クラファンで約1000万円集めたゲームの責任者と開発会社“双方向”の訴訟、いずれも棄却。開発会社は「クラファンの信用を著しく損なう」「到底承服できない判決」と表明

株式会社ピクセルは1月30日、作曲家・古川もとあき氏との間で継続していた訴訟に関して、1月29日に判決が言い渡されたことを報告した。

国内デベロッパーの株式会社ピクセルは1月30日、作曲家・古川もとあき氏との間で継続していた訴訟に関して、1月29日に判決が言い渡されたことを報告した。

ピクセルはシューティングゲーム『スチームパイロッツ』の開発費支払いをめぐり、2022年2月に古川氏を相手取る訴訟を裁判所に提起。一方で古川氏側からは2023年3月、ピクセルに対する損害賠償、およびピクセルの代表取締役である佐々木英州氏に対する慰謝料を請求する反訴が提起されていた。

『スチームパイロッツ』は、元コナミ所属の作曲家である古川もとあき氏を発起人として発表された、PC向け縦スクロールシューティングゲームだ。Makuakeにて2019年より実施された2度のクラウドファンディングキャンペーンを通じ、合わせて1000万円を超える出資金を獲得。当初は2020年9月の完成が想定されていたが、古川氏から出資者へのプロジェクト進捗報告は2022年11月末を最後に途絶えることに。その後訴訟が継続するなかで、2023年8月にマクアケ社から出資者への返金対応がおこなわれることとなった(関連記事)。

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ピクセルは当初本作の開発を担当。代表取締役の佐々木英州氏が本プロジェクトに参加するも、その後降板した。同社の発表によると、開発費の未払いや、両者間の合意についての一方的な条件変更などがあったという。開発費が出ていないなかでは、それ以上の開発続行は断念せざるを得なかったとして、完成分のデータおよび成果物の権利引渡しを条件に、報酬の支払いを請求したとのこと。しかし古川氏側からの回答が途絶えたことで、ピクセルは請負代金の支払いを求めて、2022年2月に仙台地方裁判所にて訴訟を提起することとなった。

ところが2023年3月、古川氏により損害賠償および慰謝料を請求する反訴提起がなされた(関連記事)。同社に対して損害賠償として請求された額は、762万5358円。そして佐々木氏個人に対して請求された額は、精神的慰謝料として80万円。合計842万5358円が請求されていた。

このたびピクセルは、仙台地方裁判所よりそれぞれの訴訟の判決が下されたことを報告した。同社によると、ピクセルが古川氏を相手取って提起していた報酬請求訴訟は棄却。また古川氏がピクセルを相手取って提起していた損害賠償請求も棄却されたとのこと。ただし古川氏が佐々木氏を相手取って起こした慰謝料請求訴訟については40万円の支払い命令が下されることとなった。

ピクセルのXアカウントは判決文を抜粋した報告を投じており、報酬請求訴訟についてピクセルは商法512条に基づく報酬請求権を主張していたものの、裁判所側は同条に基づく報酬請求権は発生しないと判断。また予備的請求として共同制作契約に基づくクラウドファンディングでの調達資金の分配が請求されていたものの、こちらも裁判所側は「本件共同制作契約では、本件ゲームの販売後の利益折半の合意がされていたのであるから、本件ゲーム完成前の調達資金の分配を求めることはできない」との判断をおこなっている。

ピクセルは報告の中で「古川氏らが主張する共同制作契約は、ゲーム業界が認識している共同開発、共同制作の定義からかけ離れた杜撰なものであり、それを前提とした本件の判決は大変遺憾です」と表明。ゲーム業界にとっても深刻な不利益を生みかねないとしている。また「クラウドファンディング(による調達資金)の使途が最後まで明かされたなかった」として「クラウドファンディングの信用をも著しく損なうものであり、強い危機感を覚えます」とも綴っている。判決を到底承服できるものではないとしており、今後の対応を後日発表するという。

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Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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