『ストリートファイター6』アレックスの「新たな家族関係」に海外では批判集中。“ローカライズの難しさ”も一因か
アレックスのストーリーには国内ファンからは好評も集まっている一方で、海外ユーザーからの不評が殺到しているようだ。

カプコンは3月17日、『ストリートファイター6』に向けて「2026.03.17 update」を配信した。全キャラクターを対象としたバランス調整がおこなわれたほか、新キャラクターとしてアレックスが実装。このアレックスのストーリーには国内ファンからは好評も集まっている一方で、海外ユーザーからの不評が殺到しているようだ。なお本稿にはアレックスの本作でのストーリーに関するネタバレが含まれるため留意されたい。
『ストリートファイター6』は、2023年にPC(Steam)/PS4/PS5/Xbox Series X|S向けに発売された対戦格闘ゲーム『ストリートファイター』シリーズの最新作だ。2025年にはNintendo Switch 2向けにも発売された。本作はこれまでの操作モードであるクラシックタイプ(クラシック操作)に加え、従来よりも簡易的な入力で必殺技を使用できる入力方式のモダンタイプ(モダン操作)を採用。アバターを作成してオープンワールド風のメトロシティを探索して強くなる、シングルプレイ用の「ワールドツアー」モードも存在。2025年12月時点で世界累計販売本数は630万本を突破している。

本作では初期キャラクターとして18人が実装され、その後DLCキャラクターとして毎年4人が追加されてきた。今回、Year 3追加キャラクター第3弾としてアレックスが実装。アレックスは初代主人公のリュウに代わるかたちで、1997年に発売された『ストリートファイターIII -NEW GENERATION-』にて主人公として初登場したキャラクターだ。
3月17日のアップデート配信日には多くのプレイヤーが詰めかけ、Steam版では約7万2000人の同時接続プレイヤー数を記録。発売直後を超える、過去最高の数値となった(関連記事)。そんな人気絶頂の本作であるが、Steamユーザーレビューには不評レビューが殺到しているほか、SNS上では海外ユーザーから多くの批判的な投稿が集まっている。どうやら、本作のアーケードモードで明かされたアレックスのストーリーが問題の発端のようだ。
まず前提として、『ストリートファイターIII』シリーズでのストーリーにて、幼少期に両親と生き別れたアレックスは、父の親友であったトムに引き取られる。幼い娘パトリシアをもつトムに育て上げられる中では、パトリシアとの兄妹のような関係も描かれてきた。

そんなアレックスについて、『ストリートファイター6』公式サイトの説明を見ると、トムは「育ての親」であるとの説明が書かれている一方で、英語版サイトでは「adoptive father」となっている。作中でも同様の説明をアレックスから聞くことができるが、こちらでも「育ての親」が「adoptive father」と翻訳されている。この「adoptive father」は英語で、「養父」すなわち法的な家族関係にある人物を指す単語だ。
そして『ストリートファイター6』においては、アレックスがパトリシアと婚姻関係にあり、パトリシアが子どもを授かっていることが明らかとなった。国内ユーザーからすれば、幼なじみのように共に暮らしていたアレックスとパトリシアが結ばれたわけであり、この点を喜ぶ声もみられる。しかし英語圏のユーザーからすると、先述した「adoptive father」という表現から、アレックスがトムの養子に入り、義妹であるパトリシアと婚姻関係を結んだ、とも受け取ることができるわけだ。そうした関係性を不純であると問題視する意見も投じられているかたち。

なお本作のワールドツアーでは、トムがアレックスの母親のいとこであるという設定が新たに登場。そのため、アレックスとパトリシアは「はとこ」の関係にあたるというわけだ。親族関係のある人物と婚姻関係を結んだという設定が追加された点にも、一部批判的な意見は見られる。ちなみに少なくとも米国では、はとこ同士の結婚は50州すべてで基本的に合法である。
このほか、パトリシアは『ストリートファイターIII -NEW GENERATION-』での初登場時には14歳であり、これまでシリーズの時系列で最新とされていた『ストリートファイターIII 3rd STRIKE -Fight for the Future-』では15歳。『ストリートファイター6』の世界ではそこからさらに数年が経過しているとみられる。当時や現在のふたりの見た目から歳の差が感じられることも、批判的に見る声はあるようだ。ただアレックスの年齢が公式に明かされたことはほとんどないため厳密には歳の差は不明であり、本作ではパトリシアも含めふたりとも年齢は不明。歳の差からも、2人の関係性が法的・倫理的に問題があると断じることはできないだろう。

そのためやはり、「adoptive father」という表現が英語圏のユーザーにとって批判の根拠となっている側面はありそうだ。弊誌の英語スタッフによると日本語の「育ての親」と完全に一致するような、「親子関係なくして面倒を見る人物」の意を短く表せる英語のフレーズは一般的には存在しないという。たとえば法的養子縁組を伴わずに育てる父親を表す「foster father」といった表現でも、やはりニュアンスは異なるようだ。
日本語の「育ての親」にも「生みの親」に対するかたちで「養親」を意味するケースはあるものの、あくまで他人として子どもを一人前になるまで育て上げた「里親」のようなニュアンスも含まれ、その場合その子どもと実子もまた他人として受け取られやすいといえる。アレックスが“育ての親”の実子と結婚したという設定も、少なくとも法的な問題はなく、不健全とは言い切れないだろう。今回アレックスのストーリーを巡って批判を浴びた状況の背景には、そうした言語・文化的な違いもあったとみられる。

前述したように、シリーズの時系列で最新とされる『ストリートファイター6』では、当初まだ若かったキャラクターたちも、成長した姿で登場。アレックスのように、自身の家庭をもつようになったキャラクターも登場しており、ファンの間ではそうした“新設定”に驚きも広がっている様子だ。祝福するファンの声もある一方で、海外を中心に倫理的な観点から批判も広がっており、グローバル展開されるゲームにおいて文化を踏まえた表現やローカライズをおこなうことの難しさも垣間見える。
『ストリートファイター6』はPC(Steam)/PS4/PS5/Xbox Series X|S/Nintendo Switch 2向けに発売中だ。
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