「ゲーマーの過半数がシングルプレイゲームを好む」との調査報告。歳を重ねるほどひとりで遊びたい傾向
市場調査会社のMIDiA Researchは10月3日、「ゲーマーの多くがシングルプレイゲームを好む」とする記事を公開した。2023年第2四半期におこなわれた調査結果をもとにした見解で、当時の調査では年齢を重ねたゲーマーほどシングルプレイゲームを好む割合が高くなる傾向がみられたようだ。
歳を重ねるほど「シングルプレイゲーム好き」が増える可能性
MIDiA Researchは、英国に拠点を置く市場調査会社だ。今回、同社のレポート「The single-player opportunity」における、2023年第2四半期におこなわれた調査結果が引用され、シングルプレイゲームを好むゲーマーの多さを示す記事が掲載された。同調査は、米国/英国/オーストラリア/カナダ/ドイツ/フランス/スウェーデン/韓国/ブラジルから、9000人を対象に実施されたという。
データによると、対象者のうち16歳から24歳にかけてはオンラインPvPゲームを好む割合がもっとも高く約40%。一方25歳以上になると徐々にシングルプレイゲームを好む割合が増加傾向を見せたようだ。35歳から44歳のゲーマーでは約半数となっているほか、55歳以上のゲーマーでは74%もの対象者が、シングルプレイゲームを好むと回答したという。すべての対象者の合計では、53%がシングルプレイゲームを好むと回答したとのこと。
ただ、今回の調査では16歳未満のゲーマーが調査対象ではなかった点や、各年齢層の回答者数の内訳などが明かされていない点は留意したい。一方で調査結果からは、年齢を重ねるにつれてゲーマーがシングルプレイゲームを好む傾向がある可能性もうかがえる。PvPや協力プレイゲームについては、歳を重ねるにつれて自分や周囲がゲームに割ける時間が減ったり、体力が衰えたりなどの要因で、打ち込み続けるのが難しくなる状況も考えられるだろう。
ライブサービスゲーム型ゲームの勢いはあれども
なお昨今では、オンラインプレイ主軸の作品が一般的なライブサービスゲームの勢いの強さもみられる。業界人からゲーマーがライブサービスゲームに夢中になっている傾向があるとの見解も示されることもあるほか(GamesIndustry.biz)、大ヒットを記録したシングルプレイゲーム『ホグワーツ・レガシー』の販売元WB Gamesは、ライブサービスゲームの開発に注力するとの方針を打ち出していた(関連記事)。
特に大規模開発のいわゆるAAA級のゲームでは、買い切り型のシングルプレイゲームだと開発コストに付随してヒットしなかった場合のリスクも増大するだろう。継続的な収益を見込めるライブサービス型のビジネスモデルが重視される例もみられる状況だ。そうした中で、「シングルプレイゲームを好むゲーマーが多い傾向」がある可能性を示すMIDiA Researchの調査結果は興味深いデータかもしれない。
ちなみに、たとえば『The Last of Us』シリーズの開発元Naughty Dogでは、過去に同シリーズをもとにしたマルチプレイ作品「The Last of Us Online」の開発プロジェクトがあったものの、必要な開発規模が想定よりも巨大になったとして開発中止。この際にはNaughty Dog全体がライブサービスゲームを運営するスタジオとして方針転換するか、それともこれまでのようにシングルプレイヤーゲームを手がけるスタジオで居続けるかの、大きな選択を迫られる状況となったという。結果として従来と同様、シングルプレイゲームの開発に注力していく方針が選ばれたようだ(関連記事)。
ライブサービスゲームが台頭する中でも、スタジオの持ち味を守り“無理にライブサービスゲームを作らない”という選択を取る例も見られるわけだ。今後そうした方針が功を奏すかどうかも注目される。