Rockstar Gamesより発売された、『グランド・セフト・オート：トリロジー：決定版』。その滑りだしが芳しくないようだ。同作は11月12日、PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/Nintendo SwitchおよびPC（Rockstar Games Launcher）向けに発売。『Grand Theft Auto III』『Grand Theft Auto: Vice City』『Grand Theft Auto: San Andreas』の3タイトルが収録されている。オリジナル版でのゲーム体験はそのままに、グラフィックやゲームプレイ面をアップグレード。テクスチャやライティングなどがより精細に表現されている。
ところがそのゲーム内容には、一部から批判が挙がっているようだ。代表的なものは「雨」に関しての声である。本作では、オリジナル版からグラフィックを改善。原作よりも高精細な描写でゲームを楽しめるとしている。そのため、オープンワールドにて動的に変化する天候の描写も変更されているわけだ。
ところがネット上では、「雨が激しすぎる」との声が散見される。投稿されている動画を見てみると、たしかに降雨量は多い。描写される雨粒の密度がかなり濃く、さらに雨粒が白くハッキリした線で描かれている。そのため暗闇で走行しているときなどは、かなり視界を遮られプレイの妨げになっているのだ。さらに、ハイドラで飛行している際は降下するはずの雨粒が浮遊して見えるなど、不安定な挙動が目立つ。
また天候描写では「霧」についても不満が挙がっている。オリジナル版『Grand Theft Auto: San Andreas』などにおいては、サンアンドレアスの上空には深い霧がかかっており、遠くまで見晴らすことは難しかった。これはPlayStation 2の負荷を下げるための、やむを得ない措置だったようだ。しかしリマスター版においては霧が晴れ、上空の景色が一気にクリア化。遠距離の建物まではっきりと描写され、かなり遠くまで見晴らすことができるようになった。
本件についてはプロデューサーの Rich Rosado氏がTheGamerにて語っており、通りの端から端まで見渡せて、人や車が動く様子も見られるような描写にこだわっているようだ。しかしこのリマスター版表現については一長一短である模様。一部のユーザーからは、霧がなくなってしまったことで、味気なくなったという意見も浮上した。とくにマップの端まで見渡せてしまうことは、かえって街の狭さを感じさせてしまうとして、不満に思うユーザーもいるようだ。Redditの当該スレッドでは数多くの不満の声が寄せられている。
このほかバグ報告も多い。もっとも話題になりやすいのは「ぶっ飛び交通事故」バグである。あるユーザーの投稿では、車両で走行中に突如として上空へ跳ね上げられる瞬間を激写。目を凝らさないと分かりにくいが、よく見ると遠方から超高速で移動してきた車両がおり、そのまま跳ね飛ばされて大破していることが分かる。また別のユーザーも、超高速カーに遭遇。自転車で走行していた際、突然画面外から飛び込んできた全速力の車に跳ね飛ばされ、宙を舞う羽目になっている。交通事故は『Grand Theft Auto』シリーズの一種の名物ではあるものの、これらの謎の高速カーはかなりインパクトの強いバグだといえるだろう。またPlayStation 5版にてクアッドバイク走行中に一人称視点に切り替えると視界に不具合が生じる例も報告されている。
なお現在、本作はコンソール版しか入手できない。Rockstar Games Launcherを通じて販売するとしていたPC版『グランド・セフト・オート：トリロジー：決定版』は、現在取り扱いがストップしているのだ。Rockstar Gamesは11月12日未明、Rockstar Games Launcherのサービスを停止。メンテナンスが完了するまでオフラインにするとしていた。そして本日11月13日朝、Rockstar Games Launcherが復旧。しかし、『グランド・セフト・オート：トリロジー：決定版』の販売は停止されたままの状態だ。Rockstar Gamesは、現在のバージョンにおいて意図しないファイルが含まれていたとして、削除を進めていると発表している。
ゲームの不具合からPC版の販売まで、いくつもの問題を抱えて発売された本作。Rockstar Gamesはこれらの反響を受けて、何らかの動きに出るのだろうか。現在『グランド・セフト・オート：トリロジー：決定版』は、PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/Nintendo Switch向けに販売中である（PC版は一時取り扱い停止中）。
