FNTASTICは9月27日、スタジオを“再始動”させることを発表し、新作ゲームのクラウドファンディングキャンペーンを開始した。海外メディアPCGamesNが伝えている。
FNTASTICは、『The Day Before』を手がけたスタジオだ。同作はパンデミック後のアメリカ東海岸を舞台とするオープンワールドサバイバルMMOと標榜されていた。2021年1月に発表されたのち、幾度も発売延期を重ねながらも2023年12月8日にPC(Steam)にて早期アクセス配信開始された。
しかし同作に向けては配信後すぐさま不評が殺到。サーバー問題や品質面などの課題を数多く抱えていた点や、「MMO」と掲げながらも実際のゲームプレイが脱出型PvPvEシューターとなっている点などが批判される結果となった。そうした中で開発元のFNTASTICは12月12日にスタジオを閉鎖し『The Day Before』の開発を中止すると発表。あわせてSteamでの本作の販売も停止され、購入者への返金もおこなわれた。
大きな騒動を起こしすぐさまスタジオ閉鎖を告知していたFNTASTICながら、今回スタジオを再始動させることを表明した。新作として協力プレイ脱出ゲーム『Escape Factory』を手がけるそうで、さっそくKickstarterでのクラウドファンディングキャンペーンを開始。また未発表ながらもうひとつ新作を打ち出す計画があるとのことだ。
またFNTASTICはスタジオ公式サイトにて、再始動に至った経緯を説明。過去の過ちを反省し、大規模な社内改革をおこなったうえで抜本的な改善を推進し、再始動に至ったとのこと。チームは縮小されたものの、以前のゲームに携わったのと同じスタッフで構成されているそうだ。ちなみに現時点では誰からも訴訟を受けていないとのこと。
公式サイトによれば、今後はDiscordサーバーを通じてコミュニティと積極的に関わり、開発の進捗を報告し、リリース前にはベータテストを実施するとも表明されている。『The Day Before』の二の舞は演じないという説明だろう。このほか公式サイトでは“FNTASTIC 2.0”として、誠実さ(Honesty)・透明性(Transparency)・プロフェッショナル精神(Professionalism)を重視していくとする方針も掲げられている。
なお『The Day Before』の開発時には、ボランティアスタッフが通常なら金銭報酬が発生しうるような仕事を引き受けていたことも明らかになり、批判が寄せられていた(関連記事)。今回の再始動にあたって公式サイトでは、外部のボランティアを参加させる慣行を取りやめるとも伝えられている。
期待を寄せられながらも、早期アクセス配信開始後すぐさま開発中止となった『The Day Before』。約9か月を経て閉鎖が発表されていたスタジオは再始動され、問題を引き起こした同作開発時における運営体制が見直されると説明されている。とはいえFNTASTICにおいては先述のボランティアスタッフのほか、従業員からも“労働環境が劣悪であった”との告発もおこなわれていた(関連記事)。再始動後にはゲームのクオリティとスタジオ運営姿勢の双方で、ファンや業界からの信頼を取り戻せるかどうかが注目されるところだろう。