Now Gamingは毎週日曜日、各ライターがその週にプレイしたゲームについて、ゆるく書きちらすコーナーです。439回目です。AUTOMATONのGWはシフト制です。
製品版は8月8日発売
今週はアクションRPG『キャットクエスト3』の体験版をプレイ。今回は財宝求める海賊ネコが主人公となり、海では海賊船に乗れる。過去作では特殊能力で海上を移動できたため、何だか急に不便になった気もしましたが、ちょっとした海戦要素や船のアップグレード要素があり、これはこれでゲームプレイの幅が広がることに繋がりそう。また、海賊らしく(?)銃が武器に加わり、敵や状況にあわせて剣と銃を即座に持ち替えられる。なお、協力プレイは前作から引き続き導入されているものの、ソロプレイ時のキャラ切り替え要素はなくなりました。
本シリーズでは、豊富に用意された報酬付きサブクエストが特徴のひとつでしたが、体験版の範囲では見当たらず。似た要素らしきものとしては、酒場に何人もの賞金首の情報が掲載されていた。従来のサブクエストに置き換わるものなのかどうか気になるところです。あとは不自然な日本語翻訳が改善されることを期待したい。
by. Taijiro Yamanaka
私とあなたの言葉の橋渡し
『There’s just something about u』を遊びました。テキストを足場に見立て、それぞれの文を最後まで渡り切ると会話が進行していく、アクション要素と物語の展開が融合した作品です。プレイヤーは「i(私)」という人物として小文字のiを操作し、「u(あなた)」と呼ばれる相手とパソコン上でメッセージのやり取りをおこなうのですが、2人の関係の変化にともないギミックが少しずつ特定のアルファベットに追加されていきます。例えば「e」の文字が左右に移動するようになったり、「o」の文字の周囲を時計回りに動く赤いドットが登場し、衝突すると文の頭からやり直しになったりするといった具合。この仕掛けにより、表面的な言葉の奥に潜む2人の複雑な心中が露わになるストーリーテリングの鮮やかさに驚かされ、胸を締めつけられました。
文字が織りなす意味と形を同時にゲームプレイへと落とし込む巧みな技術は、まるで寄木細工のような精緻さすら覚えるほど。ほぼテキストだけで構成されたミニマルな表現にもかかわらず、筆舌に尽くし難いさまざまな感情が渦巻く稀有なゲームでした。作品の性質上、英語のみの対応となっていますが、専門的な用語はほとんど登場しないので興味を持たれた方はぜひ触れてみてください。なお自傷行為や希死念慮に関する表現が一部含まれているため、触れる際はご留意いただけると幸いです。
by. Yuta Tanaka
悩ましい文豪の朦朧とした脳内にトリップした感じ
今週は『インディカ』をプレイしました。本作はSteamにて「ホラーゲーム」としてタグ付けされているものの、どちらかというと文学的・芸術的側面の強いパズルゲームといった印象が強め。個人的には本作はゲームというよりも、“見る文学”と形容したほうが良いようにも思います。まだストーリー中盤ですが、ゲームという体を破壊する、かなり挑戦的な作品です。
おそらくドストエフスキーやパルテルナークのようなロシア文豪たちが綴った世界観をゲームの世界に落とし込み、そこで信仰や贖罪といった写実主義的なテーマを伝えようとしているのではないか……と筆者は感じました。これが顕著に表れるのが雪積もるロシアを客観的に映し出す三人称視点でのカメラワークです。広く美しいロシアの自然とは裏腹に、工場区画などは無人で冷たく、孤独感がヒシヒシと伝わってきます。
また本作は荒唐無稽な展開が随所にみられ、喜劇的な要素も突如として発生します。たとえば正教会での礼拝中に、老婆の口から赤ん坊姿の中年男性が登場し、軽快な音楽と共に踊りながら登場してきます。訳が分かりません。本作のこういった物語展開はまるで白昼夢や風邪をひいた際に見る夢をみているかのようです。しかしそういった“理解に苦しむ”描写が、本作を読み解いていく面白さにも繋がっていますね。
by. Mayo Kawano
失礼失礼失礼失礼剣
今週は『サガ エメラルド ビヨンド』のSteam版をプレイしていました。『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』が好きだったため購入。5組の個性豊かなキャラクターから主人公を選び、連接世界を旅する「サガ」シリーズの新作タイトルです。魅力はたくさんあるのですが、その中でもやっぱり戦闘が一番楽しい。敵と味方が同一のタイムライン上で行動し、技をつなげると連携が発生。一気呵成に畳みかけることができる強力な行動になっています。技名が雑に繋げられて連携の名前として表示されるのも相変わらずでおもしろいです。しかしそれは敵も同じで、管理を誤るとあっという間に大ピンチに。またタイムライン上において孤立すると劇的な連続攻撃を繰り出すことのできる独壇場というシステムも新たに実装されており、最後の一人まで油断できない緊張感のあるバトルが常に楽しめます。連携はおおざっぱに言うと味方の行動を繋げるだけなので『サガスカ』よりもシンプルになっており、序盤から連携の楽しさをどんどん味わうことができるのも楽しい。
その他さまざまな要素が絡んでおり、正直システムは現状でも理解できたとはいいがたいのですが、試行錯誤しながら楽しくプレイしています。ただとても人を選ぶ作品だと思うので、興味のあるかたは各プラットフォームの体験版をプレイすることを強くおすすめします。筆者は歌姫メカ編をプレイしていますが、一週目のラスボスと思わしき敵にのべ3時間ほど挑戦中。あともう一歩の所までは行けるのですが。もうしばらく苦戦を楽しみたいと思います。
by. Jun Namba
尊き体験よ、永久にあれ
今週は『ステラーブレイド』をひとまず一周していました。要所でいろんなゲームへのリスペクトを勝手に感じ、「綺麗にまとまったアクションRPGだな」と思いました。そしてなによりビジュアルが良い。攻撃モーションも多彩。たびたび挿入されるムービーの見せ方や、探索における動きなども、ひとつひとつがビシっと決まっていて見栄えのするゲームです。「こういうシーンが見たいんでしょ?」といわんばかりのカメラワークがあざとく、よくできている。
ところでゲーム全編を通してみると確かに、切り貼りとはいわないまでも個性の薄さを感じることはあり、美味しい水をずっと飲んでいるような感覚がありました。それが悪いということはなく、もちろんいいことではあるのですが、せっかくのゲーム。濃い味わいの原液を浴びせられたい欲求もあります。SHIFT UPによる買い切りゲームの処女作としてはまとまりすぎなくらいによく出来ていたので、次回作にも期待したいところ。2周目の要素はゆっくりと回収できればと思います。釣りは時間泥棒なので。
by. Kosuke Takenaka
パーティー編成の時間が一番長い
引き続き『ユニコーンオーバーロード』をやってます。最初の感想としては、まとまっているという感じだったんですが、やればやるほど楽しくなってきています。ゲームとしては終盤なのですが、とにかくパーティー編成が楽しい。いわゆるビルド構築ですね。
同ジャンルのゲームとしては『ファイアーエムブレム』がありまして。『ユニコーン』はわりと『FE』リスペクトなゲーム。シビアさや熾烈さ、ギミックは詰め将棋ゲームな『FE』のが強みがありますが、『ユニコーン』は編成のビルド幅が楽しい。コイツとコイツを組み合わせて、みたいな編成・自由度をいくらでも考えられる。そうしたことができるのは中盤以降なので、中盤からゲームの遊びぐっと変わるまである。より強い敵を相手に強いビルドを組んでバトル。
『FE』でも複数人で戦うシステムはありますが、デュアルを含めどれも定着してないのであんまりうまくいっていない印象。『FE』の複数人システムはあんまりペア間のシナジーがないので、複数バトルはちょいイマイチ。そういう意味では『FEエンゲージ』みたいな個を強くするシステムは賛成。『FE』はやはり個の詰将棋を楽しむゲームなので、ビルドとシナジーを組んでいく『ユニコーン』とは、楽しさのジャンルがちょい違いますよね。そういう意味では、『FE』の路線を踏襲しつつ、手強いストラテジーxビルド編成というありそうでなかったゲームだなぁ。ヴァニラウェアの傾向的に、続編は出なさそうですが、このシステムで新作でたら楽しそう。
by. Ayuo Kawase