人気SWATシューター『Ready or Not』コンソール展開にあわせ“PC版でも”過激表現調整へ。死体撃ち欠損廃止や、露骨ヌード犯罪者などやむを得ず一部調整予定
VOID Interactiveは6月28日、来月発売予定の『Ready or Not』コンソール版にあわせて、PC版においても過激な表現が一部調整されることを発表した。

デベロッパーのVOID Interactiveは6月28日、『Ready or Not』の今後のアップデートを紹介する開発メモを公開。7月15日の本作コンソール版発売に伴う、PC版を含めた調整内容が明かされた。同社はこの調整について、元来のトーンを忠実に保つことを目指しているとして、調整理由を丁寧に説明。しかし一部ユーザーからは反発の声も聞かれる状況となっている。
『Ready or Not』はタクティカルFPSだ。シングルプレイのほか、最大4人での協力マルチプレイにも対応している。舞台となるのは、凶悪な犯罪が急増する架空の都市ロススエノス。プレイヤーは特殊警察部隊SWATの隊員として、チームと共に数々の犯罪現場へと突入を試みることとなる。人質の保護や犯人の無力化などを最優先事項としながら、状況に応じた任務を遂行するのだ。

2017年に最初の発表がおこなわれた本作は、アルファテストなどを経て、2021年12月にSteamで早期アクセス配信を開始。2023年12月には大型アップデートを携えてついに正式リリースされ、すぐさま5万人を超えるプレイヤーが集い人気を博した(関連記事)。さらに本作は、7月15日にPS5およびXbox Series X|Sに向けたコンソール版が発売予定。同日にPC版プレイヤーを対象とした無料アップデート「Los Sueños Stories」が配信されることが決定しており、新武器の追加やマップの刷新、クロスプレイ対応などがおこなわれる。
そして開発元のVOID Interactiveは6月28日、開発の進捗を共有する記事「Development Briefing」の第87回を掲載。この中で、コンソール版の発売に際したアップデートでは、各地域のレーティングやコンソール版の各プラットフォームにおける要件に対応するため、PC版を含めて一部のコンテンツが調整されることが示されている。

記事内では、今回調整が実施される箇所について明かされた。まず、死亡している人物に対する部位欠損が発生しなくなるという。生存中の人物の欠損表現は依然として作中に残っているものの、そもそも本作のゲームプレイ自体が殺傷力の高い武器を使うことを控えるように設計されていることから、良い妥協案だと考えているとのこと。また一部の民間人および犯罪者の露骨なヌード表現が若干隠されるほか、子供の被害者についての暴力的な表現に変更が加えられる見込みだ。なお、調整はPC版でも実施されるが、テクスチャーの変更のみで済む調整についてはコンソール版限定となり、PC版には適用されないそうだ。
これらの変更について、同社はいくつかの理由を挙げている。まず、今回の調整は単なるテクスチャーの変更だけではなく、キャラクターモデルの衣装といったアセット全体に及ぶことを説明。プラットフォームごとに異なるアセットやメカニクスを採用する場合、将来のアップデートにおいてライティングや最適化に関する予期せぬ不具合が発生してしまう可能性があるという。また、同じサーバーに異なるアセットが存在する場合、クロスプレイの実現が難しくなってしまうとのこと。

こうした細心の注意を払った調整により、本作コンソール版はレーティングなどの認証を初回の申請で取得することに成功。同社は作品がもつ元来のトーンを忠実に保つことを目指して調整をおこなったとしている。あくまでも作品の軸を変えないようにしつつ、コンソール展開にあたって必要最低限の箇所にやむなく妥協的な調整をおこなったということなのだろう。
しかし、開発元によって説明がなされる一方で、本作のSteamストアページではユーザーから多数の不評レビューが投じられてしまう事態に。本稿執筆時点で6月28日以降1000件以上の不評レビューが寄せられている。PC版の内容が後発のコンソール版に合わせて調整されるという対応は珍しく、購入した作品が後から変更されることに対する不満が寄せられている。本作では敵として重犯罪者や犯罪組織が相手になり、ステージ中には生々しくショッキングな描写も散りばめられていた。そうした持ち味が失われてしまうことが懸念されている状況だ。

昨今ではPCでの人気を経てコンソール展開される作品はさまざまあり、表現規制がおこなわれる例もみられる。とはいえ本作のようにライブサービスかつクロスプラットフォームプレイに対応する作品は少なく、コンソール展開にあたっては珍しい課題が生じることとなった。開発元としては作風をできる限り保っていることを強調しているものの、一部ユーザー間では混乱も生じている。実際にPC版に向けてどのような調整がおこなわれるのかは注目されるところだろう。
『Ready or Not』はPC(Steam)向けに配信中。PS5およびXbox Series X|S向けにも7月15日発売予定だ。