらに狭い画面を押し込めるようなタイル&カードが改善されたことでプレイヤーは見たい情報をフルスクリーンで見られるようになった。これでもう、タイル&カードを開いても狭い画面で情報を求めてマウスをスクロールする必要もない。クラブと代表で通算1000得点を目指すクリスティアーノ・ロナウドの伝説的なキャリアスタッツを、フルスクリーンで没入感たっぷりに堪能することができる。『Football Manager』シリーズはド派手な演出よりも、データの積み重ねを重視してきたシリーズだ。スタイリッシュなものではなく、データに思いを馳せられる実直さこそが『Football Manager』シリーズに求められるUIだ。もちろん、新たなゲームエンジンで従来作のUIを表現するのは並大抵のことではなかったと思うが、Sports Interactiveはファンが心から求めているものを理解してくれた。UIについては、ファンが求めるデザインとして大復活を遂げたといっていい。


メニューの表示も改善されているため、新作は前作よりもプレイヤーがしたいことを探す手間が減った。前作ではポータル、チーム、採用、試合準備、クラブ、キャリアがメインメニューだったが、新作ではポータル、チーム、戦術、採用、トレーニング、クラブへとメインメニューの項目が改められている。メニューの順番が使う頻度の多いものに変更されているところもさることながら、試合準備というぼんやりした表現をフォーメーションや選手配置を意味する戦術にしたことでよりわかりやすくなった。メニューがわかりやすくなったと同時により継続的にプレイしやすくなる快適性の向上が行われた。次の項目ではそちらについて検証してみよう。
不要なクリック排除で継続的かつ快適なプレイを実現
『Football Manager 27』にはストーリーモードがあるわけではない。『Football Manager 27』の世界は現実のデータが反映された箱庭で、プレイヤーは監督としてキャリアを積み重ねていく。どれほどの成功を収められるかはプレイヤーの力量にかかわってくるが、道のりは千差万別であり栄冠を勝ち取るまでの努力と達成感はプレイヤーそれぞれのストーリーを味わえることと同義といっていい。『Football Manager』は一種の監督人生シミュレーターでもあり、サッカーチームを栄光に導いていくRPGの主人公のような存在なのだ。
事前にストーリーが用意されているゲームとは異なり、『Football Manager』はプレイヤーが監督としてゲームをプレイし続けなければストーリーが生まれないからだ。そうしたシミュレーションゲームならではのストーリーを完遂するためには、快適にゲームをプレイし続けることができなくてはならない。その点について、前作は作中時間を進めるのに従来よりも多くのクリックを求められるという欠点があった。この欠点にもタイル&カードのUIが関わってきている。プレイヤーが知りたい情報が含まれているカードを開くのにまず1クリック、そこから必要な情報を閲覧するのにもう1クリックかスクロールしなければ知ることのできないときがざらにあった。たとえば、ポータルのメッセージにスカウト完了報告が送られてきたときは前作では肝心のスカウト情報が一部しか読むことできなかった。その一方で新作の『Football Manager 27』ではポータルのメッセージ内でほぼ完璧なスカウト情報を読むことができるようになった。スカウト情報の閲覧のために、必要なクリックが1回減った格好だ。


『Football Manager 27』では数多くの情報をフルスクリーン画面で閲覧できるようになったためそういった手間は減った。さらに、そもそも不要なクリックが徹底的に削除されているところは大きな改善点だ。シーズンを進めていくうちに、頻繁にアクセスする画面は確実に存在する。ポータルのメッセージは移籍や負傷者へ監督が判断を下さなければ時系列を進められないこともあるし、戦術画面では過密日程の試合スケジュールに応じて起用すべきスターティングメンバーを決める必要がある。
前作においてメッセージはまだアクセスしやすかったものの、過去作と比べてチームメンバーの確認やスターティングメンバーを決める画面にたどり着くのに多くのクリックを必要としていた。前作ではトップチームの選手一覧を見るのにチームからトップチームを選択して2クリックかかったし、同様に次の試合で使う戦術やスターティングメンバーを決める画面に行くのに試合準備から戦術へと2クリックかかっていた。これは最新作で明確に改善されており、『Football Manager 27』ではチーム一覧にも次の試合で使う戦術やスターティングメンバーを決める画面に行くのにも1クリックで済むようになったのだ。たかが1クリック減っただけと軽く見るべきではない。20クラブが参加するリーグ戦の場合は年間で最大でも38試合は戦うことになるし、メガクラブの場合はカップ戦を含めると年間50試合戦うこともあるからだ。1クリック減らすことがゲームプレイの快適性につながり、継続的にプレイする環境作りをも支えているのである。実際のところ筆者は新作の先行プレイからすでに100時間が経過しているが、前作よりも疲れていない。


「チーム」や「戦術」といったもっとも大きな分類のメニューはプライマリーメニューと呼ばれているが、設定の「ランディングメニュー」という項目から各プライマリーメニューをクリックしたときにデフォルトでジャンプする画面はカスタマイズできる。たとえば、プライマリーメニューをクリックしたときのデフォルトは概要の画面にアクセスすることになっているが、それをプレイヤーが変更可能となる。筆者は採用をクリックしたときに獲得候補選手をリストアップしているショートリストに瞬時に表示されるようにして、移籍市場でスムーズに選手を獲得できた。
新たなUIを採用したときに、『Football Manager』シリーズを手がけるSports Interactiveの職人魂は薄れてしまったのではないかと危惧していたがそんなことはなかった。デフォルトでクリック数を減らしてゲームプレイの快適性向上を担保したうえで、プレイヤーによるカスタマイズの余地も残したのである。一見地味ながらも、プレイヤーは自分のアクセスしたい画面に悠々とたどり着けるようになった。プレイの負担を減らしたことで、より長時間密度の濃い監督人生を歩めるようになっている。クリック数を減らす一連の要素は本作における最大の改善点といっても過言ではなく、筆者としてはプレイにおける疲労が緩和されたことで、プレイ時間が無尽蔵に伸びていくような気さえしている。

前作では断念の従来作おなじみの要素も復活
長く続くシリーズにおいてプレイヤーにとって不便な変更点があれば不評が集まることは当然だが、従来作でお馴染みだったものがなくなってしまうことも不満につながりうる。前作の『Football Manager 26』では、分刻みで次から次へと移籍が成立していく移籍期間最終日のやり取りや、シーズン終了時のベストイレブン選出が廃止になってしまったことに批判的な意見が集まった。
移籍期間最終日は海千山千の選手代理人と魑魅魍魎のような移籍劇を繰り広げる場面であり、『Football Manager』の作中においてもドラマチックなイベントだっただけに惜しむ声は多かった。クラブベストイレブンの発表では歴代ベストイレブンも発表されていたため、1つのクラブで長期間にわたって監督を務める際にはお気に入りの選手をメンバー入りさせることがモチベーションにもなっていたのだ。過去作からの要素を排除した理由としてSports Interactiveは新たなゲームエンジンを採用したことによる開発の影響と弁明したが、そのUI自体がプレイヤーの納得のいく出来映えでなかったことは先に述べた通りだ。
新作の『Football Manager 27』では、過去作でお馴染みだった移籍期間最終日もクラブベストイレブンも復活した。前作ではゲームエンジン変更による開発の遅れが影響して見送られた事項だが、今回は無事に復活を果たしたわけだ。先行プレイでは移籍期間最終日を体験することができたが、プレイフィールは過去作そのままでファンが待ち望んでいた要素が復活していると断言できる。


前作『Football Manager 26』はシリーズの評判を落としてしまったかもしれないが、新要素として好意的に受け入れられたものもあった。それは、攻撃時と守備時にフォーメーションが変わる「可変フォーメーション」を戦術的に設定できるようになったことだ。可変フォーメーションは現実でも最新のトレンドとして取り入れるクラブが多いこともあり、サッカーファンとしてはゲームでそれを再現できるというだけでたまらない。
可変フォーメーションの登場によってプレイヤーは選手の役割も見直すことになり、攻撃と守備の総合でよりふさわしい選手を起用するという視点は、現実におけるサッカーリテラシーの向上にもつながるとさえいえるだろう。たとえば、攻撃時にウイングですばらしい攻撃力を持つ選手がいたとしても、守備時に左ハーフまで下がってきて対応してくれなければ試合で使いにくい。複数のポジションに対応し、攻守の切り替えに優れた選手が重用されるという現実にも通じる概念をゲームに組み込んだ。可変フォーメーションによってファンコミュニティも刺激され、より効果的だと称賛される戦術が次から次へと考案・共有されていた。


新要素「戦術の有効性」で深まるチームへの理解
トッテナム・ホットスパーのロベルト・デ・ゼルビ監督が先日「我々は非常に、非常に優れた選手たちを獲得した。だが、ゲームの『Football Manager』のように、ただ有名選手の名前を並べただけでチームを築くことはできない」とコメントしていた。この発言は過去の『Football Manager』シリーズには当てはまるが、新作の『Football Manager 27』ではそれほど単純に常勝軍団を築き上げることはできない。
『Football Manager』シリーズは、作品を経るたびに新要素を意欲的に搭載してきた。リアル志向のサッカーゲームであるがゆえに現実のトレンドを貪欲に取り入れることを目指しているのだ。新作の『Football Manager 27』ではプレイヤーがクラブで採用した戦術について、それが上手くいっているかを示す「戦術の有効性」という概念が登場した。シリーズの選手は能力値が数値化されているが、能力値の高い選手をスターティングメンバーに揃えればいいという考え方から脱却しようとしているようにも考えられる。

過去作においても選手の能力から向き不向きとなる戦術は存在したが、戦術の有効性は監督の採用している戦術の複雑さや選手の賛同によっても変わってくる指標だ。選手の資質やトレーニングを通じて戦術の有効性が培われていく。戦術の有効性とは選手が監督の戦術をどれだけ理解し、試合当日に実行できるかが選手個人とチーム全体から測られる指標なのだ。この概念が登場することで、能力の高い選手を移籍市場で買い漁れば強くなるとは一概に言えなくなった。
戦術の有効性は相手によっても変わってくるが、シーズンを通してより監督の望む活躍ができる選手と継続した活躍ができない選手が存在する。たとえば、筆者は先行プレイではイングランドのアーセナルFCで監督に就任した。FCバイエルン・ミュンヘンから獲得したジャマル・ムシアラを左ウイングに起用し、クラブ生え抜きのブカヨ・サカを右ウイングに起用したところ、在籍歴の長いサカの方がチーム戦術の面で戦術の有効性が高くなっていたことが多かった。相手ゴールへの崩しとして似た役割を担う2人だが、シーズンスタッツにおいては、サカの34試合8得点17アシストがムシアラの31試合7得点9アシストを上回っている。アシストについてはかなり違いが出たので、戦術の有効性によって説得力のある結果になったと感じた。


選手獲得、育成、試合のすべてにおいてかかわってくる戦術の有効性は、選手の個人能力を高めてクラブを強くしていく方法として大切な指針となった。クラブに適した選手を見つけやすくすることはもちろん、不適切な選手の見極めにも役立つ便利な機能として本作の目玉となる新要素といえよう。その一方で、選手に最適な戦術を監督が編み出せることも問われる。戦術の有効性の観点から起用できない選手を放出するのか、それとも監督が採用する戦術を変えるのか。クラブの規模にもよるが、新作の『Football Manager 27』はプレイヤーである監督が戦術面で何を重視するかが、より強く求められるタイトルになっている。言い換えれば、勝利のために何を犠牲にできるかが問われているようなものだ。そのシビアな駆け引きはクラブのすべてを担う全権監督としての緊張感を高める一種のスパイスとして刺激に満ちている。
試合中の指示出し
『Football Manager 26』の発売当初は過去作にあった試合中に監督から選手へのシャウト(声掛け機能)が実装されていなかった、アップデートで復活を果たした。新作の『Football Manager 27』でもシャウトは健在であり、本作では監督が選んだ声掛けの種類に応じて効果があったか否かをアシスタントマネージャーが試合中に教えてくれる。過去作では効果のわかりづらいシャウトであったが、即座に意味があったのかわかるので納得感が高まった。選手の心を響かせれば得点するチャンスが増え、失点してしまうおそれが低くなる。
試合中の新たな要素としては、戦術画面に移動することなくちょっとした戦術変更が可能な「調整(Tactical Tweaks)」と呼ばれる要素が搭載された。調整では選手を交代したり、フォーメーションを変えたりするような大幅な戦術変更はできない。しかし、両ウイングのポジションを入れ替えて相手を撹乱したり、ロングパスを多用したりと細かな指示で戦術的広がりを選手たちに伝えられるようになった。


シャウトと調整はチーム全体に指示することができるほか、選手個人にも指示を出すことができる。監督が試合中にできることもシリーズを経るうちに増えており、現実のサッカーの試合でもタッチラインから監督が選手に短く何かを伝えるシーンが本作で新要素搭載に影響しているのかもしれない。先行プレイで『Football Manager 27』でいくつも試合を戦ううちに監督の振る舞いが勝利につながる余地も大きくなってきたように感じるようになった。それらが功を奏してクラブを勝利に導くことができたときはうれしいのと同時に、選手が要望に応えてくれたことに誇らしくなる。
前作の『Football Manager 26』では不満の声が多く見られた要素との比較を中心に、新作の『Football Manager 27』ではどのように改善されてきたのかを本稿で検証してきた。それを振り返ってみると、シリーズのコアなファンほど気になっていた不満点が払拭されているように思う。ゲームエンジンの変更と新UIへの低評価という逆境のなかで、『Football Manager』シリーズのもつ職人魂が込められたようなプレイフィールになっていると筆者は感じた。神は細部に宿るとはよくいったものだ。『Football Manager 27』はシリーズの魅力に立ち返り、リアルサッカーを題材にしたシミュレーションゲームとして復活を遂げたといっていいだろう。
『Football Manager 27』は、PC(Steam/Epic Gamesストア/Microsoft Store)/Mac向けに11月11日に発売予定。予約購入者向けの早期アクセスは11月11日まで実施される。また、PS5/XBOX Series X|S向けに『Football Manager 27 Console』が発売予定となっているほか、iOS/Android向けにはApple Arcade加入者限定で『Football Manager 27 Touch』、Netflix加入者限定で『Football Manager 27 Mobile』が配信される予定となっている。
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