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ベセスダの『TES II: Daggerfall』をAIで非公式オンライン化するプロジェクト、「集金」を始めて物議醸す。“任意”の支援には、月20万円集まる
Bethesda Softworksが手がけた『The Elder Scrolls II: Daggerfall』(以下、Daggerfall)をオンライン化する非公式プロジェクト「DFO Online」がSNS上で物議を醸している。

Bethesda Softworksが手がけた『The Elder Scrolls II: Daggerfall』(以下、Daggerfall)をオンライン化する非公式プロジェクト『DFO Online』がSNS上で物議を醸している。同プロジェクトのプログラムは無料で入手できるものの、開発者はPatreonの有料メンバーシップを通して寄付を募っているようだ。
『Daggerfall』は1996年にMS-DOS向けに発売されたアクションRPGだ。『The Elder Scrolls V: Skyrim』へと続く『The Elder Scrolls』シリーズの2作目であり、タムリエル大陸の北西部を舞台としている。主人公は皇帝ユリエル・セプティム7世の命を受け、亡霊となった王の魂を鎮めるため、都市Daggerfallへと旅立つ。
本作は2009年より、シリーズ15周年を記念して無料配布されている。一方で、対応プラットフォームは発売当時のままであり、起動にはエミュレーターである「DOSBox」を使う方法が案内されている。なお、2022年にはDOSBoxを同梱したSteam版およびGOG.com版も配信されている。

本作については、有志がUnityを用いて再構築した非公式リマスター版『Daggerfall Unity』が2015年ごろから開発され、2023年12月にはバージョン1.0として正式リリースされていた(関連記事)。同プロジェクトではオリジナル版の『Daggerfall』のゲームファイルを含まず、ユーザー自身で用意する方式で無料配布。ソースコードはMITライセンスで公開されている。なおBethesda Softworksは前述したSteam版にて、『Daggerfall Unity』サポートのためのアップデートを配信するなど、“半公認”的な位置づけにもある。ちなみに開発者のGavin Clayton氏は、『Daggerfall Unity』では広告や寄付などを含む収益化を一切おこなわず、Clayton氏自身やプロジェクトに対する金銭提供は断ってきたことを明かしている。
そして今回耳目を集めているのは、『Daggerfall Unity』の派生プロジェクトとして今年8月に登場した『DFO Online』だ。Lattymoy氏により、C#で書かれたコードをJavaScriptへと移植する『Daggerfall JavaScript』として始動。その後はオンライン機能の拡充を進め、『Daggerfall Enhanced』『Daggerfall Online』と改名を重ね、現在の『DFO Online』という名称へと至っている。なお先日10月14日には、当初目標としていた『Daggerfall Unity』と1対1で一致させるという目標を撤回し、独自のプロジェクトとして制作を進める方針を示していた。
そんな『DFO Online』では、Patreonにて有料のメンバーシップを展開していることがSNS上で物議を醸している。プランは月額5ドル(約800円)から始まり、プランのグレードに応じて称号などのゲーム内特典を受け取ることが可能。月額1万5000ドル(約240万円)という極めて高額なプランも存在する。Patreonページの概要を見ると、執筆時点で85名の有料会員が存在し、月額1253ドル(約20万円)の支援が集まっている様子。高額プランに加入しているユーザーはいないようである。なおLattymoy氏はPatreonページ内で「サポートの有無にかかわらず、リリースするすべてを全員に無料で提供する(Everything I release is free to everyone, whether or not you support me)」として、そうしたPatreonの各種プランの特典表記と矛盾する説明もおこなっている。

Patreonページは、9月24日に開設されていたようで、10月上旬頃にはユーザーの報告によって状況が明るみに出た。RedditやXではこうした集金にたちまち批判が集まったが、開発者はRedditにおける返信で、寄付は必須ではないとする姿勢を示している。なお開発者は受けた支援金を開発時間や使用するツールに充てるとしているが、プロジェクトのGitHubリポジトリを確認すると、Claude名義でのコミットが大半を占めている。AIに大きく依存したプロジェクトでありながら、集金をおこなっているという点でも批判は強まっているようだ。
なお、二次創作コンテンツから無断で収益を得ることを巡っては、権利保有者によって厳しい対応がとられる例も存在する。たとえば今年4月には、2023年頃から運営されていた「ポケットモンスター」の生態紹介CG動画を扱う非公式YouTubeチャンネル「PokéNational」がNintendo of Americaからの申し立てを受けて削除に至っていた。同チャンネルのクリエイターは、制作の舞台裏などをPatreonの有料メンバーシップ限定で提供していたとされている(関連記事)。ほかにも、『サイバーパンク2077』の非公式VR ModがCD PROJEKT REDのDMCA申請により削除。開発者は制作したModをPatreonにおけるメンバーシップ限定で配布していた(関連記事)。こうした作品は、権利者のみならずコミュニティからも批判を浴びるケースは多い。
前述のとおり、『DFO Online』がベースとする『Daggerfall Unity』は、『Daggerfall』のゲームデータを各自で準備してプレイする方式であり、『Daggerfall』本体も無料で配布されている。それでも、MITライセンスでオープンソース化しているのは『Daggerfall Unity』に過ぎず、オリジナル版のゲームのすべての権利は依然としてBethesda Softworksが保有している。一部の例外を除いて、基本的にオリジナル版のコードベースやアセットを含んではいないとはいえ、権利者が存在する作品を題材とした非公式プロジェクトで資金を募る姿勢は疑問視されている。
『DFO Online』自体は無料で利用でき、メンバーシップによる寄付は任意となっている。一方で支援者向けにはゲーム内特典が掲げられていることから、二次創作コンテンツとしては寄付と課金の線引きが争点となりそうだ。
なお先日にはAIを用いて制作された非公式な「Fallout: New York」なるゲームが無料公開されたものの、Bethesda Softworksを擁するZeniMax Mediaから知的財産権侵害に関する通知を受けたとして公開停止されていた。知的財産権に抵触しうる名称や要素が含まれていたことが問題となったようだ(関連記事)。AIの飛躍的な性能向上に従って、Modをはじめとする二次創作プロジェクトのあり方も変容を見せている。『DFO Online』のように金銭的な支援を募るプロジェクトもみられ、権利元からそれぞれどのような措置がとられるのか、動向は注目される。
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