マイクロソフト重役、“『Hi-Fi RUSH』の売上足りなかった説”を真っ向否定。発端のジャーナリストはあわて気味に弁明
Tango Gameworksが手がけたリズムアクション『Hi-Fi RUSH』について先日より、「売上が期待を下回った」との話が広く報じられた。海外ジャーナリストの発言を発端として急速に広まったこの言説に対して、マイクロソフト重役が素早く明確に否定するに至っている。
『Hi-Fi RUSH』は、Tango Gameworksが手がけ、Bethesda Softworksが発売したリズムアクションゲームだ。ロックスター志望の主人公チャイが、ロボットアームの提供を受けた企業から欠陥品のレッテルを貼られてしまい、リコールしようと襲いくるロボットたちと戦う。本作では、あらゆる要素がBGMのビートと連動。ギター型の武器を手にテンポ良くコンボを叩き込むなど、爽快感あるゲームプレイを楽しめる。本作は、本稿執筆時点で1万3000件を超えるSteamユーザーレビューを獲得。そのうち97%が好評とする「圧倒的に好評」ステータスを獲得するなど人気の作品だ。 なお、先月には200万人が本作を遊んだことが明かされている。
また、本作は作品発表直後にサプライズ配信としてリリースされ、Xbox/PC Game Pass向けにも初日から提供されていた。本作の開発/販売元は、ゼニマックス・メディアを通じてマイクロソフト傘下となっている。そうした背景もあり、同社が展開するXbox/PC Game Passラインナップを彩る一本として参戦したかたちだろう。
そんな本作の売上が「期待を下回っていた」との説が、先日より海外メディアにて報道されていた。発端となったのは、ゲームジャーナリストのJeff Grubb氏の発言だ。同氏は、真偽がやや怪しい話も含めて、ゲーム業界にまつわるさまざまな事情や暴露話を語る人物である。同氏は4月21日に、自身のPodcast番組「Game Mess Decides」にて海外メディアVentureBeatのMike Minotti氏と対談。その中で、マイクロソフト/Xboxと『Hi-Fi RUSH』に触れたかたちだ。
まずMinotti氏が番組の中で、『Hi-Fi RUSH』のサプライズ配信について言及。非常に出来のよかった同作が、なぜ大々的に宣伝しつつのリリースではなく、直前まで秘密のまま突然配信(Shadow Drop)されたのか、という疑問を口にした。
そうした疑問を受けてGrubb氏は、伝聞であるとしつつ「『Hi-Fi RUSH』は必要とされる水準の売上をあげられなかった」と伝えたのだ。ここでいう水準とは、マイクロソフトならびに同社Xbox(ゲーム)部門の期待した売上という意味だろう。さらにGrubb氏は「Game Passは、多くのユーザーたちに“ゲームを買わない動機”を与えている」と持論を展開。サブスクサービスであるGame Pass向けにタイトルを提供させつつ、売上も追求させるのは矛盾しているといった旨を語っていた。
こうした発言は瞬く間に広まり、Grubb氏が自身のTwitterアカウントで「単に売上が予想水準に達さなかったというだけであり、マイクロソフトが何を基準に作品を成功とするか失敗とするかについては知らない」と補足するに至った。一方で、各海外メディアは同氏の唱えた「『Hi-Fi RUSH』は売上が期待外れだった説」を報道。話題がどんどん独り歩きしていったのだ。
そうした状況の中、日本時間22日未明にマイクロソフト側からの見解が示された。Xbox Games Marketing部門のVice Presidentを務めるAaron Greenberg氏が、自身のTwitter上でコメントしたのだ。同氏は「『Hi-Fi RUSH』は、我々とプレイヤーが重視するあらゆる指標や期待値から見ても大ヒット作品でした」との旨をきっぱり告げ、Tango Gameworksが届けた同作に非常に満足していることを強調した。売上を含む全体として、本作のパフォーマンスが期待を上回ったとの見解だろう。こちらの発言はXbox部門のボスであるPhil Spencer氏もリツイートしており、ほぼ公式見解と解釈できる。なお同ツイート自体は、Windows CentralのJez Corden氏の意見に対するリプライで投稿されている。
一連の騒動を受けてGrubb氏は、Greenberg氏のコメントを引用リツイートするかたちで釈明。「必要な(needed)」との表現を使うべきではなかったとして、「ゲームの売上が目標に届かなかったと伝えたかっただけ」との旨を語った。本作が売り上げ目標に届かなかったという見解については、とにかく譲る気はないようだ。そして、『Hi-Fi RUSH』を失敗作だと思ってはいないこと、Tango Gameworksの未来は明るいとの見解を示し、本作自体は高く評価している点を強調している。
なお、Grubb氏は以前にも、「『ローラーチャンピオンズ』が運営終了する」と発言し、同作運営元にすぐさま「運営終了しない」と訂正されたり、「『Battlefield 2042』開発チームが最小限に縮小された」と発言し、開発元から「事実と異なる」と否定されたりなど、何かとお騒がせな人物である(関連記事1、関連記事2)。今回もまた、同氏の放言に素早く釘が刺されたかたちだ。ともかく、マイクロソフト側からも『Hi-Fi RUSH』を高く評価する姿勢が示された点は、ファンにとっても喜ばしいことだろう。
『Hi-Fi RUSH』は、PC(Steam/Epic Gamesストア/Microsoft Store)/Xbox Series X|S向けに発売中。Xbox/PC Game Pass向けにも提供されている。