『アサシン クリード シャドウズ』の開発費は「少なくとも170億円以上」とUbisoftのCEOが報告。シリーズ指折りの好調リリースでも、全体コストはカバーしきれず
Ubisoftは株主総会にて、『アサシン クリード シャドウズ』の開発費は1億ユーロ以上(約170億円)だったと明かした。

Ubisoftは株主総会にて、『アサシン クリード シャドウズ』の開発費は1億ユーロ以上(約170億円)だったと明かした。同社のCEOであるYves Guillemot氏が伝えたもの。海外メディアTweakTownが報じている。
『アサシン クリード シャドウズ』は今年の3月にリリースされた、『アサシン クリード』シリーズの最新作だ。戦国時代の日本を舞台に、奈緒江と弥助ふたりの主人公の冒険を描く。Ubisoftによると本作は好調なローンチを果たし、『アサシン クリード ヴァルハラ』に次ぐ同シリーズ2番目の初動の収益を記録したという。

そんな同作の制作費は、少なくとも1億ユーロ(約170億円)以上だったという。Ubisoftは7月10日に実施された株主総会にて、『アサシン クリード シャドウズ』の制作費用について言及した。同社のCEOであるYves Guillemot氏によると、最終的な費用は公表しないとしつつも、少なくとも1億ユーロ以上かかったことは確かであるという。ゲームエンジンの投資に多額の費用を投じたそうだ。
同作は「スタッフロールが2時間以上ある」とかねてから話題になっていた作品(関連記事)。オープンワールドゲームの大作らしく、多くのスタッフが関わる大規模なプロジェクトだったのだろう。制作コストの内訳は明かされていないが、人件費だけで相当かかっていると思われる。
Ubisoftは先立って、2024年4月から2025年3月までの会計年度の決算を発表している。それによると同会計年度は、8260万ユーロ(約140億円)の赤字だったとのこと。先述のとおり『アサシン クリード シャドウズ』のローンチ自体は好調だったそうだが、会社全体として利益を生むレベルには至らなかったようだ。Ubisoftの株価は近ごろ低迷しており、1年前の水準と比べても約50%下落している。

一般的に、ゲームの制作コストは年々上昇し続けているといわれている。特に大作ゲームにおける開発費の肥大化は話題となって久しく、100億円以上費やされているとみなされる作品も多い。2023年にイギリスの政府機関CMAが発表したところによると、『Call of Duty』や『グランド・セフト・オート』など特に規模の大きい超大作では、開発予算は300億円を突破しているという(関連記事)。
こうした状況を受けてか、近年のUbisoftはコスト削減を目標に掲げている。先述の決算発表によるとここ数年で約2億ユーロの支出をカットしており、次の2年でさらに1億ユーロのコスト削減を目標にしているという。『アサシン クリード シャドウズ』がシリーズ屈指の初動を記録したにもかかわらず、会社全体の利益につながっていないという状況に歯止めをかける狙いがあるのだろう。
またUbisoftはテンセントから約11億6000万ユーロ(約1900億円)の出資を受け、『アサシン クリード』など主要IPの開発を手がける新子会社の設立を発表している(関連記事)。コストカットと制作費の確保を同時に進めているようで、2026年以降は主力作品を続々と投入していく予定だという。開発体制の立て直しを図る、今後のUbisoftの展開も注目されるところだ。