『ボーダーランズ2』、規約改定が波及し“レビュー爆撃”の様相呈す。しかし中身は変化なし
Gearbox Software手がける『Borderlands 2』について、先日より不評レビューが殺到している。その理由にはエンドユーザーライセンス契約の改定があるようだ。

Gearbox Software(以下、Gearbox)は、同社が手がける『Borderlands 2(ボーダーランズ2)』について声明を発表した。本作のEULA(エンドユーザーライセンス契約)更新に関連して寄せられている批判や、いわゆる「レビュー爆撃」を受けた対応とみられる。
『ボーダーランズ2』は、ルーターシューターRPG『ボーダーランズ』シリーズのナンバリング第2作として2012年10月に発売された。対応プラットフォームはPC(Steam)/Xbox Series X|S/Xbox One。なおEpic Gamesストア/PS5/PS4/Nintendo Switchでは『ボーダーランズ ダブルデラックス コレクション』にてプレイ可能だ。
本作の舞台となるのは、ザ・ヴォルトと呼ばれる宝が眠る惑星パンドラ。プレイヤーはヴォルト・ハンターとして、惑星を支配する卑劣きわまりないハンサム・ジャックに立ち向かうこととなる。シングルプレイのほか、最大4人での協力プレイに対応している。


『ボーダーランズ2』について、今年2月に本作パブリッシャーであるTake-TwoによってEULA(エンドユーザーライセンス契約)およびプライバシーポリシーが更新、個人情報の取り扱いなどに関する条項が追加されたと見られる。そのため、それ以降本作を遊ぶ際には、新たにユーザー情報の提供を含むEULA/プライバシーポリシーへの同意が必要となったかたちだ。現行のTake-Twoにおけるプライバシーポリシーでは、ユーザーの氏名やユーザー名、IPアドレス、クレジットカード情報などといったさまざまなデータを収集するとしている。またModについても、BANの可能性があるとの記載も新たにおこなわれている。
このことについて、動画クリエイターHellfire氏が、『ボーダーランズ2』が「Take-Twoによってスパイウェア化した」とする動画を公開。そのほかRedditなどでも、一部ユーザーによって、「必要以上のデータを収集している」と問題視する流れが生まれ、批判の流れを生んでいた。
そして、『ボーダーランズ2』はSteam版が6月6日より無料配布中。このキャンペーンにあわせてインストールしたとみられるユーザーからの多くの不評レビューが寄せられ、特に批判の動きが顕著となっている。直近30日のレビュー状況は「圧倒的に不評」と、いわゆる“レビュー爆撃”化している状態だ。

Gearboxは6月7日、一連の批判について本作のSteamスレッドにて声明を発表した。声明のなかでは、そもそも今回更新された規約は『ボーダーランズ2』のみならず、Take-Twoが手がけるあらゆる作品に適用されていると強調。そしてTake-Twoはスパイウェアを使用していないと説明している。Take-Twoが収集するユーザー情報も、あくまで「収集する可能性のあるもの」を明示しているだけで、必ずしもすべての情報を各ゲームで収集することを意味するものではないとした。なお収集する情報は、法的義務の遵守とゲームプレイの実現に必要との立場を示し、たとえばゲーム内でユーザー名を表示したり、プラットフォームにおける互換性の確認などに用いるものだと明かしている。
またModについては、ユーザーが不当に優位性を獲得したり、アクセスする権利のないコンテンツへの不正なアクセスを禁じたりするための禁止措置で、ゲーム体験を保護するための対応だとの方針を示している。本作はオンライン協力プレイが可能であるため、一部プレイヤーだけがModを導入していれば、環境の不整合によるトラブルなども考えられる。そのほか有料DLCなども本作には存在するため、それらへの不正なアクセスを禁じる意味合いもあるのだろう。一方でシングルプレイヤーゲームに向けた、非営利かつレーベルなどの知的財産権を尊重するModについてはBANなどの措置をとることは無いとの姿勢を明らかにした。
ちなみに、Take-Twoの新たなプライバシーポリシーとEULAは、ほかのメーカーのそれと比較しても情報収集範囲などが突出して広いわけではなさそうだ。つまり、多くのメーカーが同水準の規約を定めているわけである。なおGearboxの社長兼CEOを務めるRandy Pitchford氏もユーザーからのEULAに対する声に反応。あくまでパブリッシャーの法務部の要請に応じ変更したのみでEULAを変更したのみで、ソフトウェアに変更はないと明言した。
ちなみに本作リリースから13年経った現在、突如として規約が変更されたのは、体制変更の影響もありそうだ。Take-Two Interactiveは2024年3月にGearboxを買収。GearboxはもともとEmbracer Group傘下であったため、親会社が変わるかたちとなっていた(関連記事)。また買収手続きの完了はTake-Twoの2025会計年度の第1四半期中を見込んでいることが以前より伝えられており、そうした手続きの完了にあわせ、規約を更新した可能性は考えられる。
いずれにせよ本作は、ソフトウェア、つまりゲーム本体の内容や挙動については変更が加えられておらず、また規約自体もほかのメーカーに比べて異常な内容ではないものの、関心が集まったことにより多くの不評レビューを集めてしまったようだ。Gearboxからの公式な声明も発表されたことで、事態が鎮静化していくか、動向は引き続き注目されるところだ。
『ボーダーランズ2』は、PC(Steam)/Xbox Series X|S/Xbox One向けに販売中。Epic GamesストアおよびPS5/PS4/Nintendo Switchでは、『ボーダーランズ ダブルデラックス コレクション』でプレイ可能。なおPC(Steam)版は、6月9日2時まで無料配布中だ。