『VRChat』、Unityの新描画基盤「URP」移行に向けようやく動き出す。「ビルトインRP」卒業のため、まずは“自動変換”実験中

VRChat社は現地11月5日、『VRChat』について、「ビルトインRP」から「URP」へ移行する計画があることを明かした。

VRChat社は現地11月5日、同社が提供するソーシャルVRプラットフォーム『VRChat』について、使用するレンダーパイプラインを「ビルトインRP」から「ユニバーサルレンダーパイプライン(URP)」へ移行する計画があることを明かした。今後予定されているAndroid用ビルドからiOS用ビルドへの自動変換機能の実装が、URP移行に向けた実験を兼ねているという。

レンダーパイプラインとは、シーンのコンテンツを画面に描画するまでの一連の処理のことだ。Unityでは、従来の「ビルトインRP」に加えて、「ユニバーサルレンダーパイプライン(URP)」および「HDレンダーパイプライン(HDRP)」が選択可能。URPが幅広いプラットフォームをターゲットとするのに対し、HDRPはハイエンドデバイス向けの高品質な表現が特徴だ。これら2つは「スクリプタブルレンダーパイプライン(SRP)」とも呼ばれ、C#を用いて細かな制御が可能となっている。

最新のメジャーバージョンであるUnity 6からは、段階的に廃止予定のビルトインRPに代わり、URPが標準のレンダーパイプラインとなっている。今年2月にはUnity TechnologiesのプロダクトマネージャーであるOliver Schnabel氏が「Render Pipelines strategy for 2026(2026年のレンダーパイプライン戦略)」を公開。ビルトインRPの正式な廃止プロセスが開始されると改めて発表された。そして、HDRPについてはすでに豊富な機能を備えていることから、今後新機能を追加する予定はなく、今後はURPに開発を集中させる方針を掲げていた(関連記事)。9月にはUnity 7にてビルトインRPが削除され、HDRPも非推奨になる方針が伝えられている。

直近では『Rust』や『Beat Saber』など、Unity製ゲームでビルトインRPからの卒業を果たしたゲームはさまざま存在する。一方で、ユーザー生成コンテンツを支えるソーシャルVRプラットフォームではそう簡単にはいかない。『VRChat』では現在でもビルトインRPが使用され続けている。クリエイター向けのドキュメントを確認すると、Unity Hubからアバターやワールドの新規プロジェクトを作成する際、HDRPやURPを使用しないよう案内されている。また今年6月に公開された「Developer Update – 25 June 2026」では、Unity 6への対応を進める一方でレンダリングパイプラインは変更せず、URPへの移行はまだ予定されておらず、移行計画については将来的に詳しく話すと伝えられていた。ちなみに、10月2日に配信されたバージョン2026.3.3にて、『VRChat』はUnity 6に正式対応している。

そして今回公開された「Developer Update – 5 November 2026」の中では、Android用ビルドをiOS用ビルドへと自動変換するためのトランスパイルオプションが近日リリース予定のSDKに実装されることを紹介。そしてこの機能は、今後のURPへの移行作業に向けたテストを兼ねているとのこと。ビルトインRPからURPへの大規模な移行には、本番環境におけるトランスパイルパイプラインが必要であり、それをこのテストで実験するという。また、シェーダーのトランスパイルが実際の環境に耐えうるのかを調査する方法でもあるそうだ。テストを通して、トランスパイルに失敗したワールドや、トランスパイルに成功後、iOSでピンク色のシェーダーが表示されてしまうワールドなどについて、報告してほしいとしている。

ユーザーからの関心も高まっていたURPへの移行について、現段階ではスケジュール等が示されたわけではないものの、移行に向けた具体的な取り組みが示されたことは興味深い。シェーダーの自動変換機能がテストされていることからも、アバターやワールドの開発者への負担を抑えることが重要な課題の一つであることがうかがえる。

そのほか今回の投稿では、デスクトップユーザーがマウスでアバターの腕を操作できるようになる新機能や、クイックメニューの「Here」表示やクイックプロフィールの刷新をはじめとする、今後のアップデート内容も説明された。アバターやワールドの開発者向けUnity 6対応SDKはまもなくオープンベータとして公開されるといい、大小さまざまな改善が続けられる『VRChat』のこれからに注目したい。 

『VRChat』は、Steam/Viveport/Meta Quest/Pico/iOS/Android向けに基本プレイ無料で提供中だ。

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